新しい子猫を迎えるにあたって

 ペットショップや知人、保健所などから入手したにしろ、拾ったにしろ、飼い始めた直後は嬉しかったり、心配だったりで構い過ぎてしまう傾向にあると感じます。小さなお子さんのいらっしゃるご家庭では構い過ぎで猫ちゃんにかなりのストレスがかかることがあります。特に仔猫の場合、飼い始めてしばらくの間は環境が変わり、精神的・肉体的ストレスが重なって最も体調を崩しやすい時期です。飼育開始1〜2週間が最もストレスがかかると言われています。この時期体調を崩して、食欲不振嘔吐下痢、などで命さえ落としてしまうことがあります。

 猫ちゃんを迎えてしばらくは、環境に慣れさせることを第一に考えて、もともと猫はよく眠る動物ですから、寝ている時は邪魔をせず寝かせてあげ、起きてる時は目一杯一緒に遊んであげましょう(特に小さなお子さんのいらっしゃる家庭では子供さんにこの話をして上げてください)。ただ、夜行性の動物でもあるため、昼間は寝てばかりいても夜は運動会のようにはしゃぐことがあるのも覚えておいてください。

ペット・キャリーの選び方

 子猫を家に連れて帰るには、ペット・キャリーに入れて移動する必要があります。ペット・キャリーに入れておくと、どんなに短い移動時間でも、安全で安心です。そのためには、まず正しいタイプのペット・キャリーを選び、子猫にとってキャリーがポジティブな体験の場所になるようにしなければなりません。そうすれば、あなたと猫にとってより快適な生活が送れるようになります。また、動物病院やペットホテルへの移動も、ストレスなく行えるようになります。

  • 安全で快適なペット・キャリーは、車や船などすべての移動形態で使用することができます(海外では、車内に猫や犬だけを放すことは法律で禁止されているところもありますので注意してください)。
  • 頑丈で丈夫なプラスチック製のペット・キャリーは、キャリーを倒したり落としたりしても猫を守ることができ、脱走防止にもなるためお勧めです。段ボールや薄い簡易プラスチック製キャリーは、水に濡れたり、非常に元気な猫が引っ掻き回して脱出しようとしたりすると、1回の移動にも持ちこたえられないかもしれません。また、柳や籐などの編み物で作られたキャリーは、猫が移動の途中でトイレをしたときに掃除するのが非常に大変ですし、ファスナーで開閉する布製のキャリーは、元気で冒険心旺盛な猫に簡単に開けられてしまいます。
  • 子猫がまっすぐ歩けるキャリー(前後両開きのペット・キャリー:一方向にしか扉がないタイプはお勧めではない。必ず最低でも2方向が開くタイプを!)は、猫が自発的にキャリーに出入りするようにしつけるのに適しています。キャリーの中におやつを入れておくと、猫が中を探検するようになります。繰り返し、その都度ご褒美を与えることで、子猫はキャリーを良い場所として関連付けることができます。少し臆病な子猫には、上部が開くタイプのキャリー(前後と上に扉があるタイプ:一番お勧めのペット・キャリー)を使用すると、上部の開口部から子猫を静かに入れたり出したりするのに最適です。
  • キャリーは簡単に分解でき、上部を完全に取り外すことができるようなタイプを選ぶべきです。これなら、獣医師が診察時に、キャリーの上部を外し、キャリーに入ったままの猫を診察でき、優しくアクセスできます。

 子猫が小さいうちは、小さなキャリーを買いたくなるかもしれませんが、子猫はどんどん成長していきます。成猫になったときに、立ち上がることができ、振り向くことができる大きさのキャリーを購入することが重要です。最初から成猫用のキャリーを購入すれば、移動時には丸めたタオルや布団で内部空間を小さくすることで、子猫をより安心させることもできます。

猫用キャリアの持ち方、支え方:

移動や旅行をするとき

キャリーの中には、子猫が寄り添えるような暖かく柔らかいもの、例えば、今まで寝ていた毛布などを入れてあげましょう。
・移動や旅行前にフェリウェイ(猫用合成フェロモン)をペット・キャリーにスプレーしておくと、子猫が安心します(スプレーに含まれるアルコール成分が蒸発するため、移動の20分以上前にスプレーをしてください)。
・移動中のトイレに備え、車内ではバスケットを防水性のあるものの上やペットシーツを敷いてその上に置いておくようにしましょう。
・子猫が安心できるように、使い慣れた香りのするタオルや毛布をキャリーにかけるとよいでしょう。特に、プラスチックコーティングされた開放的なワイヤーキャリアの場合は重要です。長時間の移動の場合は、キャリーの換気をよくしてください。このタオルや毛布は、キャリアの上に置く20分前にフェリウェイをあらかじめスプレーしておくとよいでしょう。
・移動の際は、キャリーの底面ができるだけ水平になるように、また移動しないように固定してください。車での移動の場合は、ペット・キャリーは座席の下の床に置いて固定するのが基本です。(以前は、後部座席に置いて、シートベルトをキャリアの上部ハンドルに通したり、キャリアの周囲に巻いたりすることが推奨されていましが、今はこれは推奨されていません)
・子猫に優しい声で話しかけてあげてください。
・可能であれば、移動手段にもよりますが、キャリーの中に小さくておいしいごほうびのおやつなどを用意して、子猫がキャリーの中にいることや移動することをポジティブな体験として認識できるようにしましょう。また、キャリーの中におもちゃを入れておくと、さらにご褒美をあげることができます。
・キャットキャリーで柔らかい寝具や猫フェロモン(フェリウェイ)を使うことで、子猫に安心感を与えることができます。
・子猫をキャリーに入れて運ぶときは、キャリーの持ち手だけで持たないでください。その代わりに、キャリーを下から支え、体にしっかりと密着させ、水平を保ち、動きを最小限に抑えます。
・複数の猫を飼っている場合は、必ず別々のキャリーで輸送し、決して一緒に一つのキャリーに押し込むことはしないでください。

※以前はキャリーケースを後部座席の上に置いてシートベルトで固定することが推奨されていましたが、現在は、キャリーケースを後部座席の足元に置くことが安全のために推奨されています。また、キャリーケースを布で覆うなどすることも猫ちゃんをリラックスさせると言われています。