細胞診検査

 細胞診(さいぼうしん)検査は、細胞を顕微鏡で見て判断する検査です。動物も人間と同様に体の表面や内蔵に「できもの」「しこり」ができることがあります。しかし、この「できもの」「しこり」は必ずしも癌(悪性腫瘍)とは限りません。細菌などの病原体の感染、炎症、良性腫瘍など他にも疑われるものがあります。ですからまず細胞診検査を行いその原因を探ります。
 「できもの」「しこり」が出来た場合に一番ダメなのは「とりあえず様子を見ましょう」です。まずは細胞診検査を行うことが重要で、この検査は動物への負担も少なく、比較的検査費用も安価な検査です。
 また、皮膚病などの場合にその原因を突き止めたり、状態を把握するために細胞診を行うことは、非常に安価で有益です。しかしながらあまり動物病院では行われていないと言われます。皮膚病などのときにきちんと細胞診やグラム染色などを行っている病院は、ただ薬を出すだけでなく、きちんと診断・治療を行ってくれているというひとつの目安になります。
 細胞診は動物病院で行われる検査の中で最も重要なもののうちの一つです。

細胞診検査:Cytodiagnosis

・細胞診検査はどんな検査?

細胞診は細胞を顕微鏡で観察する検査です。「できもの」「しこり」の場合は一般に小さな注射針をつかって「できもの」「しこり」内部の細胞を採取して、顕微鏡で「どのようなタイプの細胞なのか?」「細胞の形態に異常はあるか?」など様子を観察し、「できもの」「しこり」の原因としてどのような可能性(腫瘍なのか? 炎症なのか? 感染なのか? など)があるかを評価します。

・細胞診検査で何が分かるの?

前述のように「できもの」「しこり」の原因は癌などの腫瘍だけとは限りません。細菌や真菌などの感染であると分かれば抗生物質や抗真菌剤で、炎症であれば抗炎症剤などで治療できる可能性が高くなります。「できもの」「しこり」すべてに手術が必要というわけではないのです。もちろん細胞診検査で「できもの」「しこり」が腫瘍であったなら、遺伝子検査をしたり、切除手術をしたりと細胞診検査で得られた情報で、次に進むべき検査や手術の必要性などを判断し、今後どのような治療を行うのがベストなのかなど、この先の診断・治療方針を決定するのに非常に役立ちます。

主な解釈

細胞診検査(1)病原体

細菌、真菌 、寄生虫など

(2)炎症
(3)腫瘍

細胞形態的に良性なのか、悪性なのかを判断できることはありますが、良性腫瘍なのか、悪性腫瘍なのかは厳密には腫瘍を切除して病理組織検査を行う必要があります。

(4)その他

水腫、膿腫、血腫など
※「できもの」や「しこり」と言っても炎症や腫瘍などでだけでなく、水や膿、血などが溜まったできものである場合もあります。もちろん炎症や腫瘍と共にこれらが起こることもあります。

Q.この検査は痛みを感じますか?

細胞診検査では細胞を採取する際に注射針を使用しますが、採血や投薬に使われる針と同じものでから、感じる痛みは最小限です。

Q.この検査は鎮静や麻酔などが必要ですか?

通常より大きな針をなどを用いる場合、動物がおとなしく細胞診検査を受けてくれず、より安全に検査を行う必要がある場合には、鎮静や局所麻酔・全身麻酔が必要になります。

access_time
検査時間

染  色:15〜30分程度(染色の種類による)
検査結果:院内検査なら15分〜1時間程度
※時には専門医の意見を聞くために数日必要になることもあります。

warning
注意事項

ー採取する材料によっては判定できないこともあります。
ー確実に組織などを採取するために何度か針を刺すことがあります。
ー処置を嫌がる場合は、鎮静全身麻酔が必要になることがります。

pets
動物医療保険をお持ちの方はグラム染色検査前に保険証を提示してください!

ペット医療保険無料資料請求壱岐動物病院ではすべての動物医療保険がご利用いただけます。窓口精算が可能なのはアニコム損保、アイペットとなります。ペットも医療保険の時代です。もちろん「細胞診検査」も保険適応されます。ペット医療保険未加入の方はどなたでも下記から無料資料請求やオンライン見積もり、加入が可能です。
※アニコム損保の動物医療保険に関する詳しい資料のご請求、お見積り、お申込みは下記バナーからどなたでも可能です。オンライン見積もり・無料資料請求

library_books
参考文献・資料等
  1. 犬と猫の細胞診カラーアトラス
  2. 犬と猫の細胞診と血球診
  3. 犬と猫の皮膚の細胞診
  4. 伴侶動物の臨床病理学 第3版
  5. 細胞診のすべて
  6. 犬と猫における細胞診の兵法
  7. Dermatology Diagnostics: Cutaneous Cytology
  8. Review on Diagnostic Cytology: Techniques and Applications in Veterinary Medicine
  9. Top 5 Fine-Needle Biopsy Sample Collection & Handling Errors


<1>英国獣医臨床での細針吸引手技の利用について調査する前向き研究
<2>細胞学的診断: 臨床病理学者による可能性に関する表現法
<3>急性腹症における細胞診と貯留液の分析

[WR21,VQ21:]

■VMN Live