猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)の治療

 特異的で有効な治療法はなく、猫白血病ウイルス感染症にともなって様々な症状が現れるため、それぞれの症状にあわせて、抗生物質や抗炎症薬の投与、輸液(点滴)などの対症療法を行います。また、インターフェロン、抗がん剤などを使用したり、貧血がひどい場合は輸血を行ったりします。
 FeLV感染陽性猫へのワクチン接種は無意味です。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)の予防

 高感染地域の外飼猫、室内外出入り自由な猫、既知のFeLV感染猫と同居している猫、多頭飼育の猫には特に推奨されます。また、子猫はウイルスに感染しやすくなっているため、すべての子猫にFeLVワクチン接種には、ワクチン接種が推奨されます[3]。猫を飼いはじめたら(もらった、拾ったは特に)まず病院で猫白血病ウイルスの検査を受けましょう。特に先住猫がいる場合は検査の結果が分かるまでは一緒にしてはいけません
 猫を室内で飼育し、他の感染猫との接触を避けることが、猫白血病ウイルの重要な予防策となります。外出する猫の場合は、猫同士のケンカを防ぐために避妊・去勢手術を行うことは、感染確率を減らせるとされています。
 また、猫白血病ウイルスに感染した猫の血を吸ったノミやその糞からも猫白血病ウイルスが検出されることから、ノミが感染経路の一つとして考えれれます。動物病院で処方されるような薬剤を用いて、きちんとしたノミ駆除対策が必要です。
 普段から十分な栄養と、清潔で快適な生活環境を心がけることも大切です。

ねこを守ろう。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)の看護/その他

 飼育環境を良好にし、 免疫力を高めることが大切です。そのためまず、他の感染症にかからないように定期的なワクチン接種を行い、清潔で暖かい室内飼育をし、ストレスの少ない生活をさせ、栄養バランスのとれた食事を与えましょう。そもそもワクチン未接種で猫を飼育することはあまりにも飼い主として無責任です。

 感染した猫は室内飼育することで地域に新たな感染を広げないことになります。また、どうしても室内飼育できないのであれば、避妊・去勢手術を行うことは、地域の感染確率を減らすことになります。
 多頭飼育で同居猫がいる場合は必ず全ての猫を検査して感染の有無を確認しましょう。定期検診を受け、異常を感じたら早めに動物病院を受診して対処しましょう。
 猫白血病ウイルス感染は猫伝染性腹膜炎(FIP)発症の危険因子になるとされていますので注意が必要です。
 猫白血病ウイルス(FeLV)は今のところ人間や犬など他の動物には感染しないとされています。

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参考文献・資料等
  1. 猫の臨床指針 Part3; 42-47:猫白血病ウイルス感染症
  2. 2020 AAFP Feline Retrovirus Testing and Management Guidelines
  3. FeLV


<1>猫白血病ウィルスに自然感染した猫に3′-アジド-2′,3′-ジデオキシチミジンおよびヒトインターフェロン-αを用いた試験
<2>西インド諸島、セント・キッツの野良猫の猫免疫不全ウィルス、猫白血病ウィルスおよびバルトネラ種
<3>ネコ白血病ウィルス誘発性が明らかな慢性リンパ急性白血病とその治療に対する反応について
<5>Bartonella属、猫ヘルペスウイルス1、猫カリシウイルス、猫白血病ウイルス、および猫免疫不全ウイルスと猫の慢性歯肉口内炎に関する評価
<6>猫免疫不全ウイルスおよび猫白血病ウイルス感染に対する様々な院内検査システムの質
<7>リオ・デジャネイロ(ブラジル)において猫免疫不全ウイルスおよび/または猫白血病ウイルスに自然感染した飼い猫のヘモプラズマ罹患率および危険因子
<8>ワクチン接種後の猫免疫不全ウイルス(FIV)の診断
<9>ベイズ式統計分析法を用いたFIVおよびFeLV試験の能力に関するアップデート
<10>猫の慢性好酸球性白血病: 細胞化学的および免疫表現的特徴
<11>猫白血病ウィルス(FeLV)および猫免疫不全ウィルス(FIV)の日常的診断法としての新しいnested PCR法の評価
<12>半定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応による猫白血病ウィルス感染症の診断
<13>経皮的に投与する遺伝子組み替え型猫白血病ウィルス(FeLV)ワクチンと皮下投与する不活化FeLVワクチンの安全性と効果の比較
<14>ESFM(ヨーロッパ猫医学会)会議プロシーディング、ストックホルム、2002年9月: 猫白血病ウイルスおよびワクチン接種
<15>猫白血病ウィルス感染症の免疫調整療法
<16>ベルギー都市部の野良猫におけるToxoplasma gondii、猫免疫不全ウィルス、猫白血病ウィルスの血清学的調査
<17>猫免疫不全ウイルスおよび猫白血病ウイルス感染を迅速に診断するための6種の院内検査に関する比較
<18>FIV/FeLV陽性猫を飼育する飼主に対する支援
<19>FIP,FeLV,FIV : 診断の確立
<20>既に感染しているFeLVまたは既に同時感染しているFeLVおよびFIVが猫のHaemobartonella felis小変異体の病原性に与える影響について
<21>猫免疫不全ウィルスあるいは猫白血病ウィルスに罹患した猫の皮膚および粘膜表面の真菌叢
<22>悪性リンパ腫を発症しているオーストラリア猫の猫白血病ウイルスの状態
<23>猫白血病ウイルス関連脊髄障害
<24>注射部位肉腫の予防と治療
<25>猫白血病ウイルスと猫免疫不全ウイルスに対する4種類の院内スクリーニング検査の性能
<26>米国およびカナダの猫における猫白血病ウイルスおよび猫免疫不全ウイルスの血清陽性率および血清反応陽性に対する危険因子
<27>ネコ白血病ウイルス感染猫におけるヒトおよび反芻動物の脳幹型脳炎に似たListeria monocytogenesに起因する脳脊髄炎
<28>猫の非再生性血球減少症において猫白血病ウイルス潜伏感染が果たす役割
<29>猫免疫不全ウイルスに感染した猫および猫白血病ウイルスに感染した猫の血液学および血清生化学
<30>膿瘍あるいは咬傷のある猫における猫白血病ウイルスと猫免疫不全ウイルスの血清陽性率およびレトロウイルス検査に対する現在のガイドラインへの獣医師のコンプライアンスの割合
<31>ハリケーン被災地域であるGulf Coastから輸出された犬猫における犬糸状虫、猫白血病ウイルス、および猫免疫不全ウイルスの血清陽性率
<32>中性化時のワクチン接種に対する野良猫の免疫応答
<33>予め不活化ウイルスワクチンを受けた猫における、カナリア痘ウイルスをベクターとした組み換え猫白血病ウイルスワクチン投与後のウイルス攻撃からの防御
<34>北アメリカの猫における猫白血病ウイルスと猫免疫不全ウイルス感染症の血清陽性率と血清反応陽性に対する危険因子
<35>猫白血病ウイルス根絶後の猫のリンパ腫
<36>猫白血病ウイルス(FeLV)感染、FeLV猫免疫不全ウイルス(FIV)混合感染の発症猫に対する組み換え型猫オメガ・インターフェロンの治療効果
<37>悪性リンパ腫の猫に対するサイクロフォスファマイド、ビンクリスチン、およびプレドニゾロン(COP)を用いた化学療法:古いプロトコールによる新たな結果
<38>飼育されていない野外猫における猫白血病ウィルス感染症の罹患率および猫免疫不全ウィルスに対する血清抗体の保有率
[WR2108,VQ2108:]

この記事を書いた人

福山達也