外耳炎/外耳道炎

※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

外耳炎/外耳道炎とは?

犬の耳構造
犬の耳構造

耳の穴は外側から外耳(耳介・垂直耳道・水平耳道)、中耳、内耳とわかれていて、外耳は、耳介から鼓膜までをいいます。外耳炎(がいじえん)とは、外耳の表面に炎症が起こることをいい、犬では非常に多く見られる病気で、最も動物病院を受診する理由に、猫では第3位なっています。特に、大きくて垂れた耳を持つウエスト・ハイランド・ホワイトテリア、アメリカン・コッカー・スパニエル、パグ、イングリッシュ・コッカースパニエル、ゴールデン・レトリーバー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シー・ズー、シャー・ペイ、ジャーマン・シェパードなどの犬種、猫ちゃんではスコティッシュ・フォールドなど折れ耳の猫種ではかかりやすい傾向にあります。これらの動物は外耳の通気性が悪いことが外耳炎を誘発しているものと思われます。外耳炎の罹患率は、明らかな年齢差はみられないことから、どの年齢でも起こりうる病気だと言えます。

ちなみに、中耳は鼓膜の奥にあり、振動を耳の奥へ伝える役割を果たす部分で、耳小骨、耳管、鼓室、鼓室胞を含みます。内耳は中耳よりさらに深部にあり、聴覚や平衡感覚を司る神経があり、蝸牛、前庭、半規管を含みます。中耳と内耳の部分に炎症が起きた状態をそれぞれ、中耳炎、内耳炎といいます。中耳炎や内耳炎の多くは、外耳炎から炎症が波及することによって起こります。

外耳炎は治療が遅れると慢性化する場合があるので、注意が必要です。

外耳炎/外耳道炎の原因

外耳炎の原因には様々なものがあります。外耳炎の原発性因子としては異物(草、砂、被毛など)、細菌、真菌(マラセチア)、寄生虫(ミミヒゼンダニ、毛包虫)、アトピー食物アレルギーなどのアレルギーや自己免疫性疾患、甲状腺機能低下症副腎皮質機能亢進症、腫瘍、角化異常症などが原因になります。好発因子(外耳炎を発生させやすくさせる要因)には、体質や犬種的素因(垂れ耳である、耳道に毛が多いなど耳自体の構造)、耳道の湿度の上昇や通気性の悪さ、水泳やシャンプーなどの生活環境があげられます。外耳炎を慢性化させる慢性化因子としては、耳道の上皮が厚くなり、アポクリン腺の過形成や拡張があります。耳道内に湿った耳垢が増え、蒸れた状態となり、このことで細菌・酵母の感染や炎症が持続し、さらに外耳炎を慢性化させることになり、悪循環になります。

外耳炎/外耳道炎の症状

一番はやはり耳の痒みや痛みです。耳の痒みや痛みのために、首を振ったり傾けたり、後肢で耳を引っかく症状がみられます。他には、発赤(耳の赤み)、腫脹(腫れ)、悪臭、耳垢(じこう)の増加なども見られます。外耳炎が進行した場合は鼓膜に穴が開き、炎症は中耳から内耳まで広がります。

外耳炎/外耳道炎の診断/検査

主に、問診、耳垢細胞診、耳鏡を用いた耳道内観察、頭部レントゲン検査等を行います。ただ、レントゲン検査だけでは診断が難しい場合も多く、CTやMRIを用いた検査が必要となることもあります。細菌性の外耳炎の場合、グラム染色、細菌培養や感受性試験も必要なります。

外耳炎/外耳道炎の治療

外耳炎の治療は原因によってまたその経過期間などによっても異なります。一般的に汚れがひどい場合には耳道内の清浄を行うことが多く、その後、点耳薬や内服薬により抗菌剤や抗真菌剤などの内科治療を行います。

▼外耳炎原因菌と抗菌薬の治療ガイダンス

細菌の種類 グラム染色 第1選択薬 第2選択薬
ブドウ球菌 グラム陽性球菌 CEX/AMPC他 フルオロキノロン系他
緑膿菌 グラム陰性桿菌 フルオロキノロン系他 アミノグリコシド系他
腸球菌 グラム陽性球菌 AMPC他 フルオロキノロン系他
大腸菌 グラム陰性桿菌 CEX/AMPC他 フルオロキノロン系他
▷当院でオスルニアによる治療を受ているワンちゃんのオーナーさんはこちらも参照してください。
耳ダニが原因の場合は駆虫薬を使用します。アレルギーなどの基礎疾患がある場合はその治療も行います。時には全身的に抗菌剤や、抗アレルギー剤などの投与が必要になることもあります。時には外耳炎でも外科手術(外耳道切除術、全耳道切除術など)を行うことが必要になります。これらの手術により耳道の通気性を改善し、炎症や感染を起こしにくくなり、外耳炎が治癒しやすくなります。

外耳炎/外耳道炎の予防

なにより、耳を清潔に保つこと、通気性をよくすることで、外耳炎を予防することができます。但し、間違った方法での耳掃除やシャンプー液の耳への流入などが、外耳炎の原因となることがありますので、正しい耳の手入れ方法を学ぶことが重要です。また、日頃からのこまめな耳のチェックも大切です。耳垢の量や色、耳の臭いをチェックし、異常がみられた場合は早めに動物病院を受診しましょう。

