福山達也 ※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします！
歯肉腫（エプリス）とは?
歯肉腫（しにくしゅ）は、エプリスとかエプリースとも呼ばれる、歯肉部に発生する腫瘤です。犬では口腔内腫瘍のおおよそ３割を占めるといわれています。歯肉腫には歯肉炎などの刺激が続くことにより発生する非腫瘍性の炎症性エプリスや良性腫瘍による腫瘍性エプリスがあります。
以前は、線維性エプリス・骨性エプリス・棘細胞性エプリスの３種類に分類されていましが、線維性エプリス、骨性エプリスは良性の腫瘤なのに対し、棘細胞性エプリスは要注意で悪性腫瘍に近い振る舞いをします。そのため現在では、棘細胞性エプリスは棘細胞腫性エナメル上皮腫という別な腫瘍に分類されています。
歯肉腫（エプリス）の原因
エプリスの原因ははっきり解明されていない部分も多いですが、特に高齢犬が多く、 ホルモンの異常や歯垢の蓄積や歯石、歯肉炎、歯周病などが刺激となって引き起こされえると考えられています。
線維性エプリス、骨性エプリスは成長が遅い傾向がありますが、棘細胞性エプリス（棘細胞腫性エナメル上皮腫）は成長が早い傾向があります。
歯肉腫（エプリス）の症状
歯茎部分に腫れやしこりができます。しこりが小さいうちはほとんど症状はありません。病院での身体検査でたまたま見つかることもあります。腫瘤が大きくなるに従って涎が増え、口臭や出血が増してきたり、食べ物が食べにくいなどの症状が見られます。棘細胞腫性エナメル上皮腫（棘細胞性エプリス）の場合は、切除しても再発を繰り返し、次第に周囲の組織を腫瘍の浸潤によって破壊し、骨を変形させてまうこともあります。
歯肉腫（エプリス）の診断/検査
視診によりその存在は確認できますが、良性のエプリスなのか棘細胞腫性エナメル上皮腫なのかは歯肉の腫瘤は見た目ではその診断ができませんので病理検査を必ず行う必要があります。
また、棘細胞腫性エナメル上皮腫が疑われる場合は、レントゲン検査や時にはCTなどが必要になることもあります。
歯肉腫（エプリス）の治療
治療は外科的に電気メスやレーザーで切除することです。但し、あまりにも大きくなると完全に切除することが難しこともあります。特に棘細胞腫性エナメル上皮腫は周囲の組織に浸潤増殖するために完全摘出が難しく、再発を繰り返しす可能性があります。このような場合、完治させるには、下顎の骨や上顎の骨ごと切除する大掛かりな手術を行う必要があります。
歯肉腫（エプリス）の予防
原因がはっきりしませんが、歯周病や歯周炎が関与していることが疑われますので、口の中をチェックし、こまめな歯磨きやデンタルケアーは予防の助けになるかもしれません。
歯肉腫（エプリス）の看護/その他
良性の線維性エプリス、骨性エプリスを局所摘出した場合でも、おおよそ一割弱の確率で再発するといわれていますので、定期的に再発のチェックを行うこととが重要です。
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