1年に2回は健康診断で血液検査を!
ワンちゃんや猫ちゃんにも個体差があります。いち早く病気に気づいてあげるために、健康なときの検査データを残してあげましょう。。
血液化学検査は、血液の成分や酵素を調べ、肝臓や腎臓、膵臓などどの臓器に問題があるのかを把握するために適している検査です。また、麻酔や手術前の検査、健康診断としても用いられます。
血液化学(スクリーニング)検査
Blood Chemistry Test
・血液化学検査(スクリーニング)はどんな検査?
・血液化学検査で何が分かるの?
主な検査項目と解釈
(1)グルコース:血糖値(GLU)
(2)血中尿素窒素(BUN)
食事で摂取した蛋白は分解されてアミノ酸となります。そしてそのアミノ酸の分解産物であるアンモニアは体にとって有害ですが、肝臓で毒素の少ない尿素に変えられ、腎臓の糸球体でろ過されて尿中へ排泄されます。BUNは血液中の尿素に含まれる窒素量(UN;尿素窒素)を測定しています。▷より詳しく知りたい方はこちら
(3)クレアチニン(CRE)
クレアチニンは、筋肉で作られる老廃物の一つで、そのほとんどが腎臓の糸球体から排泄されます。そのため、血液中のクレアチニンの増加は、糸球体濾過機能が低下していることを意味し、腎機能の障害や尿路結石などにより値が高くなります。クレアチニンは血液を介して腎臓の糸球体でろ過された後、尿中に排泄されます。
(4)BUNクレアチニン比(BUN/CRE比)
BUNとクレアチニンの比率を計算により算出したものです。これらの値が正しく腎臓の状態を反映しているかどうかを評価します。
(5)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは肝臓、筋肉、赤血球などに多く存在する酵素で、肝疾患、筋肉疾患(炎症や壊死)、溶血などで値が上昇します。
(6)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
窒素の代謝やアミノ酸の合成に関わる酵素を総称してアミノトランスフェラーゼ(トランスアミナーゼ)と呼びます。酵素は、体内で化学反応を起こす際の触媒としての役割をします。
アラニンアミノトランスフェラーゼは肝臓での活性が高く、肝臓に特異な酵素ですので、肝臓の働きを測る指標となります。肝細胞の壊死や障害が起きると値が上昇します。
(7)総タンパク:トータルプロテイン(TP)
血清あるいは血漿中のタンパク量を調べることで、栄養状態、肝機能、腎機能、免疫の状態などを把握することができます。Alb, Globの数値と併せて評価します。
血漿中にはアルブミンや免疫グロブリンなどのタンパク質が溶解して全身を循環していますが、下痢や嘔吐などの脱水状態にある場合は、この値が高くなり高タンパク血症に、食事の摂取量不足であったり、慢性の肝臓疾患や腎疾患、あるいは出血があったりすると、この値が低下し、低タンパク血症になります。
(8)アルブミン(ALB)
アルブミンはタンパク質の一種で、食事中のアミノ酸から肝臓で合成されます。脱水状態のときは値が高くなり高アルブミン血症となり、慢性の肝疾患、食事の摂取量不足、消化・吸収不良ではアルブミンの産生が低下するため低くると低アルブミン血症になります。また、出血、蛋白喪失性腸症、腎疾患などでもアルブミンの喪失が起こるため低くなります。
(9)グロブリン(GLB)
アルブミンはタンパク質の一種で、食事中のアミノ酸から肝臓で合成されます。脱水状態のときは値が高くなり高アルブミン血症となり、慢性の肝疾患、食事の摂取量不足、消化・吸収不良ではアルブミンの産生が低下するため低くると低アルブミン血症になります。また、出血、蛋白喪失性腸症、腎疾患などでもアルブミンの喪失が起こるため低くなります。
(10)ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)
ガンマグルタミルトランスペプチダーゼは、主に胆道系の病気(胆汁鬱滞、胆管肝炎など)により上昇する肝酵素です。犬ではステロイド剤の投与でも上昇します。
(11)アルカリフォスファターゼ(ALP)
アルカリフォスファターゼは肝細胞や胆管上皮細胞、骨芽細胞などで産生される酵素です。
胆汁の流出経路の異常、肝疾患、腎疾患、骨の病気、ステロイド薬の投与などにより上昇しますが、健康な子犬、子猫の成長期にも骨の成長に伴って上昇がみられます。また、ある種の腫瘍でも上昇がみられることがあります。
(12)総ビリルビン(TBil)
ビリルビンとは胆汁色素で、赤血球中の血色素(ヘモグロビン)が分解されたときに生じ、肝臓で処理された後、胆汁とともに胆嚢に貯蔵、腸管内に排出され、その後、腸内細菌によって分解されて、便や尿とともに体外に排出されます。
自己免疫疾患などにより赤血球が壊れたとき(溶血)や、肝臓の機能低下やビリルビンの排泄経路の障害、胆管の閉塞、寄生虫や伝染性の病気などにより血中のビリルビン濃度は高くなり、高ビリルビン血症になります。
(13)総コレステロール(T-Cho)
コレステロールは細胞膜の成分やホルモンの材料として重要な役割を担っています。ほとんどの場合、そのままの形、あるいは胆汁酸に変えられ肝臓、腸を経て排泄されます。
糖尿病などの内分泌疾患、腎臓疾患、肝臓や胆道の疾患、脂質代謝異常があると、総コレステロールの値は高くなり、栄養失調や肝硬変、肝臓腫瘍、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能低下症(アジソン病)などでは値が低くなります。
(14)トリグリセリド:中性脂肪(TG)
トリグリセリドは一般には中性脂肪と言われる脂肪の一種です。食事として摂取されたトリグリセリドは、膵液や胆汁酸により分解されて小腸から吸収された後、血液中に入ります。
