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猫の病気
精巣腫瘍
精巣腫瘍(せいそうしゅよう)は主に10歳以上の老犬に多く見られ、雄犬において皮膚腫瘍、繊維組織系腫瘍についで3番目に多く見られる腫瘍と報告されています。特に潜在精巣の犬では、正常な精巣を持つ犬と比べて精巣腫瘍になるリスクが高い(通常の約9~14倍)ことがわかっています。 犬の精巣腫瘍のほとんどは、セルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、間質(ライディッヒ)細胞腫と呼ばれる3種類の腫瘍で、これらはほぼ同じ割合で発生し、同時に一つの精巣内に複数の腫瘍ができることもあります。潜在精巣ではセルトリ細胞腫のできる割合がやや多いとの報告もあります。他の種類の腫瘍もできないことはありませんが、稀です。 猫の精巣腫瘍は犬に比較してかなり少なく、セルトリ細胞腫、ライディッヒ細胞腫、精細胞腫、奇形腫のなどの報告があります。 -
猫の病気
分離不安
分離不安(ぶんりふあん)とは動物が愛着を感じている人(通常は1人または複数人の家族)から分離され、一人になると強い不安を感じ様々な問題行動を起こしてしまうことを言います。通常は家族が外出時し留守番をさせている時やそのことが予測されたときに症状が現れます。症状は、軽度なものから深刻なものまで様々です。 特に社会的で群れで社会生活をおくる犬にとって、飼い主からの分離に関して軽度の不安反応は良く見られる行動です。しかし、破壊的行動、無駄吠え、肢端皮膚炎など重度になった場合は病気として対処する必要があります。 分離不安は一般に犬に多くみられる問題で、早期離乳、室内飼育犬や保護犬、一人暮らしで起こる場合が多いとされています。犬の病気と思われがちな分離不安ですが、猫でも時々おこります。 -
猫の病気
関節炎:Osteoarthritis(猫編)
関節炎(かんせつえん)とは変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)とも言われ、硬い骨同士が直接擦り合わないように骨と骨の間でクッションの役割になっている関節軟骨の変化により、痛みなどの症状があらわれる進行性の関節疾患で、肘、肩、膝、股関節など様々な関節に起こります。12歳以上の猫の90%には何らかの関節疾患があると報告されています。 主に中年から高齢期に見られますが、若年期でも見られることがあります。前述のように多くの高齢猫が、変形性関節症を起こしていると考えられていますが、関節炎の痛みにより活動量が落ちていても、高齢のせいだと感じたり、はっきりとした症状が出ないケースもあるため、キャットオーナーが気付かないことも多い病気です。 また、特に猫は「痛み」を表現する能力が乏しい動物です。キャット・オーナーの気づかないうちに多くの猫が関節炎に苦しんでいると言われます。猫を飼育したら関節炎の正しい知識を学び、早期にこの病気を見つけてあげて、痛みを和らげてあげましょう。 -
猫の病気
跛行:Lameness
跛行(はこう)とは、犬や猫の場合、四肢に均等に負重できず、怪我や病気のある足をかばったり、引きずる状態をいい、通常は痛み(疼痛)があります。 跛行とは病気の名前ではなく症状の名前です。 -
猫の病気
前十字靭帯断裂症
前十字靭帯断裂(ぜんじゅうじじんたいだんれつ)とは、膝関節の内部にある前十字靱帯と呼ばれる靭帯が切れてしまう病気です。前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)を結びつけている靱帯です。前十字靭帯の役割は、 大腿骨に対して脛骨が前に飛び出さないようにする 膝の過剰な伸展を防ぐ 脛骨が内側にねじれれないように支える。 などのがあります。そのため前十字靭帯が断裂して切れてしまうと、膝関節が不安定になり跛行など様々な問題が生じてきます。 -
猫の病気
急性腎不全(急性腎障害)
急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)とは、腎臓機能の急激な低下によって発症し、腎臓が正常に働かなくなった状態です。ですから病気の名前というよりは症候群の名前です。 この急性腎不全は急激に状態が進行し、数日で命を落とすこともあるので非常に注意しなければなりません。 ※急性腎不全と急性腎障害は厳密には定義が違うのですが、一般の方には分かりづらいでしょうから、ここでは同じ様に扱っていますのでご了承ください。 -
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新型コロナウイルス感染症:COVID-19
