毛包虫症(アカラス)

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毛包虫症(アカラス)とは?

 毛包虫は別名で「ニキビダニ」や「アカラス」ともいわれます。動物の毛包内(毛穴)に寄生するダニの一種です。実は毛包虫は健康な動物の皮膚にも少し常在していて、ふつうは病気の原因とならなりません。しかし、免疫力が低下したりや遺伝的な要因などによって多数増殖してしまった場合、毛包虫症として発症することが多くあります。
 毛包虫による皮膚炎は、局所性に出る場合と全身性に出る場合があります。さらに3〜12カ月齢で発症する若年性と1歳以降で発症する成犬の毛包症に分かれます。
 特定の犬種で遺伝的に好発傾向を持っていて、子犬ではアフガンハウンド、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、コリー、ジャーマン・シェパードに多く、成犬のものではアメリカン・コッカースパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズー、ジャック・ラツセル・テリア、ダックスフンド、チャイニーズ・シャーペイ、ドーベルマン、ピンシャー、パグ、ビーグル、フレンチ・ブルドッグ、ヨークシャー・テリアに多いと言われています。それに対してプードルでは非常に稀だと言われています。また、成犬で発症する場合には、甲状腺機能低下症副腎皮質機能亢進症、悪性腫瘍(癌)、心臓病、ステロイド剤の長期投与などの免疫が低下する重大な病気が引き金になっていることが多いと言われます。

毛包虫症(アカラス)の原因

 免疫力・抵抗力の低下などによってまた、毛包虫が多数寄生することによって発症します。毛包虫は体長0.2mm~0.3mmの小型で細長い形態のダニで、生後まもなく母親から感染し、寄生した動物の毛包内で生活して、卵を産み一生をそこで過ごします。最初は鼻の頭の部分にみられるので、哺乳する際に母親と直接接触して、毛包虫をもらうのだろうと考えられています。

毛包虫症(アカラス)の症状

 局所性のものでは円形の脱毛とフケ、あるいは発赤で、痒みは少なく、頭部、目と口の周辺、顔面、四肢の先端によくみられます。
 重症になると全身性に症状が広がります。皮膚の肥厚、黒色化、はげしいフケ、かさぶたなどがみられますが、細菌の二次感染が起こるまでかゆみはあまりありません。二次感染を起こすと化膿や出血、浮腫などを伴った強い症状が多くみられ、激しい痒みが見られます。

毛包虫症(アカラス)の診断/検査

 皮膚の掻爬試験をして顕微鏡で毛包虫を確認します。初期の段階だと何度か調べてやっと見つけることができることもあります。

毛包虫症(アカラス)の治療

 犬の場合、若齢で発症する局所性の毛包虫症は90%が6〜8週間で自然治癒します。自然治癒しないもの、全身性のもの、成犬や老犬での発症は治療が必要です。
 毛刈りと殺ダニ効果のある薬液での薬浴や、外用薬・内用薬の投与が主な治療法となりますが、細菌の二次感染を起こしている場合は併せて抗生物質などを投与します。最近ではノミダニ駆除剤の一部に毛包虫に効果があるものも認められています。
 毛包虫症は発症に動物の免疫力が大きく関わっているので、基礎にある疾患を発見し治療することが重要です。

毛包虫症(アカラス)の予防

 免疫力の低下が発症の要因といわれているので、ストレスを与えず清潔な生活環境を保ち、安価粗悪なフードを避け、良質な栄養補給を行うよう心がけましょう。また、早期発見・早期治療が大切です。

毛包虫症(アカラス)の看護/その他

 アカラスの完全な駆除は難しく、治療は長期に及ぶケースが少なくありません。症状が軽くなっても治療をやめずに、根気よく続けることが大切です。よく治療が長期におよぶところころと病院を変える方がいますが、このような方は病院を変えればまた一から検査などのし直しでいっまで経っても治らず、費用もかかります。

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参考文献・資料等
  1. Diagnosis and treatment of demodicosis in dogs and cats
  2. 犬の内科診療 Part1; 393-396:外部寄生虫性皮膚疾患(毛包虫症)


<1>アメリカにおける犬の若齢発生性全身性毛包虫症の危険因子に関する症例コントロール研究
<2>猫免疫不全ウィルス陽性猫の深部および表層皮膚掻爬
<3>毛包虫症の治療プロトコール: 証拠に基づいた再調査
<4>犬の全身性毛包虫症の治療におけるミルベマイシン・オキシムの有効性: 犬99頭で行った回顧的研究 (1995-2000)
<5>毛包虫症のハムスター56例におけるイベルメクチン療法
<6>犬の毛包虫症治療の最新情報
<7>犬4頭にみられた大型毛包虫の寄生

この記事を書いた人

福山達也