ACTH刺激試験とは?
コルチゾールは、下垂体からのACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の刺激によって分泌されます。ACTH刺激試験とは、副腎皮質機能亢進症が疑われた場合に行う検査で、副腎皮質刺激ホルモンをわざと注射し、注射前後の血液中のコルチゾールの量の変化により診断します。
この検査では自然発生した副腎皮質機能亢進症なのか医原性副腎皮質機能亢進症を判別することができますが、下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)と副腎腫瘍(AT)を区別することはできません。
また、試験の信頼度は低用量デキサメサゾン抑制試験のほうが高いとされていますが、検査時間が短かったり、採血回数が少ない、治療薬のモニタリングに用いることができることなどから、日本では比較的こちらが多く用いられる傾向にあります。
検査方法
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン:合成ACTH製剤)を注射し、注射前、注射1時間後、の2回採血を行い、血液コルチゾール値を測定します。
副反応
薬を投与した場合、本来望んでいる反応とは違う反応(良い反応も悪い反応もある)が起こることがあります。これを副反応と言います。ACTH刺激試験に用いる合成ACTH製剤では、頻度は不明で稀ですが、呼吸困難、低血圧、チアノーゼ、気管支喘息発作などいわゆるショック様症状が起こることがあります。もちろん動物病院ではそれに対処する薬剤やスタッフが準備してこの検査を行います。
低用量デキサメタゾン抑制試験の結果評価基準(犬)
注射1時間後の血液コルチゾール値が8.0~18.0μg/dlの場合は正常、それ以上なら自然発生の副腎皮質機能亢進症、以下なら医原性副腎皮質機能亢進症とみなされ、2.0μg/dL未満なら副腎皮質機能低下症(アジソン病)が示唆されるます。
※以下の表は当院で使用している富士ドライケム IMMUNO AUによる測定結果の判定表です。検査機器や機関により異なりますのでご注意ください。厳密には臨床症状・血液化学検査・エコー検査等と合わせて総合的に判断します。
ACTH刺激前 |
ACTH刺激後 |
結果の解釈 |
---|---|---|
1.0-6.0μg/dL |
24.0μg/dL以上 |
副腎皮質機能亢進症(クッシング症)が強く示唆 される |
19.0-24.0μg/dL |
副腎皮質機能亢進症(クッシング症)が示唆され る |
|
8.0-18.0μg/dL |
正常 |
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8.0μg/dL未満 |
医原性クッシング症が示唆される | |
2.0μg/dL未満 |
副腎皮質機能低下症(アジソン病)が示唆される |
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検査時間
検 査:全部で2時間程かかります。
検査結果:最終報告書までは3時間以上かかることがありますので、時には検査結果だけお伝えして、報告書は後日お渡しとなることもあります。
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注意事項
- 検査に2時間かかります。当日は9:30までに動物を当院まで連れてきてください。
- 検査結果はストレスに影響することがありますので、できるだけ普段通りでストレスを与えないようにしてください。
- 神経質な犬は病院内で検査を実施するだけで強いストレスが加わり、コルチゾール濃度が上昇してしまうことがります。
- 検査料金には注射料、採血料(2回)、預かり料などのすべての料金が含まれています。