定期的なペット美容室でのトリミングは耳の病気の早期発見にもつながります。最低でも月1回はシャンプー・カットをしてもらう習慣をつけましょう。

外耳炎/外耳道炎の看護/その他

外耳炎はとても多い病気で、原因は非常に幅広く複雑なため、体質によっては慢性に移行したり再発を繰り返す場合が多くあります。重度の外耳炎の場合、勝手な耳掃除は症状の悪化や中耳炎・内耳炎を引き起こす危険がありますので、必ず獣医師の指示に従う事が重要です。ご家庭では、綿棒を使うことで、かえって汚れを奥に押し込んでしまい、耳の内部の皮膚を傷つけてしまう可能性があります。綿棒を使うのであれば正しい耳掃除の方法を学んでからにしましょう。通常は綿棒を使わず、コットンにイヤークリーナーを付けて拭いたり、直接イヤークリーナー(洗浄剤)を入れてマッサージする方法がいいと思います。再発予防のために、週に1~2回の間隔で外耳道洗浄(抗菌効果のある洗浄剤を使用する)を行うことが理想的です。但し、期限切れ、Tris-EDTA入の製剤は細菌位汚染が増えるという報告があるので適切に使用しましょう[2]

外耳炎になった場合、途中で治療を勝手に自己判断で治療を辞めてしまうペットオーナーがいます。これは慢性化の原因になりますので、獣医師と相談してきちんと治療しましょう。

▼猫の耳洗浄+投薬
※英語ですが、やり方を見るだけなら参考になると思います。

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参考文献・資料等
  1. 犬の内科診療 Part1; 399-405:外耳炎
  2. 伴侶動物治療指針Vol.6; 282-292:外耳炎の内科治療


<1>28日間にわたる4種類の耳道洗浄液内のエンロフロキサシンの安定性およびin vitroでのStaphylococcus pseudintermediusおよびPseudomonas aeruginosaに対する効果の決定
<2>市販されている耳道洗浄剤を日常的にホーム・ユースした後の細菌汚染
<3>犬の外耳炎での、シグナルメント、一般的な原因、および病原体の関連性
<4>慢性末期外耳炎の犬にエンロフロキサシンを静脈内投与した後の、エンロフロキサシンおよびその代謝物であるシプロフロキサシンの血漿中および耳の組織内濃度
<5>犬のマラセチア外耳炎: 細胞学的分析のための熱定着外耳滲出物の影響
<6>健康犬および外耳炎犬から分離された細菌および酵母菌の同定および抗菌剤感受性
<7>一般臨床における小動物の皮膚疾患の発生率、診断、およびその治療についての調査
<8>マラセチアの治療における抗真菌薬と抗真菌薬・抗生物質・コルチコステロイド合剤との比較
<9>猫における耳ダニの耳道および顔面への寄生頻度に影響する因子
<10>コッカー・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、そしてバセット・ハウンドにおける原発性角化異常(特発性脂漏症)にエトレチネート(チガソン)を使用した治療
<11>犬18頭および猫1頭に実施した外耳道遠位端の一部を残した耳道部分切除における病理学
<12>健康な猫と外耳炎を起こした猫からのマラセチアの分離
<13>全耳道摘出術を実施した犬の垂直耳道から採取した耳分泌物および耳組織から得られた微生物および感受性パターンの比較
<14>犬の酵母菌性外耳炎に対するホウ酸含有亜鉛および酢酸含有亜鉛点耳製剤の有効性
<15>酢酸/ホウ酸外耳洗浄液の治療における効果とマラセチアセ性外耳炎の予防
<16>耳洗浄: 英国および米国における展望
<17>外耳炎に罹患した犬の外耳道における微生物分離および感受性パターンの比較
<18>外耳炎および中耳炎を評価するためのテクニックの再検討
<19>犬の感染性外耳炎における治療としての耳洗浄液の評価
<20>犬の外耳炎または尿路感染症の分離菌をIn Vitroでエンロフロキサシンに暴露した後の耐性菌の発現
<21>健康な犬および外耳炎に罹患した犬から分離したコアグラーゼ陽性ブドウ球菌の同定および抗菌剤感受性
<22>猫外耳炎と犬膀胱炎の症例から分離されたArcanobacterium (Actinomyces) pyogenes
<23>犬猫の正常および病的状態の外耳道より得られた標本における半定量的細胞学的評価
<24>犬の耳疾患におけるシュードモナスの役割
<25>耳の洗浄 101
<26>応用皮膚科学:耳炎:すべての臨床家が知っておくべき解剖学
<27>犬の耳疾患の診断と管理に対する実践的アプローチ法
<28>健康な犬と、外耳炎、膿皮症あるいはその両方に罹患している犬からのStaphylococcus schleiferiの分離
<29>重度な犬の外耳炎の組織病理学的特徴からみる犬種差:80例(1995-2001)
<30>外耳炎の犬に対する耳用体温計と直腸用体温計の使用による体温の計測
<31>犬のMalassezia pachydermatis 皮膚炎及び外耳炎の治療に対するイトラコナゾールのパルス投与と1日1回の投与との比較

この記事を書いた人

福山達也