・急成長期と緩やかな成長期
急成長期
子猫は、口や歯が小さく1回の食餌量に限りがありますので、消化しやすく、栄養密度の高い、良質の動物性蛋白質を含んだ食餌が必要です。
緩やかな成長期
成長スピードはゆっくりとなり活動量が低下すると、食餌の回数は減り、1回あたりに食べる量は増えます。この時期の子猫の外見は、成猫のように見えますが、まだ成長段階です。子猫用フードに含まれるような特別な栄養素が必要です。
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仔猫への栄養補給のポイント
- 生後2〜6ヶ月齢・・・1日量を3〜4回に分けてあげるとよいでしょう。
- 生後6ヶ月齢・・・食餌回数は減少し、食餌量は増加します。
- 湿らせたフードは、品質保持の観点から、長時間放置しないように注意しましょう。
- 食餌以外の時にも新鮮な水を忘れずに。
- 子猫の成長期の初期では食餌の給与量も多いですが、成長期に応じて減っていきます。月齢・体重に合わせて給与量を調整しましょう。きちんとしたキャットフードはフードパッケージの裏面に標準給与量表が記載されているはずです。それを参考にしましょう。
・具体的なフード切り替えの目安
〜生後約4週齢 | お皿に温かい子猫用ミルク(子猫用ミルク、哺乳瓶は当院でも販売しております)を入れて導きます。お皿からミルクをぺろぺろ舐めることができるようになったら、半固形の離乳食が開始できます。舐めることができなければ、哺乳瓶やスポイドで子猫用ミルクを与えます。 一般の人間用の牛乳は駄目です。必ず猫用を使うようにしてください。 1回に飲めるミルクの量が5ccに満たないときや自力で哺乳瓶に吸い付く力が無さそうな時はスポイトやシリンジ(針のない注射器)などを使って飲ませましょう。一気に流し込むと気管に入って誤嚥性肺炎を起こすのでごく少量ずつ飲ませるように気をつけてください。 ※子猫の体温が35℃未満であれば、まず体を暖めてからミルクを飲ませなければいけません。34℃以下だと飲ませても消化できず下痢になったりします。また、32℃以下では飲み込むことができず誤嚥性肺炎を起こす可能性が高まりますので注意が必要です。
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生後約4〜6週齢 | 子猫用ドライフードを温めた子猫用ミルクやぬるま湯に少量混ぜておかゆ状の離乳食をつくります。2〜3週間かけながら徐々にミルクやぬるま湯の量を減らしていきます。 ※湿らせたフードは、品質保持の観点から、長期間放置しないように注意する。 |
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生後約6〜7週齢 | 子猫に数本乳歯が生えてきたら、徐々に子猫用ドライフードの硬いままのフードを混ぜて慣れさせていきます。 | ||||||||||
生後約8週齢 | 完全離乳 | ||||||||||
生後約6ヶ月齢 | 子猫は緩やかな成長期に入ります。見た目は成猫の大きさになっていても、まだ成長過程で、子猫用ドライフードに含まれる特別な栄養を必要とします。成長スピードが緩やかになり始めたら、1日の食餌を減らし、1回の量を増やして下さい。 | ||||||||||
生後約12ヶ月齢 | 生後約1年程度で、維持用の成猫用フードに切り替えましょう。 |
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食餌切り替えのポイント
- 最初のうちはブリーダー、ペットショップ、前の飼い主さんなどに与えていたフードを2、3日分わけてもらったり、好みを聞いたりしておきましょう。
- フードを切り替える際は、少しづつ成猫用のフードを取り入れるとスムーズにできるでしょう。
- 徐々に子猫用と成猫用のフードの割合を変えて、成猫用を増やしていき、約4日で成猫用フードに100%切り替えます。
- 猫は食餌に関して気難しい動物です。子猫の時期に食べたことのないものは、成猫になってからも食べないことが多いとされています。将来、年齢別のフードや療法食に切り替える必要が出たときのことを考えて、色々な種類のフード(肉味/魚味、ドライ/ウエットなど)に慣れさせておくと良いでしょう。
食餌の後の下痢や嘔吐について
仔猫が食餌の後に下痢や嘔吐する場合、突然フードを変えたり、給与量を間違えたりしていませんか? まず、フードの与え方、切り替え方、給与量を確認してみましょう。必要以上に食べさせているかもしれません。ただ、元気がない、様子がおかしい等の場合は、当院にご相談下さい。
フードへ他の食べ物を混ぜることや手作り食
高品質のプレミアムフードには、必要な栄養がか過不足なく含まれています。バランスのとれたプレミアムフードなら、お肉や野菜を混ぜたり、サプリメントを加える必要はありません。いろいろな食べものを追加すると、かえってフードの微妙な栄養バランスが崩れてしまいます。
ましてや、手作り食はよくありません。一見良さそうにみえますが、世の中に出回っているほとんどの猫用レシピは猫の栄養学を満たしていないことが多くの研究で指摘されています[1]。また、生肉や生魚は寄生虫や病気の感染を防ぐという点から、避けたほうが無難です。
おやつの与え方
おやつもライフステージやライフスタイルに応じた栄養バランスの良いものを選びましょう。また、おやつの与えすぎによって、太ってしまったり、必要な食事を食べなくなったりすることがありますので、注意が必要です。量は、一日の必要摂取カロリーの10〜15パーセント以内までにしましょう。また、与えたおやつのカロリー分の食事量を調節してあげる必要があります。
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参考文献・資料等