※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!
椎間板ヘルニアとは?
椎間板とは、脊椎と脊椎の間(椎体間)に存在し、それぞれの椎体を連結し背骨の動きを滑らかにしています。椎間板の中心にはゼリー状の髄核があり、その周囲を繊維組織でできた繊維輪が取り巻いています。背骨に外力が加えられたときには、この髄核と繊維輪がその圧力を吸収しています。丁度、ショックアブソーバーのような役割をします。この椎間板に変性が生じ、その内容物が突出することにより脊髄を圧迫・障害し、さまざまな神経症状をひきおこす病気が椎間板ヘルニアです。激しい運動や肥満など椎間板への負担が大きくなると、それを引き金に起こります。
ダックスフンド、ペキニーズ、プードル、シーズー、パグ、ビーグルなどの軟骨異栄養症性犬種と呼ばれる犬種は、若い頃から発症しやすい傾向にありますので注意が必要です。重症になると神経麻痺(マヒ)が起こり、下半身不随になる恐れがあります。もちろん、他の犬種でも発生しますので、どんな犬種でも注意が必要です。
椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアの症状
椎間板が突出した位置やタイプにより、影響を受ける神経部位が異なるため、発現する症状も異なります。また、脊髄圧迫の程度についても、症状の重症度に影響を与えます。ソファーや階段の登り降りを嫌がる、抱き上げると「キャン」と鳴き痛がる、運動を嫌がる、背中を丸めてじっとしている、後肢がふらつく、麻痺や運動失調などの症状がみられます。
統計的には胸腰部椎間板へリニアが80%で、次いで頚部椎間板ヘルニアが15%です。
頸部(けいぶ:首のこと)の椎間板ヘルニアでは、頸部の疼痛(とうつう:鋭いまたはじんじんとした痛みのこと)の他、神経麻痺などによって足を引きずるといった症状が見られ、重症になると、自力で立ち上がれなくなり、四肢が完全に麻痺して半身不随や、さらには排便・排尿の困難なども見られることがあります。
胸や腰部の椎間板ヘルニアでは、腰から背にかけての疼痛により、背中を触ると痛がったり嫌がったりするようになります。また、後ろ足の麻痺などが起こり、排便・排尿の困難なども見られることがあります。
椎間板ヘルニアの診断/検査
椎間板ヘルニアの治療
獣医師が手術適応外と診断した場合、または飼い主が手術を望まない場合は、ケージのなかでしばらく安静にさせて運動を控えるケージレスト。その他、消炎鎮痛剤の投与やレーザー治療などを行ないます。
内科的治療後も症状があまり改善しない場合や症状が重度の場合には、外科的治療を行います。また、最近では間葉系幹細胞などによる再生医療も可能になってきました。なお、再生医療に関するお問い合わせ、相談などは当院の会員動物様のみとさせて頂いております。
目的は、椎間板ヘルニアの直接原因である脊髄を圧迫している椎間板物質(線維輪・髄核)を取り除くことにあります。 LOVE法(ラブ法)、腹側減圧術(ベントラル・スロット)、片側弓椎切除術(ヘミ・ラミネクトミー)、背側椎弓切除術(ドーサル・ラミネクトミー)などたくさんの手術法を状況や程度に合わせて選択します。
外科的治療後はリハビリを行って、神経の機能回復を図ります。リハビリにはさまざまな療法があり、犬の症状によっても異なりますので、専門家の指示に従いましょう。
椎間板ヘルニアの予防
椎間板ヘルニアの看護/その他
犬の椎間板ヘルニア時の家庭でのリハビリテーションについては左記リンク(パスワードが必要です。当院の会員動物様のみ閲覧可能)」をご参照ください。
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参考文献・資料等
- 伴侶動物治療指針 Vol.1; 288-296:胸腰部椎間板疾患の外科治療
- 獣医再生医療①椎間板ヘルニアの治療
- 獣医再生医療②臨床の現場から
- 新伴侶動物治療指針 Vol.1; 186-198:犬の椎間板ヘルニアの外科的治療