肥満:Obesity

肥満の治療

肥満の治療は、以下のような段階的アプローチで行います。

1. カロリー管理

 愛犬・愛猫の現在のカロリー摂取量を把握し、これを70〜80%に制限することから始めます。摂取量が不明な場合は、目標体重に基づいて基礎代謝エネルギー(RER)を計算します。以下の式を使用できます:

•RER = 30 × 体重(kg) + 70

•RER = 70 × (体重(kg))⁰.⁷⁵

 高タンパク質・低炭水化物食や高繊維食は、満腹感を高める効果があります。動物病院で処方される専用の減量食を使用することをお勧めします。詳しくは当院スタッフまでお気軽にお気軽にご相談下さい。

2. 運動の導入

 1日10〜15分程度の短時間の運動を増やすことが有効です。例えば、追いかけっこやおもちゃを使った遊びを取り入れることで、愛犬・愛猫が楽しみながら運動できる環境を作りましょう。猫の場合は垂直スペースを活用した運動も効果的です。

3. 定期的な体重モニタリング

 2〜4週間ごとに体重を測定し、治療の進捗を確認します。目標は週あたり体重の1%の減少です。進捗が遅い場合は摂取カロリーを5〜10%削減し、再評価します。

肥満の予防

 肥満を予防するためには、以下のポイントに注意してください。

 

1. 食事管理

 去勢・避妊手術後は、エネルギー摂取量を見直し、30%程度削減することが推奨されます。フードの量はキッチンスケールで正確に測定し、過剰なおやつの提供を避けます。おやつは、1日の総カロリーの10%以下に制限してください。去勢・避妊手術後に適したフードに関してはお気軽に当院にご相談下さい。

 

2. 運動の習慣化

 毎日の散歩や遊び時間を設け、適度な運動を促進します。これにより、エネルギーを消費しつつ、筋肉量を維持することが可能です。

 

3. 定期的な健康チェック

 定期的に体重測定やBCS評価を行い、早期に体型の変化に気付けるようにしましょう。特に体重が増加傾向にある場合は、早めに対策を講じることが重要です。

肥満の看護/その他

 愛犬・愛猫の健康管理には、ペットオーナーが積極的に関与することが必要です。減量プログラム中は、食事量を厳密に管理し、定期的に体重を測定してください。また、ペットオーナーが楽しみながら愛犬・愛猫と遊ぶことで、運動習慣を定着させることができます。さらに、体重や体型の変化に敏感になることで、肥満を早期に発見し、適切な治療に繋げることが可能です。

 

 このガイドを参考に、愛犬・愛猫が健康で幸せな生活を送れるようサポートしてください。

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参考文献・資料等
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この記事を書いた人

福山達也