新型コロナウイルス(COVID-19)は主に人から人へと広がるウイルス感染症ですが、稀に犬や猫も、新型コロナウイルスに感染しています。感染は、動物が新型コロナウイルスに感染した人々と密接に接触した後に発生しています。 香港[2]、米国[3]、ベルギー[6]、フランス[7]、イギリス[8]など多くの国で伴侶動物として飼育されている犬や猫で、検査陽性反応が出ています。また、日本でも2020年8月、9月に犬の検査陽性が合計3頭確認されています[10][11]。 現在までに入手できる情報が限られてますが、新型コロナウイルスがペットとして飼育されている犬や猫を介して人に拡散するという報告はありませんが、人から動物に拡散したと思われる事例は複数報告されています[12]。 -
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アナフィラキシー
アナフィラキシーとは、薬剤や毒素など外から摂取または侵入した原因物質に体が激しく反応する過剰なアレルギー反応が起こった状態です。犬や猫でよく知られているアナフィラキシーは、抗生物質、造影剤投与やワクチン接種によるものが挙げられます。 アナフィラキシーの中でも、特に重篤なアナフィラキシー・ショックが起こると、命を脅かすような状態に陥って、一分一秒を争うような危険な状態になります。 -
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異物誤飲(誤飲・誤食)
動物は時に人が思ってもみないものを食べたり飲み込んだりしてしまうことがあります。これを異物誤飲(いぶつごいん)と言い、特に子犬や子猫は、好奇心旺盛で色々なものを誤って飲み込んでしまうことが多いので注意が必要です。データでは異物誤飲は、1歳以上の動物と比べ1歳未満ののほうが4倍も高いことがわかっています。 飲み込んでしまうものは石やおもちゃ、衣類など様々で、症状や重篤度は飲み込んだものにより違います。 -
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トキソプラズマ症
トキソプラズマは、原虫と呼ばれる顕微鏡でみなければみえないような小さな寄生生物で、世界中の猫(ネコ科動物)、豚、犬、鳥類などに感染がみられます。この原虫は人間にも感染し、人と動物の共通感染症(ズーノーシス)ですので、注意が必要です。しかしながら、大部分は症状が出ない不顕性(ふけんせい)感染であり、日本人では成人の20〜30%がすでにトキソプラズマに対する抗体を持っていることが知られています。 妊娠初期の女性がトキソプラズマ症に初感染すると胎児にも感染し、流産や死産などの原因にもなる可能性があるので注意が必要です。 -
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カンピロバクター症
カンピロバクターは螺旋状またはS字状に湾曲した細菌で、回転運動を行いながらすばやく動きます。人では食中毒の原因となる代表的な菌で、細菌性腸炎を起こします。カンピロバクター菌に汚染されてしまった食べ物を食べたり、飲んだりして感染し、キャンピロバクター症とも言われます。 カンピロバクター菌は自然界のあらゆるところに生息しており、人にも感染し(人と動物の共通感染症)、多頭飼育の場合は特に他の動物へも感染が起こりやすくなります。犬や猫の腸管に常在していますが、保菌率はそれほど高くない(1%前後)とされています。また、免疫力の低い子犬や子猫、ストレスの多い環境下や免疫力が低下しているときに発症することがあります。 -
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粟粒性皮膚炎
粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)は、猫の皮膚病として最もよく見られる症状の一つです。粟粒性皮膚炎とは診断名ではなく一つの反応パターンです。このパターンは何らかのアレルギー反応に起因していると考えられます。 この粟粒性とはブツブツの病変(痂皮と丘疹)を呈する状態と定義されていて、ほとんどは背中に発生します。そして、ノミアレルギーの猫の35%が粟粒性皮膚炎の症状を呈していたとの報告があります。 また同様の病変が耳や鼻に夏季に集中してみられることがある場合は、蚊に刺されることによるアレルギーと考えられています。さらにその他の外部寄生虫に対するアレルギーでみられることもありますし、頭部から頚にかけての病変では、アトピー性皮膚炎(花粉やハウスダストの吸入)、食物アレルギー、疥癬、自己免疫疾患などでもみられます。