尿タンパク(にょうたんぱく)とは尿中(オシッコ)に排泄される蛋白のことです。正常な尿には蛋白はほとんど含まれないか、あるいは全く含まれません。主に腎臓の病気の判定に利用される指標の一つが、この尿蛋白(にょうたんぱく)です。尿蛋白は蛋白尿(たんぱくにょう)ともいいます。蛋白尿の殆どはタンパク質の中のアルブミンです。
尿タンパク基準値
犬 | 猫 |
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陰性(ー) | 陰性(ー) |
尿蛋白陰性(ー)で、異常なしと判定されます。尿蛋白陽性(+)以上では、尿にタンパク質が含まれていることを示します。健康な犬や猫の尿には通常、ごく微量にたんぱく質が含まれているものの、尿蛋白はほとんど排出されません。
しかし、主に腎臓になんらかの問題が生じてていると、正常な状態よりも多くのタンパク質が尿中に含まれることがあります。尿蛋白が陽性(+)以上の場合には、腎臓の病気が疑われますので、血液検査、血液化学検査、レントゲン検査、超音波検査など詳しい検査が必要となります。
尿タンパクの原因
尿タンパクはそのタンパクがどこから出ているのかによ、主に、腎臓より前に原因のある腎前性、腎臓に原因のある腎性、腎臓より後ろに原因がある腎後性に分けられます。
腎前性 | 炎症、感染症(例:子宮蓄膿症、レプトスピラ症など)、溶血、横紋筋融解(重度な筋損傷)、腫瘍など |
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腎性 | 一過性(発熱、発作、運動など)、糸球体障害、尿細管障害、間質障害(急性または慢性間質性腎炎) |
腎後性 | 腎盂腎炎・尿管・膀胱・尿道の炎症あるいは出血まやは腫瘍、尿路以外の生殖器の炎症あるいは出血など |
その他 | 尿細管分泌(濃縮された尿) |
尿検査に関する注意点
・検査の結果が「基準値」から外れていても必ずしも異常を示すものではありません。他の検査項目や症状などと見比べる必要があります。詳しい結果の解釈につきましては、その都度お話いたします。
・当院ではセカンドオピニオンのためにも必ず検査データをお渡しします。動物病院で血液検査・血液生化学検査・尿検査などを行った場合は必ず検査結果をもらうことを推奨します。それは病気の経過を判断したり、セカンドオピニオンを受ける時に役立ちます。今どき、検査結果をもらえない病院はおかしいと思ったほうがいいでしょう。
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参考文献・資料等
- イヌとネコの尿検査.32-37:日常的な尿検査:化学的分析 蛋白
- イヌとネコの尿検査.113-132:蛋白尿
- Consensus Recommendations for the Diagnostic Investigation of Dogs with Suspected Glomerular Disease