股関節形成不全

※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

股関節形成不全とは?

股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)は、股関節形成異常や股関節異形成、股異形成などとも呼ばれ、股関節が発育の段階で形態的な異常を起こし、正常に形成されていないことや変形することにより、歩き方などに様々な異変を起こす病気です。遺伝(70%)や環境的要因(30%)が考えられ、おもにジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ニューファンドランド、バーニーズ・マウンテン、ロット・ワイラー、セント・バーナード、グレート・ピレニーズ、アイリッシュ・ウォーター・スパ二エルなどの大型や超大型犬で多く見られる病気で、小型犬や中型犬で発症することは稀です。
一般的に両側の股関節に発症(93%)することが多いといわれておりますが、片側のみの場合もあります。
股関節形成不全は犬の病気のイメージが強いのですが、猫でも発症することがわかってきています。特にヒマラヤン、ペルシャ、メインクーンに多いとされてます。

股関節形成不全の原因

主に遺伝的要因によって発症する(70%)とされていますが、発生の起因となる遺伝子が特定されているわけではありません。また、成長期の偏った栄養や運動、肥満など環境要因もその発症に関与しているといわれています環境的要因(30%)。
上記のような要因によって、大腿骨を受け止める寛骨臼(骨盤骨に大腿骨が入るくぼみ)が浅かったり、本来は丸い大腿骨の先端が変形して、うまく関節がかみ合わず歩行異常などが現れます。
猫の場合は多くが遺伝によるもので、生まれつきです。但し、まだまだ不明な部分もあります。

股関節形成不全の症状

股関節形成不全の症状は主に生後 4〜12ヶ月頃の成長期に確認されることが多いといわれていますが、 中には2〜3歳になってから症状が現れる場合もあります。
「立っているとき、後ろ足の左右の間隔が前足に比べ極端にせまい(重要)」、「横座りをする」、「四肢をつっぱるように歩く」、「腰を振って歩く(モンローウォークといわれます)」、「散歩の途中で座り込む」、「立ち上がるときがぎこちない、時間がかかる」、「高いところからの昇り降りを痛がる」「ウサギ跳びのように後ろ足を左右一緒に動かして走る」、などが見られます。
股関節形成不全の場合、おかしいな?と思っても、1歳齢くらいまでに外見上治ってしまったようにみえることがあります。一見治ったようにみえても、よく観察すると、歩いている時に、頭が下がっていたり、ぎくしゃくした歩様であったり,左右の歩幅が違っていたりする場合、後になってひどい跛行や痛みな症状が出ることがありますので注意が必要です。

股関節形成不全の診断/検査

症状などの観察、視診(Boxy Hipという特徴的な外形を見せることがある)、触診(三角試験・バーデンズ試験・オルトラニー試験)を行い、レントゲン検査を行うのが一般的です。レントゲン撮影にはペンヒップ(Penn HIP)など様々なやり方や評価法があります。
ただし、レントゲン検査だけでは十分でない場合もあります。その場合は、関節液検査、CT検査、MRI検査などが必要になることもあります。

股関節形成不全の治療

年齢や体重、症状、股関節の状態、オーナーの希望などによっても治療法は異なりますが、一般的には、内科的治療(保存的)と外科的治療があります。
●内科的治療(保存的)
若齢で症状が軽い場合では、運動や食餌の管理を行い、鎮痛剤や抗炎症剤などの投与、レーザー療法で、痛み(疼痛)を緩和し、関節炎の進行を抑えます。 内科的治療で症状が緩和され、良好な生活を送れるケースもありますが、症状が重度な場合や内科的治療を行って改善がみられない場合は、外科治療を行います。
●外科的治療
症状が重く、内科的治療による効果が期待できない場合には、股関節形成不全の手術には外科手術を行います。外科手術には「骨盤3点骨切り術」「股関節全置換術」「大腿骨頭切除術」などがあります。これらは症状や関節の状態などによって、適応時期や手術方法が異なります。
外科的治療を行う場合は、麻酔のリスク、手術後の安静期間やケア方法、費用、リハビリなどについて十分に検討して行う必要があります。

股関節形成不全の予防

股関節形成不全の予防としては、幼齢期に過剰な栄養を与えたりせず、食事管理をきちんと行うことが大切です。子犬の成長に合わせたきちんとしたフードを適正量与え、栄養の与えすぎに注意して肥満を防ぐことは、股関節形成不全の予防になります。また、激しい運動もなるべく避けましょう。新しく子犬を迎える前には、親犬に股関節異常が見られないか、あらかじめ確認しておくことも大切です。
股関節形成不全が疑われるような上記の症状が見られた場合は、早めに当院にご相談ください。また好発犬種については症状がみられなくても、股関節形成不全がある可能性が高いため、愛犬の股関節の状態を知っておく必要があります。このため、骨の形成が完成する1歳から2歳の間に必ずレントゲン検査を受けることが薦められます。
股関節形成不全と診断された犬は、繁殖に供しないことが推奨されます。

股関節形成不全の看護/その他

動物病院で処方されたお薬はきちんと飲ませましょう。股関節形成不全がある場合は、症状の進行を防ぐために体重管理が非常に大切です。肥満にならないように、日頃からのこまめな体重管理を心がけましょう。
また、フローリングなどの滑りやすい床材は避ける(絨毯などをひく)。足の裏の毛が伸びている場合は、滑らないようにするため足の裏の毛を定期的にトリミングサロンで短くカットする。ジャンプや過度な運動をさせないなど、日常生活での注意も重要です。
特に大型犬は仔犬の早い時期から定期的に動物病院で検診を受けることが重要です。詳しくは当院にご相談ください。

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参考文献・資料等
  1. 犬の跛行診断; 114-132:股関節およびその周囲の異常に対する跛行診断
  2. 獣医整形内科;74-85:股関節と膝関節のSnap Diagnosisと診断の流れ


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この記事を書いた人

福山達也