跛行の治療
治療は原因や病気、怪我により様々です。
跛行の予防
肥満は跛行のリスクを高めます。跛行のある猫の12~22%が体重過多で、跛行のリスクが5倍になるという報告があります。
犬の場合、散歩の時にノーリードにしない。フリスビーなどのジャンプや激しい運動を避けることは突発的な事故などを防ぎ、いくらか予防になるかもしれません。また、フローリングであれば絨毯やマットをひくと良いでしょう。猫の場合、一番は室内飼育することです。
跛行の看護/その他
とにかく獣医師や愛玩動物看護師からすると「跛行」に早く気づいて対処してあげてほしいということです。お家で早めに異常を発見できるポイントをいくつかお知らせしておきます。
まず、4本足の動物は立たせた場合、前足と後足を同じくらいの幅で立つのが正常です。例えば、後足の左右の幅に比べ、前足の幅が狭い場合は前足に異常がある可能性があります、逆もそうです。
次に、前足に異常がある場合「ヘッド・ボブ」と言われる症状が起こります。散歩のときや少し早足をさせたとき、通常は頭の高さはほぼ一定です。頭が上下しているようであれば前足に異常がある可能性があります。そして、頭が上下している場合、頭が上がったときに着いている足に異常がある可能性が高いです。これは後ろ足にも言えることで、後ろ足の場合は腰の上下動で判断します。これが一つのポイントになりますので参考にして下さい。
さらに股関節などに異常があると[モンロー・ウォーク」と言われる腰を振りながら歩く動作や「バニー・ホッピング」と言われるうさぎ跳びのように両端を揃えて飛んで歩いたりします。
このような場合は早めに当院に相談いただくか、獣医師の診察を受けてましょう。
また、足をよく舐めて涎でぬれていることがあります。そのようなときは何か異常があるときです。肉球に何かが刺さっていないか、ガムや飴あめなどがこびりついていないかなどよく見てあげてください。
骨折や重度な脱臼があるときは、足を地面にまったく着けることができません。これを挙上(きょじょう)と言います。このような場合は早急に当院にご連絡いただくか、獣医師の診察を受けましょう。また、壱岐など田舎ではマムシに噛まれた場合も足を地面につかず挙上します。マムシの場合は大きく足が腫れるのがひとつの特徴です。
動物病院でよく見るのは、家では足をかばっていたのに、病院に来るとまったく正常に歩いてしまうという現象です。動物は少しぐらいの痛みは隠してしまう傾向がありますので、できればお家での跛行の様子をスマートフォンの動画で撮影(可能ならスローモーション撮影)していただけると診断の助けになることがあります。
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参考文献・資料等
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第1回歩様検査と視診と絶対外せない触診
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第2回攻める触診!おさわりの達人になるために〜後肢編〜
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第3回攻める触診!おさわりの達人になるために〜前肢編〜
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第4回 「四肢のX線検査の撮影法と読影法〜前肢編〜」
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第5回 「四肢のX線検査の撮影法と読影法〜後肢編〜」
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第6回「運動器エコー検査がこれまでの診断学を変える〜前肢編〜」
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第7回「運動器エコー検査がこれまでの診断学を変える〜後肢編〜」
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第8回 「整形外科疾患に対する画像診断〜XP、US、CT、MRI、関節鏡検査をどう使い分ける?〜」
- 本阿彌 宗紀先生の「整形外科学シリーズ」 第9回 「整形外科疾患と神経疾患の鑑別」
<1>犬の跛行の原因としての上腕骨顆の不完全骨化
<2>不明瞭な跛行を示す犬における単相骨シンチグラフィ
[WE, VQ]