猫を知る

・猫は小さな犬じゃない!

 「猫は小さな犬じゃない!」これは動物病院業界に古くから伝わる格言です。猫は群れで生活する犬とは違う動物です。犬は、絶対的な権威をもつリーダーに服従する動物と言われ、飼い主への忠誠心が強いのは、この習性からきています。一方、猫は、単独で行動する動物です。そのため、リーダーを必要としていないので、飼い主に対する忠誠心もありません。どう行動するべきかの判断をすべて自分で行います。そのへんの習性が、猫がプライドが高く、マイペースで気分屋といわれる所以です。
 
 また、猫は独立心が強いので、無理強いされることを非常に嫌います。猫と上手につきあっていくためには、猫の様子をよく観察して、気持ちを尊重することが大切です。

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・猫は縄張り(なわばり)を大切にする!

 ネコ科の動物は通常、単独でなわばりを作り、その維持管理のために確認を行いながら暮らしています。「なわばり」とは生きていくために必要な食べものや水を確保し、発情期に異性と出会い、子育てをするのに不可欠なエリア(空間・範囲)です。

 完全室内飼育の猫では、家の中だけがなわばりになりますが、野良猫や室内室外自由飼いの猫では、他の猫ともなわばりを共有しているので、毎日、見回って自分のなわばりが荒らされていないか点検する必要があります。面白いことに、猫のなわばりは広さではなく、その質を重要視します。室内飼育でもなわばりの条件を満たしていれば、十分満足して生活していくことができるのです。猫は完全室内飼育できないという考えは古い考えです。ただし、例えば室内に段差をつけるなどしれ、そのなわばり条件を満たしてあげる必要があります。
 
 また、なわばりに関連して、自分のニオイをつける「マーキング行動」をおこないます。これは、ほかの猫になわばりを宣言するためです。実は「爪とぎ」も、重要なマーキング行動の一つで、単に爪あとをつけるだけでなく、前足の裏のパッドからフェロモンが分泌されていて、このニオイつけることでなわばりを示しています。この他に、あちこちにオシッコをひっかけたり、ウンチを目立つところにしたりすることもなわばり行動です。

・猫は夜行性で1日の大半を寝て過ごす!

 猫はもともと夜行性の動物で、主に明け方と夕方に活発に動く習性があります。これは、野生では、この時間帯が狩り(ハンティング)の成功率が高いからだったからだろうと言われています。そのためか、猫はとてもよく寝る動物でもあり、「猫」という呼び名は「寝子(ねこ)」からきているという説もあるくらいです。だいたい子猫だと20時間くらい寝ています。成猫でも1日15~16時間は寝ると言われます。

 猫がよく寝るのは、肉食動物で、草食動物と違って獲物を捕まえて食べられれば高カロリーのエネルギーを獲得できますが、次にまたいつ獲物にありつけるかわかりません。そこで、野生の頃は、一度食べたらなるべく動かないでエネルギーを温存するという生活スタイルをとっていたためだとも考えられています。

・猫と人間の年齢を比較

 犬も猫もそうですが、人間に比べると、格段に早く成長します。まあ、寿命の長さの違いがあるので、一概には言えませんが、生後1年~1年半を過ぎたら、もう立派なおとな=成猫です。ですから、子どものような存在でも、犬や猫はペットオーナーの年齢をあっという間に追い越していきます。

 一つの目安ですが、人間の年齢に換算すると生後1年で約18歳、2年で約24歳、その後は猫の1年は人間の約4年分に換算されます。そして、個体差がありますが、猫の7歳頃から、徐々に老化が始まります。猫の寿命は15年くらいと言われていますが、最近では20年以上生きる長寿猫も少なくありません。獣医学の発達や食生活の改善などで、人と同じ様に猫の世界も寿命が伸びています。
 

【猫と人間の標準年齢換算表】

ネコの年齢人間の年齢にすると
1ヶ月4歳
2ヶ月8歳
3ヶ月10歳
6ヶ月14歳
9ヶ月16歳
1歳18歳
1歳半20歳
2歳24歳
3歳28歳
4歳32歳
5歳36歳
6歳40歳
7歳44歳
8歳48歳
9歳52歳
10歳56歳
11歳60歳
12歳64歳
13歳68歳
14歳72歳
15歳76歳
16歳80歳
17歳84歳
18歳88歳
19歳92歳
20歳96歳
※この年齢換算表は猫の種類や飼育状況、個体差などにより違いがあり、あくまでも目安です。
※年齢の計算方法:猫は最初の2年で24歳、3年目からは1年に4歳ずつ歳をとります。
 24+(猫年齢-2歳)×4
 例)猫年齢10歳ならば、24+(10-2)×4=56歳
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参考文献・資料等
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