趾間皮膚炎/指間炎

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※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

趾間皮膚炎/指間炎とは?

 趾間皮膚炎(しかんひふえん)とは、趾間、つまり肢先(あしさき)の指の間、人でいう手や足の指の間、肉球に炎症が起こり、犬や猫が舐めてしまって発赤、腫脹、脱毛、疼痛を伴う皮膚炎です。趾間炎とか指間炎、肢端皮膚炎とも言われます。

趾間皮膚炎/指間炎の原因

 原因は、アレルギーや細菌・真菌などの感染、免疫的な問題、ストレス、寄生虫、代謝性疾患、異物、外傷、火傷、環境因子(例:いつも濡れている)、爪の病気など多くのことが考えられます。また、時にはこれらのうちの一つだけが原因ではなく、いくつかが同時に起こったりすることもあります。

趾間皮膚炎/指間炎の症状

趾間皮膚炎 一日中、頻繁に足の裏や肉球を舐めるのがご家庭で気づきやすい症状です。その他、発赤、腫脹、脱毛、疼痛を伴う皮膚炎が起こります。中には自分で咬んでしまうこともあります。
 特に白い被毛だと、舐めることにより毛の色が赤茶色や黒っぽく変色したりします。また、触ってみるとなんとなく湿っぽいのも舐めている可能があります。

趾間皮膚炎/指間炎の診断/検査

 通常、軽症であれば問診や視診から対症療法(塗り薬、ローションなど)を行うことも多いかと思います。治りが悪いとか必要であれば、細胞診検査グラム染色検査、皮膚スクラッチ検査、バイオプシー検査などが必要になることがります。

趾間皮膚炎/指間炎の治療

 治療は、原因にもよりますが、まず感染症があるなら感染症の治療、炎症を抑えるための抗炎症剤の外用薬や内服薬を用います。その他、異物が考えられるなら異物除去、アレルギーが疑われるならそれに対する治療、環境因子が考えられる場合、免疫的な疾患の場合は免疫抑制剤治療、足先だけ定期的に薬用シャンプーにより洗浄など原因や症状によって選択する治療は異なってきます。痒みが強く、外用薬を塗っても舐めてしまう場合は、エリザベスカラー包帯などで患部を舐めさせないようにすることも必要です。

※塗り薬のポイント
 塗り薬は塗った後すぐに舐められると効果が落ちたりしますので、食餌前に塗る、塗ってかた散歩に行くとか、遊んであげるといいでしょう。

 治療経過が思わしくない時には、その部位を外科的に切除することで改善が見られることもあります。
 趾間皮膚炎は治療が長期及んだり慢性的になることもあります。薬剤の服用が長期になることを懸念する場合、皮膚に対する抗炎症、薬剤の投与量軽減などの目的でPCSO-524などのサプリメントを用いるのも一つだと思われます。

趾間皮膚炎/指間炎の予防

 予防はなかなか難しかもしれませんが、飼育環境を清潔に保ち、いつも濡れているような環境は避けるべきでしょう。予防というよりは、やはり、早期発見・早期治療が重要かと思います。はじめは、なんとなく舐めてるかな、皮膚が少し赤くなってるかな程度ですが、たいしたことなさそうだからといって手足や肉球を舐め続けるのを放置してはいけません。早い段階で当院にご相談頂くか、獣医師の診察を受けましょう。

趾間皮膚炎/指間炎の看護/その他

 指間や肉球は非常にデリケートな部位でもありますので、定期的にチェックをする習慣をつけるとよいでしょう。また、お散歩の後には消毒薬で指間を拭いたり、シャンプー後はしっかり洗い流すようにしたりと清潔に保つことを意識しましょう。外用薬を塗った後に舐めてしまう場合は、「散歩に行く前」に塗ったり、塗ってから「食餌を与える」などして気を紛らすといいでしょう。

 注意して頂きたいのは皮膚炎かな?と思っていたら腫瘍だったというケースもありますので、自己判断せずに指間を舐めているようであれば早めに当院にご相談ください。

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参考文献・資料等
  1. Veterinary focus #28.1; 8-14:私のアプローチ法・・・犬の肢端皮膚炎

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<1>犬の指に発生した悪性メラノーマに対する異種マウスチロシナーゼDNAワクチン
<2>犬の指の腫瘍:獣医腫瘍学協同グループによる64頭の犬に関する回顧的研究
<3>あなたの診断は何ですか?
<4>犬の指の腫瘍:獣医腫瘍学協同グループによる64頭の犬に関する回顧的研究

[WR2106,VQ2106:趾間、指間]

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この記事を書いた人

福山達也