愛猫を完全室内飼育にするか、屋内外飼育にするのか、また完全屋外飼育にするのかを決めるには、飼い主であるあなたの慎重な判断が必要になります。そのためにはまず、それぞれのライフスタイルが、猫にとって、そしてあなたやご家族にとって、どのようなメリットとデメリット(リスク)があるのかを知ることが必要です。そして、それらを基にあなたの愛猫にとって何がベストなのかを決める必要があります。
- あなたが住んでいるところ
借家か?持ち家か?一軒家か?集合住宅か?隣までの距離、周囲の交通量などを考慮しましょう。 - あなたの猫の健康上の必要性
年齢、性別、性格など - あなたの猫の活動や行動の必要性。
- 獣医師からの推奨事項
地域の猫白血病や猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)の感染状況など - 以下に示すメリットとリスク。
猫が屋内、屋外どこで過ごすにしても、爪とぎ、狩り、追跡、獲物の捕獲など、猫本来の活動を楽しめるようにすることが重要です(本物でも偽物でも)。室内飼いの場合、猫は自分の欲求が満たされないと、退屈したり、恐怖を感じたり、不安になったりすることがあります。その結果、家具や壁をひっかいたり、トイレを使わなかったりといった、好ましくない行動をとるようになることがあります。猫の欲求を満たすために、豊かな環境を作ってあげることが大切です。
愛猫の感情的、社会的、環境的なニーズが満たされているかどうかを確認するための指針を得るために、当院にご相談ください。愛猫にとっての室内飼い、または室内・室外飼いのメリットとデメリットを理解すれば、愛猫にとってのリスクを最小限に抑え、メリットを最大限に引き出すことができます。
室内飼育
メリット
- 猫が屋外の危険にさらされることがないため、怪我のリスクが少ない
- 交通事故にあう危険性がない
- 目の届かない場所やものから中毒を起こす危険性が少ない
- 他人による虐待や盗難のリスクが少ない
- 伝染病や寄生虫のリスクが少ない
- 肉食動物や野生動物に襲われる危険性が少ない
- 極端な暑さや寒さ、危険な気象条件から守られる
リスク
- 猫の身体的、社会的、感情的な欲求を満たす、狩り、遊び、爪とぎなどの通常の行動を表現することができなくなる
- 退屈のリスクが高くなる
- 刺激が不足する
- 肥満のリスクが高くなる
- 寄生虫や伝染病の予防治療が受けにくくなる(オーナー次第)
- ストレスに起因する病気(下部尿路疾患、上部呼吸器感染症、消化器疾患)のリスクが高まる可能性がある
室内飼育の場合、猫の身体的、精神的、社会的ニーズがすべて満たされるように、キャットオーナーが少し努力する必要があります。以下のような猫のニーズをすべて満たす方法を考えましょう。
- 適切な遊びと運動を提供する
- 採食・狩猟のシミュレーションが可能な環境を整える
- 縦長の空間がある安全な飼育環境を作る
- 適切で清潔な排泄場所(トイレ)を準備する
屋外飼育/屋内外飼育
メリット
- 屋外に出ることで、縄張りの確立、爪とぎ、トイレの選択、尿や匂いのマーキングなど、猫が通常の活動に参加することができる
- 活動や運動が増えることで、猫の身体的、社会的、感情的な健康が改善され、ストレスに関連する行動のリスクが軽減される
- より刺激的なライフスタイルをおくることで、猫の五感(嗅覚、味覚、触覚、聴覚、視覚)に働きかけることができる
- 猫は伝染病や寄生虫の予防治療を受けやすくなる(オーナー次第)
リスク
- 屋外の危険にさらされ、怪我をする危険性が高くなる
- 交通事故にあう危険性がある
- 目の届かない場所やものから中毒を起こす危険性が高くなる
- 肉食動物や野生動物に襲われる危険性が高くなる
- 他人による虐待や盗難の危険性が高くなる
- 伝染病や寄生虫に感染しやすい
- 暑さや寒さ、危険な気象条件にさらされる
可能であれば愛猫のために安全な屋外環境を整える
猫が屋外に出る場合、外敵からの安全性を高めるために、可能であれば日中は外出させ、夜間は室内(または室内に出入りできる屋外の囲い)で飼うことが推奨されています。また、より安全な環境としては、ハーネスとリードをつけて猫を散歩させる、猫が自由に歩き回れる屋外の囲いを用意する、敷地の周囲にフェンスや見えない柵を設けるなどが考えられます。特に若い猫や雄猫は、怪我のリスクを高めるような活動をしやすいので、より注意深く観察する必要がるでしょう。