角膜潰瘍/糜爛

角膜潰瘍/糜爛の治療

 一般的に抗生剤や消炎剤、アセチルシステイン(パピテイン®)、ヒアルロン酸ナトリウム(角膜保護剤)の点眼などを行います。状況によっては点眼薬だけでなく内服薬、注射などで全身投与をする場合もあります。また、動物の場合、新たに角膜を損傷することを予防するためにエリザベスカラーを装着する必要があることもあります。
 角膜潰瘍は大きく分けて1週間程度で治癒する「単純性角膜潰瘍」とそれでは治癒しない「非単純性角膜潰瘍」に別れます。1週間で治らないようであればより詳しい検査と積極的な治療が必要になります。
 潰瘍が深い場合には、「自己血清点眼」と呼ばれる、自分の血液で作る点眼薬を用いて治療を行ったり、動物用コンタクトレンズを装着して患部を保護することもあります。
 このような内科療法で改善が認められない場合や症状が重篤な場合には上下眼瞼縫合、第三眼瞼(瞬膜)フラップなどの処置や角膜縫合を行います。また難治性の角膜潰瘍では、外科手術によって治癒が困難な角膜上皮を切除し、格子状もしくは点状角膜切開などで新たな傷を作り、治癒を促す治療を行います。

角膜潰瘍/糜爛の予防

 目は大切な器官です。角膜潰瘍は傷がついてから時間が経てば経つ程治りにくくなります。見た目では異常が確認できなくても、眼脂(目やに)、結膜の充血、羞明(しゅうめい=目をしょぼしょぼさせる)、まぶたの痙攣、流涙などの症状がみられるときには早めに当院にご雑談ください。進行すると角膜穿孔に至り失明する危険もありますので、早期発見、早期治療が大切です。
 特にパグやシーズー、ペキニーズといった短頭種で目が飛び出した犬種は目の外傷を起こしやすく、角膜潰瘍も多くみられますので注意が必要です。

角膜潰瘍/糜爛の看護/その他

 抗菌剤の点眼は通常1日2〜6回程度行います。重度の感染症が疑われる場合は2〜3時間おきに点眼する必要がありますが、指示に従ってください。
 通常2〜3日に1回程度の再診が必要で、1週間しても改善が見られないない場合、より積極的な検査や治療が必要です。
 目を気にして頻繁に、かいたり、こすったりしている場合は、病態の悪化や新たな傷を防ぐためにエリザベスカラーが必要になりますので、ご連絡ください。

※過去に処方された目薬をオーナー判断で勝手に使用すると、目薬の種類によっては角膜潰瘍を悪化させる目薬があります。「目は非常に大切な器官」です。勝手に素人判断せず、必ず診察を受けてから目薬を使用することを心がけましょう。

 日頃から犬猫の目のチェックポイントも参照してください。

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参考文献・資料等
  1. 伴侶動物の眼科診療
  2. 犬の内科診療 Part2; 389-397:乾性角膜炎
  3. 犬の内科診療 Part2; 398-402:特発性慢性角膜表皮欠損(SCCEDs)
  4. 眼科疾患を知る<1>〜角膜潰瘍〜


<1>.角膜潰瘍の治療: 治療のオプションは?
<2>.台湾の犬の角膜潰瘍から分離された細菌の抗生物質感受性
<3>.犬の進行性潰瘍性角膜炎
<4>.猫ヘルペスウィルス
<5>.犬猫における細菌性角膜疾患
<6>.小動物における角膜の真菌疾患
<7>.慢性角膜欠損の診断および管理(無痛性角膜潰瘍)
<8>.難治性角膜潰瘍の治療に関するシアノアクリレート組織接着剤
<9>.犬の難治性角膜潰瘍に対する補助的なテトラサイクリンによる治療のIn vivoでの効果
<10>.潰瘍性角膜炎の犬からの緑膿菌分離株における、in vitroでのフルオロキノロンに対する感受性
<11>.自然発生性イヌヘルペスウイルス-1型感染に関連した角膜潰瘍の成犬2例
<12>.深部性角膜潰瘍の管理
<13>.角膜内皮疾患に続発した犬の潰瘍性角膜炎および水疱性角膜症の治療に対する角膜熱形成術の利用:13症例(1994年~2001年)

この記事を書いた人

福山達也