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腫瘍科(犬)
乳腺腫瘍(犬編)
一般的に犬の乳腺(にゅうせん:おっぱい)は左右で5対あります。乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)とはこの乳腺に腫瘍ができる病気で、ほとんどは中~高齢の避妊手術をしていない老齢の雌(メス)犬に見られ、10万頭当たり198頭の発症率で、メス犬で最も多い腫瘍とされていますが、もちろん稀ですが雄(オス)に見られることもあります。 乳腺腫瘍といっても、その中には良性〜悪性までいろいろな種類の腫瘍があり、進行の度合いも個々の犬によって様々です。一般に犬の乳腺腫瘍は、良性と悪性の比率は50%程度と言われています(ちなみに猫の乳腺腫瘍では90%が悪性と言われます)。さらに悪性のものの中で転移して致死的なものは50%と言われます。この良性悪性の比率と転移の比率が共に50%であることから動物病院業界では犬の乳腺腫瘍の50%ルールと言われます。 -
腫瘍科(犬)
皮膚組織球腫
皮膚組織球腫(ひふそしききゅうしゅ)は、一般に1〜2歳未満(約50%は2才歳以下)の若齢犬に多く見られる皮膚の腫瘍で、頭や耳にできることが多く、次いで四肢にもよくみられます。通常は1ヶ所だけに発生し、ほとんどの場合、良性の腫瘍です。 稀ですが、皮膚組織球腫が複数できる場合は、ランゲルハンス細胞組織球症と言われ、皮膚組織球腫と異なり、治療に反応せず致死的です。 -
腫瘍科(犬)
精巣腫瘍
精巣腫瘍(せいそうしゅよう)は主に10歳以上の老犬に多く見られ、雄犬において皮膚腫瘍、繊維組織系腫瘍についで3番目に多く見られる腫瘍と報告されています。特に潜在精巣の犬では、正常な精巣を持つ犬と比べて精巣腫瘍になるリスクが高い(通常の約9~14倍)ことがわかっています。 犬の精巣腫瘍のほとんどは、セルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、間質(ライディッヒ)細胞腫と呼ばれる3種類の腫瘍で、これらはほぼ同じ割合で発生し、同時に一つの精巣内に複数の腫瘍ができることもあります。潜在精巣ではセルトリ細胞腫のできる割合がやや多いとの報告もあります。他の種類の腫瘍もできないことはありませんが、稀です。 猫の精巣腫瘍は犬に比較してかなり少なく、セルトリ細胞腫、ライディッヒ細胞腫、精細胞腫、奇形腫のなどの報告があります。 -
腫瘍科(犬)
リンパ腫(犬編)
リンパ腫(りんぱしゅ)は、悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ):リンパ肉腫(りんぱにくしゅ)などとも呼ばれ、体の免疫を担うリンパ球が癌化してしまう病気で、血液中にある白血球の一つであるリンパ球が癌化する造血器系の癌の一種です。犬の腫瘍中では比較的発生率が高く、腫瘍全体の7~24%を占めています。推定年間発生率は10万犬当たり、20〜100犬程度と報告されています。[4] 悪性リンパ腫は、解剖学的な位置から「多中心型」「縦壁型」「消化器型」「皮膚型」などに区分されます。これらのうち、犬の場合は体のリンパ節に腫れがみられる「多中心型リンパ腫」が大半(リンパ腫全体の 80 %以上)です。6歳以上の中高齢犬に多くみられますが、若齢でも発症します。性別差はありません。 犬種別では、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ボクサー、ロットワイラー、バッセト・ハウンド、セント・バーナード、ブルマスティフ、ブルドック、ジャーマンシェパード、バーニーズ・マウンテンドック、スコットランド・テリアなどがリンパ腫になりやすいと言われていますが、データは国により多少異なります。 逆に発生リスクの低い犬種はダックスフンド(日本では例外)、ポメラニアン、チワワ、ミニチュア・プードル、トイ・プードル、チャウチャウ、ヨークシャー・テリアが挙げられています。