猫免疫不全ウイルス感染症(FIV:猫エイズ)

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV:猫エイズ)の治療

 特異的で有効な治療法はなく、猫免疫不全ウイルス感染症にともなって様々な症状が現れるため、それぞれの症状にあわせて、抗生物質や抗炎症薬の投与、輸液(点滴)などの対症療法を行います。また、インターフェロン、抗ウイルス剤などを使用したりします。

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV:猫エイズ)の予防

 猫を飼いはじめたら(もらった、拾ったは特に)まず病院で猫免疫不全ウイルスの検査を受けましょう。特に先住猫がいる場合は検査の結果が分かるまでは一緒にしてはいけません。
 猫を室内で飼育し、他の感染猫との接触を避けることが、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)の重要な予防策となります。外出する猫の場合は、猫同士のケンカを防ぐために避妊・去勢手術を行うことは、感染確率を減らせるとされています。
 また、猫エイズウイルスにはいくつかの型があり、そのいくつかは予防注射により予防できます。

ねこを守ろう。

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV:猫エイズ)の看護/その他

 「FIV感染陽性=死」ではありません。FIVに感染していてもきちんと健康管理してあげれば寿命は他の猫と大差ないという報告もあります。ですから、他の感染症にかからないように予防できる病気はワクチンなどで予防し、清潔で暖かい室内飼育を行い、ストレスの少ない生活をさせ、栄養バランスのとれた食事を与えましょう。
 体重の減少は症状の悪化を示すことが分かっています、定期的に体重を測定し、減少傾向が見られたらすぐに当院にご相談ください。
 感染した猫は室内飼育することで地域に新たな感染を広げないことになります。また、どうしても室内飼育できないのであれば、避妊・去勢手術を行うことは、地域の感染確率を減らすことになります。

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参考文献・資料等
  1. 猫の診療指針 Part3; 35-41:猫免疫不全ウイルス感染症

  2. 2020 AAFP Feline Retrovirus Testing and Management Guidelines
  3. Ettinger’s Textbook of Veterinary Internal Medicine 9ed CHAPTER 198: Feline Immunodeficiency Virus Infection


<1>ネコ免疫不全ウイルスに感染した猫における(R)-9-(2-ホスホニルメトキシプロピル)-2,6-ジアミノプリンによる抗ウイルス治療
<2>猫免疫不全ウイルスワクチン: 診断検査との関連および疾患管理
<3>東オーストラリアの飼い猫および野良猫の猫免疫不全ウイルス感染率
<4>猫から学ぶ教訓: レンチウィルスに対するワクチンの開発
<5>DNAおよび全粒子不活化ウィルスを用いたプライム・ブーストワクチン接種による強毒型猫免疫不全ウィルスの限定的防御
<6>2種類のサブタイプを含む猫免疫不全ウィルス(FIV)ワクチンで誘導されたFIVに対する細胞性免疫反応
<7>猫免疫不全ウィルスワクチンの効果と安全性
<8>猫免疫不全ウィルス感染症に対する低用量インターフェロンアルファ療法
<9>猫免疫不全ウイルスに自然感染した猫における臨床所見と生存期間

[WR2102,VQ2102]

この記事を書いた人

福山達也