急性腹症:Acute Abdomen

※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

急性腹症とは?

 腹部に生じる痛みを「腹痛(ふくつう)」と言いますが、突然おなかが激しく痛くなることを、急性腹症(きゅうせいふくしょう)と言います。この急性腹症には緊急手術を含む迅速な対応が必要となる重篤な病気が隠れていることもありますので注意が必要です。特に日頃から言葉を発しない動物の場合、この急性腹症にペットオーナーが気づいてあげる必要があります。

急性腹症の原因

腹痛の鑑別診断リスト
▲腹痛の鑑別診断リスト

 急性腹症は病気というよりは複雑な状態を雑業した症状の名前と言ったほうがいいでしょう。急性腹症はお分かりのようにお腹(腹腔)に関係した急性の病気に関係があります。
 主な原因としては、腹膜炎、ウイルス性胃腸炎、細菌性腸炎、寄生虫、消化管穿孔、腸閉塞、イレウス、膵炎[犬・]、中毒、ヘルニア、胃拡張胃捻転症候群、肝臓病、胆石、尿路結石、黄色脂肪症、子宮蓄膿症、前立腺膿瘍、腫瘍などなど様々です。そしてときにお腹と関係のない椎間板疾患(椎間板ヘルニアなど)などが原因の場合も一見すると急性腹症のように見えることがります。

急性腹症の症状

 急性腹症の症状としては、元気消失食欲不振、お腹の痛み、嘔吐下痢、腹部膨満(お腹が大きくなったり張っていること)などが見られます。原因にもよりますが、発熱が見られることもあります。また、体が小刻みに震えたり、頻繁に鳴き声を上げるようなら痛みを訴えているかもしれませんので、早く気づいてあげましょう。病気が進むと最悪の場合、ショックや死が見られます。
 特にドッグオーナーの皆さんに、一つ覚えておいてほしい姿勢があります。犬が両方の前足を下げて前に伸ばし、お尻を高く上げる姿勢でまるでお祈りをしているかのような姿勢です。これを動物病院業界では「祈りの姿勢」と呼びます。元気がなくこのような姿勢を頻繁にしていたら「腹痛」があるかもしれませ。

急性腹症の診断/検査

 急性腹症が疑われる場合、一般身体検査はもちろん、血液検査血液化学検査尿検査レントゲン検査超音波検査は最低限でも必要でしょう。特に腹部超音波検査のAFAST®は急性腹症に対して非常に有用な検査です。
 まずは、急性腹症が命に関わる状態なのか、内科療法で最適か、外科療法が最適なのかなどを見極めることが重要です。

急性腹症の治療

 治療は原因により様々です。そのために多くの検査が必要となります。原因に対する治療を行いつつ、一般的に脱水症状と栄養失調に対処するために静脈輸液(点滴)が行われます。また、激しい腹痛を軽減するために、鎮痛剤も投与します。

急性腹症の予防

 急性腹症を予測することはなかなか難しいことと、原因により予防法は様々ですが、日頃からきちんしたペットフードを与え、異常が見られたら早めに当院にご相談ください。
 特に中型〜大型犬のオーナーは胃拡張胃捻転症候群には注意してください。気づかなかったり放置すれば数時間で死に至ることもあります。餌を与えた後の激しい運動は厳禁です。散歩や運動は餌を与える前にするのが鉄則です。また、行動が激しい場合はドライフードに水分を予め含ませて与えるとかウエットフードを与えることは予防になるでしょう。

急性腹症の看護/その他

 急性腹症は原因によっては非常に急速に悪化して死に至る場合あがります。日頃から動物をよく観察し、異常を感じたら出来るだけ早く当院にご相談ください。

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参考文献・資料等
  1. プライマリ・ケアのための臨床指針;209-213:急性腹症(腹痛・仙痛)
  2. Acute Abdomen: Diagnosis 
  3. Acute Abdomen: Treatment 
  4. Acute Abdomen in Dogs & Cats: Step-by-Step Approach to Patient Care

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<1>突発性腎臓破裂による腹腔内出血を起こした犬において活動性腎出血を検出するため造影超音波検査を利用した1例 
<2>急性腹症: 診断と治療に対する外科的アプローチ法
<3>急性腹症における細胞診と貯留液の分析
<4>急性腹症における超音波検査
<5>急性腹症時におけるレントゲン検査法とその評価 
<6>急性腹症に対する緊急時の優先順位とアプローチ
<7>急性腹症患者の麻酔
<8>あなたの診断は何ですか? 脾臓の虚血
<9>急性腹症の症状を示す犬での腹部2方向 vs 3方向X線撮影の有用性
<10>急性腹症の犬における単純X線画像、Bモード超音波画像、造影剤増強超音波画像、造影剤増強マルチディテクターコンピューター断層撮影による所見の比較 
<11>急性腹部症状を示す、覚醒下および鎮静下の犬を評価するための二相造影マルチ・ディテクターヘリカルコンピューター断層撮影法の実行可能性 
<12>急性腹症:治療 
<13>急性腹症:診断

[WR2106,VQ2106:急性腹症]

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この記事を書いた人

福山達也