日常生活の必需品(子犬編)

・子犬をお家に迎え入れるには?

初めて子犬を飼う時には、「食」と「住」の観点から、必要なものを取り揃えるようにしましょう。

まずは子犬の飼育空間で行動範囲を限定できるようなサークル(囲い) を用意し、そのサイクルの中にトイレベットなどを置いて寝床を作ってあげてください。これらを置く場所は、暑い時期は、直接クーラーが当たらず、直射日光を避けた風通しの良い場所を選んでください。寒い時期には十分な保温が必要なので、ダンボールなどで小屋を作り、その中にペットヒーターを入れて暖かくしてあげます。からだが熱くなり過ぎた頃に、温風をよけられるスペースを作ってあげるのも忘れないようにしてください。

最初から部屋の中を自由にどこでも動けるようにしてしまうと、ワンちゃんはトイレをどこでして良いかわからなくなります。しつけという面からも、初めはサークル(囲い) での生活をさせてあげるべきです。ただ、サークル(囲い) に入れると、 最初は甘えたり外に出たくてクンクン泣いたりすると思います。しかし、しばらく放っておくと、「泣いても、出してくれない」とあきらめて眠ってしまうものです。泣くからといって毎回ワンちゃんのところへ行って遊んだりすると、「そうか!泣けば来てくれるんだ」と思い、よけいに泣くようになってしまいますので注意してください。もちろん、ワンちゃんにもそれぞれ個性があるので、いつまでもあきらめずに泣き続けているようであれば、それがかえってストレスになってしまうこともあります。ですから、毎回ワンちゃんのところへ行ったり、遊んだりするのではなく、様子を見ながら時々サークル(囲い) から出して構ってあげましょう。

子犬の生活において、特に正しいドックフード選びは健康生活の第一歩です。もちろん愛情を持って作った手作り食が一番でしょうが、一般の方が犬の栄養学を熟知して時間とお金をかけて作るのはまず不可能です。世の中にはレシピや本などが出回っていますが、ほとんどが犬の栄養学を満たしていないことが多くの研究で分かっています。手作り食はたまにくらいで十分です。特別なことをする必要はありません。子犬の頃から栄養バランスの取れたプレミアム・ドッグフードを与え、偏食癖をつけないようにしましょう。

子犬が健康に発育成長するためには栄養素がバランスよく含まれたドッグフード(基本はドライフード)を与えることが必要です。生後5ヶ月くらいまでは1日3〜4回に分けて与え、子犬の成長と共に体重を測定しながらごはんの量も増やしていきます。成長は個体差や運動量などによって違いますので、大きくなるにつれてパッケージの後ろにある体重に合わせた量をきちんと測って与えましょう。 環境の変化により食欲が落ちた場合は、 ドライフードに缶詰等を混ぜて食べやすくしてあげるのもひとつの方法です。

きれいな水はいつでも飲めるようにしておきます。ワンちゃんと人間のからだのつくりは違います。市販の人間用の牛乳は下痢や消化不良の原因になることがあるので与える必要はありません。もしもどうしても与えたいのであればワンちゃん用の牛乳にしましょう。

お家に来た頃の子犬は、まだ体力が十分ではありません。新しい環境に慣れるまでの1週間位がとても大切になります。親兄弟姉妹から離れ、今までとは違った環境の中に置かれ、生活のリズムが変化して、精神的なストレスから最も体調を崩しやすい時期がこの頃です。正式な病名ではありませんが、この頃に様々な体調を崩すことを動物病院業界では「ニューオーナーシンドローム(新しい飼主症候群)」と呼びます。そうなると、元気だった子犬が、急にごはんを食べなくなったり、病気に対する抵抗力が弱まったりして隠れていた病気を発症したりします。それを防ぐには、子犬の生活リスムを崩さず、ゆっくり眠れて、安心できる環境を作ってあげることが重要です。特に睡眠は、1日のうちトータルで18時間位は必要だといわれています。眠っている時は声をかけて起こしたりせず、眠りたいだけ寝かせてあげましょう。子犬は、起きると食事や排便をして、少しはしゃいで、気がつくとまた寝ている、というのが正常な生活パターンです。特に小さなお子さんがいらっしゃるご家庭は、新しい家族ができたことでうれしくて、ついつい子犬を遊ぼうとしてしまいますが、過度な接触はストレスになり、病気になる可能性があることをお子さんに教えてあげてください。子犬が寝てるときは静かに寝かせておいて、起きたら遊んであげるようにしましょう。

▼以下子犬飼育時に基本的に必要なもののリストです。チェックにお使いください。

準備するもの チェック欄
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プレミアム・ドッグフード
(総合栄養食)
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当院でも動物病院専用プレミアム・フードを販売しております。お気軽にご相談ください。
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飲料水

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飲料水は、常にきれいな水を用意し、いつでも飲めるようにする。牛乳は与えない。
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食器
(フード用と飲料水用)
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ステンレス製や陶器で、食べやすい高さのものを選ぶ。ガラスは避ける。
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おやつ
(ビスケットなど)
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首輪
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トイレ
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眠る場所
(犬舎・サークルやベッド)
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名札
(ネームタグ)
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リード
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シャンプー・リンス
(犬用)
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ブラシ・クシ
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歯磨きセット
(犬用)
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爪切り
(犬用)
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おもちゃ
(安全性の高いもの)
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飲み込む可能性のある小さなも、すぐに壊れるものは与えない。

▲当院併設ペットショップでも各種グッツを販売しております。お気軽にご相談ください。

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参考文献・資料等


<1>手作りの成犬維持食のレシピに対する評価
<2>手作り食を給与されていた仔犬における痙攣発作および重度栄養欠乏症
<3>慢性腎疾患に罹患した犬猫のための手作り食のレシピに対する評価
<4>栄養学の焦点:犬および猫の手作り食