SAA:血清アミロイドA(serum amyloid A)

SAA:血清アミロイドA(serum amyloid A)とは?

 猫において、体内に急性炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中にに増加する急性相蛋白です。このSAAは、正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するために検査が行われます。

 また消失も速いため、急性炎症の場合、炎症の強さと長さを判断するのに最も鋭敏な指標であったり、治療の効果を見るためにも用います。

 特になんとなく具合が悪いというときには必ず測定したほうがいい検査項目です。

 犬では一般に同じ急性炎症の検査にはCRP(C反応性蛋白)が用いられます。しかし、猫ではこのCRPが炎症時でも上昇しないことが知られています。

参考基準値(富士ドライケム)
単位
8.0以下 μg/dL

※こちらの基準値は当院で使用しております。富士ドライケムIMMUNOAU10Vの参考基準値です。他の測定器や外注検査では異なりますので、ご注意ください。

SAA:血清アミロイドAが高値↑のときは?

 SAA:血清アミロイドAが上昇している場合、例えば、急性膵炎などの急性炎症、猫伝染性腹膜炎(FIP)などの感染症、免疫介在性溶血性貧血などの免疫疾患、各種腫瘍や外傷などが疑われます。
 但し、SAAだけでは体のどこかに急性の炎症があることは分かりますが、どこにあるかは分かりません。

SAA:血清アミロイドAが低値↓のときは?

 SAA:血清アミロイドの基準値はもともと低く、低下していて問題になることはありません。


血液検査・血液化学検査に関する注意点

  • 検査の結果が「基準値」から外れていても必ずしも異常を示すものではありません。他の検査項目や症状などと見比べる必要があります。詳しい結果の解釈につきましては、その都度お話いたします。
  • 当院ではセカンドオピニオンのためにも必ず検査データをお渡しします。動物病院で血液検査血液化学検査尿検査などを行った場合は必ず検査結果をもらうことを推奨します。それは病気の経過を判断したり、セカンドオピニオンを受ける時に役立ちます。今どき、検査結果をもらえない病院はおかしいと思ったほうがいいでしょう。

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参考文献・資料等

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<1>急性膵炎の犬における急性期反応中の血清タンパク質電気泳動プロファイルの変化について
<2>低用量ケタミンの使用により子宮蓄膿症の手術をした犬における術後のC-反応性蛋白産生の減少
<3>全身性炎症反応症候群(SIRS)に罹患した犬における血漿鉄、C反応性蛋白、アルブミンおよび血漿フィブリノーゲン濃度 
<4>幼犬と成犬における急性炎症時の血清中C反応性タンパクとα1酸性糖タンパク濃度の比較について
<5>犬の急性膵炎のC反応性タンパク質濃度 
<6>免疫介在性溶血性貧血・血小板減少症・多発性関節症の犬における血清チミジンキナーゼ1、犬-C-反応性蛋白、ハプトグロビン、およびビタミンD濃度
<7>細菌性肺炎罹患犬の治療反応の評価における急性期タンパク質の有用性
<8>自然発生性の癌を有する犬におけるチミジン・キナーゼⅠ型およびC反応性蛋白濃度 
<9>犬パルボウイルスに感染した仔犬における結果を予測するための血清C反応性蛋白質濃度の利用に対する評価
<10>ステージ・ストップ耐久レース用そり犬における血漿ビタミンD代謝およびC反応性蛋白
<11>特発性免疫介在性多発性関節症に罹患した犬の臨床的および細胞学的な反応に関する血清バイオマーカー 
<12>持続時間が中等度の高強度運動がそり犬の心筋トロポニンIおよびC反応性蛋白に及ぼす影響 
<13>レース用そり犬における耐久力訓練が血清鉄の濃度および急性相タンパク質に及ぼす影響
<14>細菌性呼吸器疾患の犬における診断的バイオマーカーとしての血清C反応性蛋白 
<15>バベシア症罹患犬の血液凝固活性、内皮刺激、および炎症のマーカー 
<16>犬における歯周疾患と全身の健康指標および歯周疾患の治療に対する全身的な反応との関係
<17>耐久レースのそり犬における運動と関連する血清マイオカインと炎症マーカーの評価
<18>心筋トロポニンIは犬の粘液腫様変性性僧帽弁疾患の重症度、年齢、C反応性蛋白と関連
<19>胃拡張-捻転症候群罹患犬の予後マーカーとしての血清ペプシノーゲンA、犬膵リパーゼ免疫活性、C反応性蛋白
<20>鬱血性心不全の犬における全身性炎症と内皮機能障害 
<21>自己免疫性溶血性貧血の犬における血清急性期タンパク濃度
<22>重篤疾患の犬における血漿アミノ酸、C反応性蛋白、疾患重症度および転帰の間の関連性
<23>ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎の犬における急性期タンパク濃度
<24>多中心型リンパ腫の犬における寛解状態の指標としての血清C-反応性蛋白濃度
<25>良性および悪性犬赤色食道虫における血清C反応性蛋白濃度
<26>健康に見える犬におけるC反応性蛋白と、特異的犬膵リパーゼ免疫反応の生物学的変動性
<27>危篤状態の犬78頭におけるアルブミン尿、C-反応性蛋白濃度、生存予測指標スコア、および生存との間の関連性
<28>自然発生性犬単球性エールリヒア症における臨床期指標と転帰の予測因子としての血清急性期蛋白
<29>C反応性タンパクは、ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎の犬の診断および治療コントロールにおける有益なツールなのか?
<30>化学療法を受けている多中心型リンパ腫の犬における血清C反応性蛋白濃度 
<31>犬の血液学的及び腫瘍性疾患における血清急性期タンパク濃度の予備調査
<32>犬の炎症性腸疾患における活動度に対する点数化指標

2109 WR、2109 VQ

この記事を書いた人

福山達也