ネフローゼ症候群とは?
腎臓は血液から老廃物・余分な水分を取り除き(ろ過)、それを尿として排泄する大切な器官です。ネフローゼ症候群とは、この尿を作る腎臓の糸球体という部位に異常があるため、尿に多量の蛋白が出現する病気(症候群)です。
体中に送り出された血液は腎臓へ送られ、糸球体でろ過されます。このろ過された液は原尿と呼ばれ、そのまま体の外へ排泄されると必要な物質も出て行ってしまいます。このため腎臓は原尿の通り道である尿細管で必要な物(ブドウ糖・塩類・水分など)を再吸収するのです。そして再吸収された後、尿として尿管を通って膀胱へ送られ、その後尿道を通って体外へ排泄されます。
通常、糸球体の機能が正常であれば、蛋白質のような大きな物質はろ過されず血液中に残ります。ところが糸球体に異常があるとろ過機能がおかしくなり、蛋白質がどんどんと原尿に出て行き、さらに再吸収もされず、尿として排泄されるのです。
猫のネフローゼ症候群は犬よりも発症が稀だとされています。
ネフローゼ症候群の原因
ネフローゼ症候群の原因は、糸球体腎炎と腎アミロイドーシスです。犬における糸球体腎炎の好発年齢は6~7歳、腎アミロイドーシスは15歳以上とされています。
感染症、腫瘍、免疫疾患など慢性的な炎症状態があるとネフローゼ症候群に至ります。アミロイドーシスとは蛋白質様物質がいろんな臓器に沈着する病気で、腎臓に沈着した場合が腎アミロイドーシスとなります。猫ではいろんな臓器に沈着が見られますが、犬では腎臓への沈着がほとんどだとされています。
また、ネフローゼ症候群は遺伝的に起こることもあります。猫ではアビシニアン、オリエンタル、シャムに起こりやすいとされています。さらに糸球体腎炎は猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症、猫白血病(FeLV)感染症や猫伝染性腹膜炎(FIP)との関連も認められています。
ネフローゼ症候群の症状
まず見られるのは蛋白尿です。これ以外にも、食欲不振、元気消失(元気がない)、低アルブミン血症、高コレステロール血症、腹水、浮腫などが見られます。全身症状として高血圧・血液凝固亢進なども見られ、高血圧は、網膜剥離などを引き起こします。
ネフローゼ症候群の診断/検査
まずは尿検査です。外見上健康であっても定期的な尿検査をお勧めします。
また、他の病気との鑑別を行ったり、全身状態を把握するために、血液検査、血液化学検査、レントゲン検査、超音波検査などが必要になることもあるでしょうし、可能であれば血圧測定を行い、高血圧を確認する必要もあるでしょう。
病態を把握するためには、腎臓に針をさして細胞を採取して調べる腎生検を行うことがあります。
ネフローゼ症候群の治療
病気によってネフローゼ症候群が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
その他、運動制限、療法食も必要となりますし、プレドニゾロンやシクロスポリンといった免疫抑制剤、高血圧には降圧剤や血液凝固亢進には抗凝固剤など対症療法的に薬剤が使われます。輸液療法、腎疾患の療法食も必要になるかもしれません。
その他、運動制限、療法食も必要となりますし、プレドニゾロンやシクロスポリンといった免疫抑制剤、高血圧には降圧剤や血液凝固亢進には抗凝固剤など対症療法的に薬剤が使われます。輸液療法、腎疾患の療法食も必要になるかもしれません。
重度の腹水の場合、穿刺術(排液)を行う必要があります。
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▲上記の療法食は当院でも購入可能です(注文の場合もあります)し、オンラインでのご購入可能です。必要な方は専用の病院コードを発行致しますので、当院受付でお申し出ください。
(FU920476767)
ネフローゼ症候群の予防
ネフローゼ症候群の明確な予防方法はありませんが、感染症、腫瘍、免疫疾患など慢性的な炎症状態があるとネフローゼ症候群の引き金となりますので、病気を放置しないことは重要です。
ネフローゼ症候群の看護/その他
腎臓疾患は治療が難しく、ネフローゼ症候群は徐々に進行して慢性的な腎臓機能不全となります。だからこそ早期に発見して対処することが重要なのです。当院での定期的な尿検査をお勧めします。
定期的に血液検査、血液化学検査、尿検査、血圧測定などを行い、治療方法の継続や変更などをその都度決定しますので、定期検診はかかせません。
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