ヘモプラズマ症:haemoplasma

ヘモプラズマ症の治療

 ヘモプラズマ症の治療には、抗生物質を使用します。ドキシサイクリンエンロフロキサシンが一般的に処方され、これらの薬は細菌の増殖を抑制する働きがあります。ただし、ヘモプラズマは完全に除去されることが難しく、多くの場合、治療後も愛犬・愛猫はキャリアとして病原体を保有し続けます。重度の貧血が認められる場合には、輸血やステロイド療法(糖質コルチコイド)によって症状を緩和します。

ヘモプラズマ症の予防

 現時点で、ヘモプラズマに対する予防ワクチンは存在していません。そのため、最も効果的な予防策は、ノミやダニの寄生を防ぐことです。定期的にきちんと動物病院で処方される効果的な薬剤で定期的な寄生虫駆除薬を行うことや、屋外での散歩、屋外飼育を制限し、他の猫や犬との接触を最小限に抑えることが推奨されます。特に感染が多発する地域では、予防措置を徹底することが重要です。また、輸血が必要な場合には、感染のリスクがない血液を使用することが重要です。

ヘモプラズマ症の看護/その他

 ヘモプラズマ症に感染した愛犬・愛猫を自宅で看護する際には、日常的に体調を観察し、異常が見られた場合には早めに当院にご相談ください。特に貧血食欲不振、呼吸困難などが現れた場合は、すぐに連絡してください。抗生物質の投与中は、食欲や消化状態に変化がないかを注意深く観察し、副反応が疑われる場合にはすぐに対応する必要があります。

 また、自宅での看護の一環として、愛犬・愛猫の歯茎や舌の色、呼吸のリズム、行動の変化を定期的にチェックすることが推奨されます。症状が急に悪化することがあるため、異常があれば早急に当院にご相談ください。

 ヘモプラズマ症に感染した愛犬・愛猫は回復後もキャリアとなり体の中に病原体を持っています。ストレスや免疫の低下で再発することがありますので、日頃の観察を怠らないようにしましょう。また、外に行く場合は、動物病院で処方されるノミダニ駆除剤を定期的にきちんと用いて予防してください。そうしないと今度はあなたの動物が地域にこの病気を広げていきます。できれば外に出さないことが一番ですが、どうしてもそれができない場合は年間を通うじてきちんとノミダニを予防してください。

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参考文献・資料等
  1. 猫の臨床指針 Part3 286-291:ヘモプラズマ症
  2. Ettinger’s Textbook of Veterinary Internal Medicine 9ed CHAPTER 194: Hemotropic Mycoplasmas
  3. Mycoplasma haemofelis


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この記事を書いた人

福山達也