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寄生虫科(犬)
コクシジウム症:Coccidiosis
コクシジウム症は、犬や猫の腸に寄生する単細胞の寄生虫であるコクシジウムによって引き起こされる感染症です。特に子犬や子猫、免疫力の低下した動物で問題となりやすく、宿主の腸の細胞に侵入してそこで増殖することで症状が現れます。これらの寄生虫は主にシストイソスポーラ属のCystoisospora felisとCystoisospora rivoltaによって引き起こされ、人や犬には感染しません。ただし、トキソプラズマ属は人畜共通感染症を引き起こすことがあり、これとは区別されます。 -
寄生虫科(犬)
シラミ症
シラミ症(しらみしょう)とは、皮膚や毛へのシラミの外部寄生のことを言います。屋外飼育や捨てられたりして、環境が悪い場合など犬猫に見られます。猫ではどちらかとおうとシラミよりみハジラミの寄生が多く見られます。 -
寄生虫科(犬)
鉤虫症
鉤虫症は犬鉤虫という口に鈎を持った寄生虫で 1 〜 2 cmの白色の寄生虫が犬の小腸に鈎を引っかけて寄生することによって起こる病気です。国内でも0.2~6.0%の犬が保有しているとされ、決して稀な寄生虫ではありません。 犬鉤虫は小腸で吸血するので、寄生されると貧血を起こすことがあります。 -
寄生虫科(犬)
犬疥癬症
疥癬症(かいせんしょう)は目に見えないくらい小さなヒゼンダニ(イヌセンコウヒゼンダニ)により伝染する皮膚病で、激しいかゆみを引き起こします。このかゆみの原因は、ヒゼンダニが皮膚にトンネルを作り、そのトンネル内に出した糞や分泌物に対するアレルギー反応です。 このヒゼンダニは、犬からほかの動物へ簡単に感染し、人にも感染するので注意が必要です。 人にも感染する人獣共通感染症:ズーノーシス(zoonosis)であり、感染すると腕やお腹などに発疹ができて強い痒みの症状がみられる場合があります。特に抵抗力の弱い病人や子供、老人などが感染すると症状が重くなるため注意が必要です。 -
寄生虫科(犬)
トキソプラズマ症
トキソプラズマは、原虫と呼ばれる顕微鏡でみなければみえないような小さな寄生生物で、世界中の猫(ネコ科動物)、豚、犬、鳥類などに感染がみられます。この原虫は人間にも感染し、人と動物の共通感染症(ズーノーシス)ですので、注意が必要です。しかしながら、大部分は症状が出ない不顕性(ふけんせい)感染であり、日本人では成人の20〜30%がすでにトキソプラズマに対する抗体を持っていることが知られています。 妊娠初期の女性がトキソプラズマ症に初感染すると胎児にも感染し、流産や死産などの原因にもなる可能性があるので注意が必要です。 -
寄生虫科(犬)
毛包虫症(アカラス)
毛包虫は別名で「ニキビダニ」や「アカラス」ともいわれます。動物の毛包内(毛穴)に寄生するダニの一種です。実は毛包虫は健康な動物の皮膚にも少し常在していて、ふつうは病気の原因とならなりません。しかし、免疫力が低下したりや遺伝的な要因などによって多数増殖してしまった場合、毛包虫症として発症することが多くあります。 毛包虫による皮膚炎は、局所性に出る場合と全身性に出る場合があります。さらに3〜12カ月齢で発症する若年性と1歳以降で発症する成犬の毛包症に分かれます。 -
寄生虫科(犬)
バベシア症
バベシア症は、バベシアと呼ばれる顕微鏡でしか見えない小さな原虫という病原体が、血液中の赤血球に寄生することによって溶血性貧血などいろいろな症状をひき起こす病気です。治療が遅れると死に至ります。病原体であるバベシアはマダニの体内に潜んでいて、マダニの吸血とともに犬に感染します。日本国内では病原性の比較的弱いバベシア症(Babesia gibsoni)が関西以西の西日本・四国・九州・沖縄地方に多く発生していますが、近年では東日本以北での犬の感染例も報告されています。壱岐島内でも複数バベシア症の発生(壱岐全島地域)を確認しています。 -
寄生虫科(犬)
瓜実条虫症
瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)症は、ウリの種が連なっている形をした瓜実(うりざね)条虫(サナダ虫)が小腸に寄生することによって起こる病気です。瓜実条虫はその虫卵を食べたノミやシラミの体内で発育し、グルーミングなどで犬や猫がノミを誤って飲み込むと同時に感染します。犬、猫、フェレットだけでなく、人にも感染するズーノーシス(人獣共通感染症)です。 -
寄生虫科(犬)
マンソン裂頭条虫症
マンソン裂頭条虫(まんそんれっとうじょうちゅう)症とは、犬や猫の小腸にマンソン裂頭条虫が寄生する病気です。1882年にパトリック・マンソンにより発見されたためこの名前で呼ばれているようです。ほとんどの場合は寄生しても無症状ですが、多数寄生した場合は下痢などの消化器症状が現れることもあります。 人間も感染する寄生虫ですが、犬や猫から移ることはありません。日本国内では猫での発生が多く、地域によっては30〜45%と高い感染率を示します。犬ではほとんどの地域で数%程度です。また、中間宿主の減少により都市部では近年ほとんど感染例がなく、地方都市や郊外での発生が多い寄生虫です。壱岐でも多く見かけます。 -
寄生虫科(犬)
犬フィラリア症:犬糸状虫症
犬フィラリア症は、犬の心臓に寄生する寄生虫による感染病で、蚊を介して広がります。症状は初期には気づかれず、後に呼吸困難や心臓、肝臓、腎臓の障害を引き起こし、死亡率が高いです。人や猫にも感染する可能性があります。予防薬や予防注射で予防可能で、感染が疑われる場合は検査が必要です。予防が最善です。血液検査で感染を調べ、予防薬の定期投与が重要です。 -
寄生虫科(犬)
犬回虫症
犬回虫症は、寄生虫である犬回虫によって引き起こされる感染症で、主に犬が感染源です。感染は犬の糞便中の虫卵から起こり、感染すると消化器症状や体重減少などの症状が現れます。感染は犬仔犬への母子感染もあります。診断には糞便検査が行われ、治療には駆虫薬の投与が含まれます。予防には幼犬の駆虫と衛生的な慣行が重要で、人間にも感染する可能性があることに注意が必要です。