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脳神経科(猫)
前庭疾患
前庭疾患(ぜんていしっかん)とは、様々な原因で平衡感覚を失ってしまう病気全般を指します。 動物には、両側の耳の鼓膜の奥に、蝸牛、前庭、三半規管の3つがあり、このうち前庭と三半規管は平衡感覚に関わる器官です。この三半規管が感知した頭の動きや位置が神経を通じて脳幹へ伝えられ、「平衡感覚」が生まれます。片側の三半規管やその信号を受け取る脳幹が機能しないと、世界がグルグルと回ってしまうような感覚に陥り、めまいやひどいふらつきが起こります。 ドーベルマン・ピンシャーやジャーマン・シェパード、柴犬などのいくつかの犬種は遺伝的に前庭疾患を起こしやすく、子犬のときから症状が現れることもあると報告されています。 -
脳神経科(猫)
痴呆(認知症:認知機能不全症候群)
「痴呆(ちほう)」とは一般には「ボケ」とも言われます。これは、発育した脳が加齢などにより損傷されて、それまでに獲得していた知的能力が低下してしまっている状態で、現在では「認知症(にんちしょう)」「認知機能不全症候群(にんちきのうふぜんしょうこうぐん)」などとも言われます。 近年では獣医療の進歩に伴いワンちゃんや猫ちゃんの高齢化が進み、その結果、老齢に伴う認知症が増加しています。カリフォルニア大学の研究では11〜12歳の約28%、15〜16歳の約68%の犬に認知機能障害が現われると報告されています。猫では11〜14歳の約30%、15歳以上の約50%で見られるとされています。 また、犬では小型犬に多く、雄(オス)よりも雌(メス)に多く、未去勢雄よりも去勢雄に多い(長生きするから?)と報告されています。また、てんかんを持っていると発症しやすいとの報告もあります。 さらに、好発犬種としては柴犬や日本犬系の雑種がなりやすいと言われてますが、そうではなく年齢(加齢)が大きなリスク要因であるとする報告もあります。 以前は、犬の痴呆症は人とお -
脳神経科(猫)
水頭症
脳の周りは、頭蓋骨との間に脳脊髄液と呼ばれる体液があり、クッションのような役割をして脳を守っています。水頭症(すいとうしょう)とは、この髄液が頭蓋内に過剰にたまり、脳が圧迫されて様々な症状が出る病気です。 マルチーズ、ヨークシャー・テリア、イングリッシュ・ブルドッグ、チワワ、ラサアプソ、ポメラニアン、トイ・プードル、ケアーン・テリア、ボストン・テリア、パグ、ペキニーズなど、一般にトイ種やミニチュア種、短頭種はリスクが高いと言われています。猫では稀な病気ですが、シャム猫に多く発症すると言われています。 -
脳神経科(猫)
てんかん(癲癇)
癲癇(てんかん)とは、発作的に繰り返される全身性の痙攣(けいれん)や意識障害を主な症状とする脳疾患で、繰り返し起こります。犬において最も一般的な発作の原因といわれています。てんかん発作の発症は5歳になるまでみられないこともありますが、一般に6ヶ月〜3歳齢の間に初めて起こることが多いようです(一次性てんかん)。 犬ではの発症率は0.55〜2.3%ですから100頭に1頭程度、猫では0.3〜1.0%ですので、100頭に1頭以下くらいです。