食道炎

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食道炎とは?

食道(しょくどう)は、口から胃まで食べたものや水を運ぶ筒状の臓器です。食道炎(しょくどうえん)とは、この食道の粘膜に摂取した食べ物や胃食道逆流により炎症が起こる病気です。

 

その程度は様々で、食道内部を覆っている粘膜の軽度の炎症から、粘膜の下(筋層)に達するまでの重度の炎症があり、まれに食道炎が原因で、食道の内腔が狭くなる食道狭窄などを起こすこともあります。

食道炎の原因

食道炎の原因としては、刺激性物質、腐食性部室の摂取やとがった金属片やプラスチック、鳥や魚の骨など食道に滞留した異物、胃食道逆流による胃酸の刺激、全身麻酔による逆流、持続的な激しい嘔吐による胃液の逆流、過剰加熱物による熱損傷、カンジダなどの感染症、食道の病気(巨大食道症・食道腫瘍など)、胃カテーテルや内視鏡などによる医原的な食道の損傷によって引き起こされます。特に猫は食道内に抗菌剤(多いのはドキシサイクリン<2>、クリンダマイシン)などの錠剤やカプセルが停滞しやすく、それが原因で食道炎を起こすことがありますので、注意が必要です。

食道炎の症状

症状は、食欲不振、沈うつ、脱水、痛みによる飲み込み困難、食後すぐの吐出、流涎(涎がながれること)、唾液の飲み込み運動の増加、その他にも、頭を伸ばして立つ、横臥(横になること)を嫌がる、震えなどが見られることがあります。長期間になると体重も減少してきます。

食道炎の診断/検査

食道の状態を確認するたえにまずはレントゲン検査検査が必要になるでしょう。この場合、バリウムなどによる造影が必要になることもあります。重症の場合、全身状態を知るために血液検査血液化学検査尿検査なども必要になることがあります。
確定診断を行うには内視鏡検査、病理組織検査が必要です。

食道炎の治療

食道炎の原因に応じた治療法が必要になりますが、軽度の場合1〜2日の絶食、食道粘膜保護剤の投与などで対処します。胃炎や膵炎など基礎疾患がある場合はその原因となる病気の治療を行いながら、粘膜保護剤や胃酸分泌抑制剤、消化管運動促進剤などを投与します。また、食欲が無かったりうまく飲み込めないときには、流動食を与えたり点滴治療を行などの栄養治療や対象療法も必要でしょう。重度の食道炎の場合、食道を休めるために、胃の中にチューブを入れ、そのチューブを通して食餌や水を与えるといった治療が必要になることもあります。

 

さらに、食道炎が重度で食道狭窄が発症した場合には、食道の狭くなった部分をバルーンカテーテルで拡張させたり、ステントを設置する治療が必要になります。

食道炎の予防

飲み込んでしまう可能性のある小さなプラスチックや金属の破片、魚や肉の骨等をに注意しましょう。また、火傷をしないように冷ました食べ物を与えることも大切です。嘔吐が食道炎発症の原因となることがあるので、嘔吐の症状がある場合は放置せず早めに当院にご相談下さい。その他上記のような症状が見られる場合も、早めに当院にご相談下さい。

 

 薬が原因になることもあるので、薬を飲ませた場合は、指示がない限り、水を飲ませるか食餌を必ず与えるようにしましょう。

食道炎の看護/その他

食道炎の場合、食欲がないから言って無理に食餌を与えるのもかえって悪化することもあります。まずは、食餌を与えず、水のみ与えて当院にご相談下さい。

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参考文献・資料等
  1. 猫の臨床指針Part2, 72-76


<1>8頭の健康猫でのFlavoRx pill glideを用いた投薬と内服薬を服用させるためのトリーツを用いた投薬の食道通過時間を評価する比較研究
<2>クリンダマイシンによると考えられる猫の食道損傷: 5症例
<3>食道の円柱上皮化生に関連して発生した逆流性食道炎のネコの3例
<4>逆流性食道炎の診断と管理
<5>360度胃捻転を伴った急性胃拡張後に食道穿孔を発症した犬の1例
<6>猫の胃食道逆流疾患に続発した食道炎: 臨床症状およびX線検査、内視鏡検査、病理組織学的検査所見
<7>胃食道逆流と解釈された臨床症状を示す犬における携帯型無線食道PHモニタリング
<8>全般性巨大食道症に罹患した犬における退院前の死亡および全体的な生存期間に関連した臨床的要素
<9>麻酔中の犬の胃食道逆流に対するエソメプラゾールとシサプリドの影響
<10>犬猫における良性の食道狭窄の治療に対するブジー挿入術の危険因子と結果:28例(1995-2004)
<11>犬の好酸球性食道炎
<12>食道炎および食道狭窄
<13>速溶性塩素顆粒を摂取した犬に見られた中毒
<14>ビスフォスフォネートと癌

この記事を書いた人

福山達也