※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!
犬疥癬症とは?
疥癬症(かいせんしょう)は目に見えないくらい小さなヒゼンダニ(イヌセンコウヒゼンダニ)により伝染する皮膚病で、激しいかゆみを引き起こします。このかゆみの原因は、ヒゼンダニが皮膚にトンネルを作り、そのトンネル内に出した糞や分泌物に対するアレルギー反応です。
このヒゼンダニは、犬からほかの動物へ簡単に感染し、人にも感染するので注意が必要です。
人にも感染する人獣共通感染症:ズーノーシス(zoonosis)であり、感染すると腕やお腹などに発疹ができて強い痒みの症状がみられる場合があります。特に抵抗力の弱い病人や子供、老人などが感染すると症状が重くなるため注意が必要です。
犬疥癬症の原因
犬の疥癬症の原因は、イヌセンコウヒゼンダニの寄生です。ただし、まれに主に猫に寄生する猫小穿孔ヒゼンダニにより疥癬症が起こることもあります。
センコウヒゼンダニの寄生は、すでに寄生している動物との接触により起こります。動物同士の直接的な接触がなくても、体を振ったり、かいたりしたときに飛び散るフケやかさぶたなどから寄生することもあります。
ヒゼンダニが寄生してから症状が出るまでの潜伏期間は2~3週間程だと言われてます。この潜伏期間も間は寄生していても症状がでないので、気づかないうちにほかの動物にも感染してしまう可能性があります。
犬疥癬症の症状
疥癬症は、ヒゼンダニの糞や分泌物に対しアレルギー反応が起き、重度のかゆみが出ることが特徴です。その他、発疹、多数の脱毛、落屑(大量のフケ)などが見られ、これらは主に顔面(特に耳)、腹部、胸部、肢の内側などに起こりやすいとされています。
慢性化、重症化すると元気消失や食欲不振など全身にも影響を及ぼしますので注意が必要です。
犬疥癬症の診断/検査
問診、身体検査、皮膚から採取したフケなどを顕微鏡検査してヒゼンダニを探します。但し、ヒゼンダニは寄生していても皮膚にトンネルを掘り内部に入っていることも多く、検査では検出されないことも多くあります。その場合は日を替えて数回にわたり検査を行ったり、寄生の疑いが強い場合は人にも感染する恐れがあるために、治療を先に始めることもあります。
犬疥癬症の治療
ヒゼンダニを駆虫することのできる殺ダニ剤を用います。もしもフィラリア症予防をしていないのであれば、これらの薬を投与するときには犬フィラリア症にかかっていないかを血液検査で確認したうえで投与するのが安全です。これは、万が一フィラリア症にかかっていた場合、体内のフィラリアが死んでしまい、ショック症状を起こすことが稀にあるからです。
最近では症状が軽い場合、滴下型のノミ・ダニ駆除剤を用いて治療することもあります。
かゆみにより二次感染で細菌感染がおこっている場合は、抗生剤が必要になってり、補助療法としてフケなどを取り除くために薬用シャンプーを用いることもあります。
また、猫小穿孔ヒゼンダニの寄生で疥癬症が起こることがありますが、ダニの種類によって治療に変わりはありません。
※当院では犬疥癬症の治療に必要に応じて海外から輸入した薬剤を持ちいることがありますので、ご了承ください。
犬疥癬症の予防
ヒゼンダニの寄生を防ぐことが一番の予防方法です。そのためには、飼育環境のこまめな掃除、定期的なシャンプー、定期的に動物病院で処方されるようなきちんとしたノミ・ダニの駆除を行うなどを心がけましょう。
ドッグランなど不特定多数の犬が同じ場所にいる環境は要注意です。また、不衛生なペット美容室、ブリーダー、ペットホテルの利用も気をつけましょう。
犬疥癬症の看護/その他
保護犬や引き取ったばかりの子犬がずっと体をかゆがってかいていてる場合、疥癬の可能性もありますので、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
同居している他の動物(哺乳類)がいる場合は、併せて他の動物も治療もしくは予防を同時に行う必要があります。
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参考文献・資料等
- 犬の内科診療 Part1; 393-396:外部寄生虫性皮膚疾患(疥癬)