※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!
てんかん(癲癇)とは?
てんかん(癲癇)の原因
てんかん(癲癇)の症状
- 飼い主にしがみつく
- 不安で落ち着きがない
- 怖がる
- 流延(よだれが出る)
- 口をくちゃくちゃさせる(チューインガム発作)
- 手足や顔面等の一部に痙攣を起こす
- 全身痙攣を起こす
- 意識消失
- 後弓反張(後ろにのけぞる)
- 遊泳運動(手足を無意識にバタバタさせる)
- 一定の所で自分の尾を追いかけてくるくる回る(テイルチェイシング)
発作中には、尿や便をもらしてしまうこともあります。発作が起きると一時的に意識がなくなることもありますが、通常は数秒〜数分で終わり、その後は何事もなかった様に過ごします(ここがポイントです)。
重度の場合は短い間隔で何度も発作を繰り返したり、長く続く発作(重積)となる事があり、これは大変危険ですので、すぐに当院にご連絡頂くか、獣医師の診察を受けてください。
てんかん(癲癇)の診断/検査
てんかんを診断するための専用の検査というのはありません。てんかんという病気の重要な定義は「発作」が繰り返し起きることです。1回だけの発作でてんかんを疑うことはできますが、それだけで、てんかんの診断はできません。てんかんを診断するためには、てんかん以外の病気を除外するためにいろいろな検査を行う必要があります(除外診断)。
▷国際獣医てんかん特別委員会(IVETF)てんかん問診票
※てんかんかな?と思った方は上記問診票にご記入いただき、ご来院下さい。てんかん診断の助けになります。
国際的なガイドラインでは、まず、第1段階として問診で病歴として、
・24時間以上あけて2回以上のてんかん発作起こしたか?
・初めててんかん発作を起こした年齢が6ヶ月から6歳までの間か?
(6ヶ月以前であれば先天的な異常が、6歳を超えてくるとてんかんだけでなく、脳腫瘍など他の発作原因も考慮する必要があります)
・発作が起こっていない時には他に問題がないか?
を確認し、一般身体検査、神経学的検査、血液検査・血液化学検査、尿検査、糞便検査などを行います。
次に、第2段階として、上記第1段階の検査で特筆すべき異常が見られなかったら、食前食後の胆汁酸測定を行い、脳脊髄液検査、脳CTあるいは脳MRI検査を行います。
そして第3段階として脳波検査を行う必要があり、これにより「てんかん」が診断されますが、獣医療領域では脳波検査は一般的でなく、できる施設も限られていて、通常は費用や設備の問題からすべてを行う前に仮診断でてんかんの治療が行われることがほとんどです。
てんかん(癲癇)の治療
注意:多くの抗てんかん薬は催奇形が報告されているので、妊婦さんやこれから妊娠を考えている方は扱わないようにしてください。また、投与している動物のオシッコはペットシーツにしみこませて処分するようにしてください。
2019年6月より特発性てんかんの栄養管理をサポートする専用ドッグフードが国内でも発売されました。薬と併用することで14%で発作がなくなり、48%で発作が半減、71%で発作頻度が減少したと報告されていますので、使ってみる価値はあると思います。
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▲上記のてんかん用療法食は当院でも処方可能です。仔犬、成犬、老齢犬などすべてのライフステージで使用可能です。当院での診察・診断・処方後オンラインでのご購入となります。詳しくは当院にお尋ね下さい。
てんかん(癲癇)の予防
てんかん(癲癇)の看護/その他
てんかんを持っていると認知症が発症しやすいとの報告があります。また、何度も起こるてんかん発作を治療しないと、脳の損傷が蓄積されて、発作を重ねるごとに重症化する傾向があります。
抗てんかん薬の投薬を行っている場合、発作が現れなくなっても、独断で投薬を中止しないようにしましょう。投薬期間や投薬時間、投薬量などをきちんと守ることが重要となります。勝手に薬を止めると症状が悪化する可能性がります。通常、抗てんかん薬は生涯飲ませなければなりません。
抗てんかん薬でコントロールができている状態(目標は1ヶ月以上てんかん発作が起こらない状態(可能であれば3ヶ月以上)をキープできるかどうか)であれば予後は良好となりますが、重積発作が続くような状態の場合は予後が不良となることがあります。
てんかん発作は、ストレスなどの精神的な問題、天候などの周囲の環境が引き金となって発生することもあるといわれます。ストレスなど負担をかけないよう生活することも大切です。
てんかん発作の種類を見分ける重要な点は、発作中に意識があるかどうか?、全身のけいれんを起こしているのかどうか?の2点です。また、発作が起こった場合以下のような事柄を記録しておいていただけると診断や治療の助けになります。
- 発作は何月何日何時何分頃はじまり、何時何分頃終わったか?(または何分くらい続いたか?)
- 発作を起こした時は何をしていたか? 発作を起こす前に普段と変わった行動をとったか?
- 発作中は意識はあったか?(声をかけて動物が反応するか観察する)
- 発作の後はどうなったか?
- 回復するのに何分くらいかかったか?
※余裕があれば発作の状況をスマートフォーンなどで動画を撮影して見せてもらえると診断に役立ちます。
次のような場合は早急に当院にご連絡いただくか、獣医師の診察を受けてください。
▷群発発作:24時間以内に2回以上の全身性痙攣発作が起こる。
▷てんかん重積:”休み”なく2回以上の発作が起こる、または1回の発作が5分以上続く。
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参考文献・資料等
- International Veterinary Epilepsy Task Force Consensus Reports
- International Veterinary Epilepsy Task Force’s current understanding of idiopathic epilepsy of genetic or suspected genetic origin in purebred dogs
- 伴侶動物治療指針 Vol.7; 154-158:犬の特発性てんかんに対するゾニサミド療法
- 犬の内科診療 Part1; 473-478:てんかん重積
- 猫の臨床指針 Vol.3; 196-201:てんかん
- 特発性てんかん
- Investigating the potential for seizure prediction in dogs with idiopathic epilepsy: owner-reported prodromal changes and seizure triggers
<1>.原発性てんかんが疑われた猫の治療および長期的なフォロー・アップ
<2>.特発性てんかんの犬における必須脂肪酸補給の効果: 臨床的試み
<3>.癲癇重積状態の後にクリューバー・ビューシー症候群様の行動と辺縁系の両側性壊死を示した犬(2005)
<4>.フェノバルビタール治療を行った癲癇犬の血清中アルカリフォスファターゼ分画プロファイル
<5>.犬の難治性特発性てんかんに対するゾニサミド療法に関する前向き研究
<6>.発作を起こした小動物患者に対する緊急処置
<7>.犬のてんかんの薬物的管理
<8>.犬の難治性特発性てんかんに対するゾニサミド治療
<9>.健康なビーグルに対する臭化カリウムの高用量経口投与後における臭化物の薬物動態学および毒性
<10>.猫の発作の管理について