エネルギーとして使われなかったものに関しては皮下脂肪として蓄えられます。 肥満や糖尿病、膵炎、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などではこの値が高くなり、栄養疾患、肝硬変、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能低下症(アジソン病)などでは値が低くなります。
(15)アミラーゼ(Amy)
アミラーゼは主に膵臓から分泌される消化酵素です。犬で膵炎の指標として用いられます。
(16)リパーゼ(Lip)
リパーゼは主に膵臓から分泌される消化酵素です。犬で膵炎の指標として用いられます。
(17)電解質:ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)
電解質は、体内の水分量を調節したり、酸と塩基(アルカリ)のバランスをとって水素イオン指数(pH)を一定に保ったり、神経伝達や筋肉の収縮など、生命活動を維持するために重要な役割を果たしています。これらの電解質は、通常はバランスよく一定の濃度を保っていますが、体内の水分を調節している腎臓や様々なホルモンの働きに異常が起こったり、嘔吐や下痢などで体外に失われることで、バランスに変化が起こるります。
ナトリウム(Na)は体の水分量を調節しています。脱水やナトリウムの摂取過剰によって値が高くなり高ナトリウム血症に、飲水過剰、腎不全、心不全、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、嘔吐や下痢などにより値が低くなり低ナトリウム血症になります。
カリウム(K)は、ナトリウムとバランスをとりながら神経や筋肉、心臓の働きや血圧の調節に関わっています。乏尿性(ぼうにょうせい)腎不全、尿路閉塞、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、高血糖などにより値が高くなり高カリウム血症に、嘔吐、慢性腎不全、副腎皮質機能亢進症などにより値が低くなり低カリウム血症になります。
クロール(Cl)はナトリウムとともに体内の水分量や水素イオン指数(pH)の調節をしています。脱水や腎不全で値が高くなり高クロール血症に、嘔吐や副腎皮質機能低下症(アジソン病)などで値が低くなり低クロール血症になります。
(18)カルシウム(Ca)
カルシウム(Ca)は骨や歯などの構成成分である他、神経刺激の伝達、筋肉の収縮、血液の凝固などに関与する重要なミネラルの一つです。
体内のカルシウム濃度は、上皮小体ホルモン(PTH)、甲状腺の傍濾胞細胞(ぼうろほうさいぼう)から分泌されるカルシトニンなどのホルモンの影響をうけ、調節されています。
上皮小体機能亢進症、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患や腎不全、ビタミンD過剰症、一部の腫瘍性疾患などのときには値は高くなり高カルシウム血症に、食事からの摂取不足、吸収不良、腎不全、上皮小体機能低下症などの内分泌疾患などにより値が低くなり低カリウム血症になります。
▷より詳しく知りたい方はこちら
(19)リン(P)
リン(P)は骨や歯、核酸などの構成成分であり、カルシウムと同様に、上皮小体ホルモン(PTH)、カルシトニンなどのホルモンの影響をうけて血中濃度が変化します。
腎機能が低下すると血液中のリンの排泄が上手くいかなくなって高リン血症となり、次に過剰なリンがカルシウムと結合して腎臓や骨などの石灰化を起こし、さらなる腎機能の低下を引き起こします。このため腎障害のときにリンをモニターすることは重要です。
腎不全の他にも、食事からのリンの過剰摂取、上皮小体機能低下症、甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、骨腫瘍などのときに値が高くなり高リン血症に、食事からの摂取減少、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、糖尿病の際のインスリン投与などによって値が低くなり低リン血症になります。
※血液検査により測定する項目は、使用する装置や検査方法、範囲で異なります。
(20)CRP:C反応性タンパク
犬の炎症反応を測定する検査項目です。▷より詳しく知りたい方はこちら
(21)SAA:血清アミロイドA
猫の炎症反応を測定する検査項目です。▷より詳しく知りたい方はこちら
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検査時間
採 血:数分以内
検査結果:1時間以内(院内検査)、院外検査なら1〜3日
※当院では、状態が悪くなってから来院することの多い動物の病気ではすぐに結果が分かることが重要ですので、この検査を院外の検査機関に出すことはほとんどありません。より詳しく検査が必要な場合のみ院外の検査機関に送ります。
※当院ではセカンドオピニオンなどにも利用できる様に、必ず検査結果データ報告書をお渡します。
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注意事項
ー常用している薬がある場合は申し出てください。
ー指示された場合12時間程度の絶食をお願いします。
ー会員動物(過去1年以内に当院で混合ワクチンを接種している動物)の血液化学検査に関しましては、採血料をサービスさせて頂いております。
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動物医療保険をお持ちの方は血液化学検査前に保険証を提示してください!
壱岐動物病院ではすべての動物医療保険がご利用いただけます。窓口精算が可能なのはアニコム損保、アイペットとなります。ペットも医療保険の時代です。もちろん「血液化学検査」も保険適応されます。ペット医療保険未加入の方はどなたでも下記から無料資料請求やオンライン見積もり、加入が可能です。
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