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消化管内異物とは?
食べてはいけないものを誤って飲み込んでしまうことを誤飲(ごいん)と言います。誤飲した異物で消化できないものが食道、胃、小腸、大腸など消化管内にある状態を消化管内異物(しょうかかんないいぶつ)といいます。
異物には、石ころやおもちゃ、焼き鳥の串、トウモロコシの芯、植物の種(例:果物、梅干し)など、日常接するものがそのほとんどを占めます。特に注意すべき異物はヒモ状のもので、消化管内に存在すると粘膜をひどく傷つけ、消化管穿孔(穴があく)を起こすこともあります。
食道内異物は最も注意すべき病気であり、この状態が長く続くと食道粘膜が壊死してしまいます。胃、小腸、大腸の異物は最も一般的にみられる病気です。
特に1歳未満の好奇心旺盛な時期にはいろいろな物を飲み込みますので、消化管内異物の可能性が高くなります。
消化管内異物の原因
原因は異物の誤飲です。消化管内異物になるものには、石ころ、金属、木、トウモロコシなど植物の芯、種、ガラス、ビニール、プラスチック、布、ゴム、毛、骨、など様々です。
誤食後に時間が経過してしまうと、治療が困難になる場合や症状が重くなる場合があり、中には中毒(例:人間の薬)や腐蝕(例:電池)を起こしてしまうものもあり、場合によっては死に至ることもあるので注意が必要です。
消化管内異物の症状
飲み込んだものや状態にもよりますが、嘔吐、排便量減少、排便停止、腹痛(急性腹症)、食欲不振、元気消失、下痢などが主ですが、消化管のどの部位に異物があるかにより症状は異なります。異物が食道にあると持続的な嗚咽、唾液の増加、吐出などの症状がみられます。胃にあると間欠的な嘔吐、腸内に詰まってしまうと持続的な激しい嘔吐や腹痛を引き起こします。
消化管内異物の診断/検査
消化管内異物の種類によってはレントゲン検査に写らないものや写りにくいものもあり、判明が難しい場合がありますが、このような場合や腸閉塞などを疑う場合にはバリウム検査などの消化管造影検査、内視鏡検査を行います。
消化管内異物の治療
治療は異物の種類にもよりますが、まず、経過観察と言ってそのまま様子をみるというものがあります。小さな物、先端が尖っていない、消化液で腐食しないものなどであれば、詰まることなく通過する可能性があるので様子を見たりします。
次に、催吐(さいと)といって強制的に嘔吐を誘発する薬や処置を行います。但し、異物によっては催吐が行えない物、時間的に経過していて無意味なこともあります。あとは、内視鏡で異物を取り出したり、手術により消化管を切開して、異物を除去したりします。
その他、液体や中毒の可能性がある異物を誤飲した場合には胃洗浄することもありますし、異物による中毒症状などを起こしてしまった場合は解毒剤の投与や点滴治療などを行います。
消化管内異物の予防
予防は、消化できないものを食べさせない、口の届く範囲に行いことです。例えば、おもちゃは呑み込めるサイズのものは与えないようにするとか、留守番をさせるときには届く範囲に異物となるようなものを置かないようにすることなどを日頃から気を付けましょう。
特に犬は食餌を丸呑みする性質が有り、硬いジャーキーなどが食道に詰まることがありますので、できれば控えましょう。また、散歩の時に拾い食いをするようであれば、リードを短めに持ったり、必要に応じて口輪をするなど対策が必要です。
猫は特に紐状のものが大変危険です。糸、針付き裁縫糸、釣り糸などは猫の飼育環境から遠ざけておきましょう。
消化管内異物の看護/その他
食物でないものを食べたがる癖を「異食」といいます。このような癖を持っている場合は、常に行動に注意を払う必要があります。
消化管内異物は死に至る場合もあります。再発性も高く、繰り返し誤飲する動物も少なくありません。
異物の一部や残りがある場合、食品や薬物の場合は、内容の表示がある袋や箱をできたら持参してください。
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参考文献・資料等
- 猫の臨床指針Part2; 79-84
- 犬と猫のベーシック画像診断学 腹部編; 162-163:胃内異物(超音波)
[WR21,VQ21:]
■VMN Live
・試験的開腹術(消化管閉塞・異物を疑い)