SFTS:重症熱性血小板減少症候群

SFTS:重症熱性血小板減少症候群の治療

 現在のところ有効な治療法はありません。主な治療法は対症療法を行うことになります。
■入院の推奨
この病気は人や同居動物にも感染する可能性があります。そのため、白血球や血小板の減少、黄疸、CPKの上昇が見られた場合は、外部検査機関に検査依頼をし、検査結果が判明するまで隔離入院をすることを推奨しています。

SFTS:重症熱性血小板減少症候群の予防

 ワクチンはありません。屋外を散歩する犬、屋外出入り自由や屋外飼育の猫は動物病院で処方されるダニ駆除剤(フィプロニル製剤など)できちんと定期的に予防することが重要です(今のところ感染予防効果は不明だが、確実にマダニを寄生を減らすことが感染リスク軽減につながると考えられている。ただし、1ヶ月以内に塗布していても感染した例も報告されていますので、完全な対策ではありませ線が、予防しないとするとでは大きく違います。)。さらに、西日本では特に通年(1年中)ダニ予防をすることが推奨されています。また、動物から人への感染は、過剰な触れ合い(口移しで餌を与えるなど)を避けることが推奨されています。動物の体にダニを見かけたら、つぶしたりすると病原菌などを撒き散らしますので、当院にご相談ください。ダニの正しい予防に関しましては、下記もご参照ください。
犬のノミ・ダニ予防
猫のノミ・ダニ予防
※動物にダニが寄生していたら、勝手に取って潰してはいけません。潰すことによりSFTSをはじめ様々な病原菌に感染する可能性があります。
※動物にダニが寄生していたら、無理に引き抜かず当院にご相談ください。

SFTS:重症熱性血小板減少症候群の看護/その他

 2019年の報告では猫の致死率は60%と報告されています。犬は報告数が少ないのですが、それでも猫同様にかなりの致死率だと予想されています。

○人の症状など

 5日〜2週間の潜伏期を経て、発熱、倦怠感、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くで認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす。

検査では、白血球減少、血小板減少、AST・ALT・LDHの上昇が多く認められる。致死率は6.3〜30%と報告されている。感染経路はマダニ(フタトゲチマダニなど)が中心だが、血液等の体液との接触により人から人への感染も報告されている。治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない。

以前からSFTSウイルスは日本に存在していたようで、診断できるようになったのが最近であるとの考えが主流となっています。

■人は農作業や庭仕事、散歩、ハイキング、キャンプなどの屋外レジャー等の活動時も注意してください!
①長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴などを着用して肌の露出を少なくしましょう。
②作業後は身体や服をはたき、マダニに咬まれていないか確認しましょう。
③帰宅後したら、入浴しましょう。
④吸着しているマダニを見つけた場合は無理に引き抜かず、できるだけ医療機関(皮ふ科等)で処置してもらいましょう。
⑤マダニに咬まれた後(数日から 2 週間程度)に発熱等の症状があった場合は、医療機関を受診し、マダニに咬まれたことを伝えましょう。

※なお、当院では長崎県内各所で多数のSFTSの猫感染が発見されていること[14]、宮崎県において獣医師、愛玩動物看護師が診察中にSFTSに感染した事例[4] や広島県の事例などから、スタッフの感染防止のため、診察時必要に応じてマスク、グローブ、ゴーグルなどを着用させて頂く場合がありますのでご了承ください。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)アップデートも参照してください。

■自宅の消毒
このウイルスはアルコール消毒液(70%)次亜塩素酸系消毒剤(金属部注意)で消毒可能です。そのため、自宅で動物が使っている食器やトイレなどはこれらでしっかりと消毒しましょう。

▶参考:にゃんPRESS Vol02 特集 マダニ媒介性ウイルス疾患SFTS

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参考文献・資料等
  1. イヌとネコは致死性SFTSウイルスを媒介する
  2. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A
  3. イヌからヒトへ感染したSFTS症例について
  4. 獣医師と動物看護師がネコからSFTSに感染!
  5. マダニ媒介性ウイルス感染症SFTS、感染の標的細胞を同定-感染研
  6. Felis 別刷 SFTSの脅威と感染リスク
  7. 動物のSFTS 臨床像と対応について
  8. 伴侶動物治療指針 Vol.5; 62-71:マダニ伝搬性疾病とマダニ防御
  9. 伴侶動物治療指針 Vol.9; 38-47:マダニの生態と防除
  10. 伴侶動物治療指針 Vol.9; 48-58:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の最新知見
  11. SFTS発症動物について(ネコ, イヌを中心に)
  12. 犬の内科診療 Part2; 274-278:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
  13. 関東地方で初めて感染が確認された重症熱性血小板減少症候群の1例
  14. Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome in Cats and Its Prevalence among Veterinarian Staff Members in Nagasaki, Japan
  15. 動物病院向け重症熱性血小板減少症候群(SFTS)対応ガイドブック
  16. 感染防御の取り組みと猫もSFTS症例報告
  17. 国内のネコ・イヌにおける重症熱性血小板減少症候群の発生状況(IASR Vol. 44 p31-32: 2023年2月号)


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[WR2305,VQ2305:SFTS]

■VMN Live

この記事を書いた人

福山達也