腸炎

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腸炎とは?

腸炎
腸炎:Hill’sアトラスを翻訳・改変

腸炎(ちょうえん)とは腸粘膜の炎症です。腹痛や下痢がみられ発熱を伴うこともあります。

腸炎は大きく急性腸炎と慢性腸炎に分類することができます。急性腸炎と慢性腸炎は主な「下痢」という症状は同じですが、その期間や多くの場合原因が異なります。一般的に急性腸炎は24時間以内におこった場合の診断名で、長くても6日程度までを言い、それを越えて2〜3週間以上断続的に腸炎の症状が見られ、一般的な検査で原因が特定できない場合は慢性腸炎となります。

腸炎の原因

原因は細菌感染または細菌性毒素、ウイルスによる場合と、食事や水の不摂生(腐敗した食餌や水)、寄生虫、免疫疾患、アレルギー、毒物、ストレス、腫瘍による場合など多くの原因があります。
細菌やウイルスが原因の場合は、症状が重くなりやすく重篤な状態もあるので注意が必要です。

腸炎の症状

腸炎の初期段階では、嘔吐や下痢の症状はたまに見られる程度ですが、悪化すると嘔吐や下痢症状を頻繁に繰り返し、便に血や粘液が混じった血便が出る、食欲低下や元気がなくなってくるといった症状がでてきます。

また、腸は大きく小腸(胃に近い部分の腸)と大腸(肛門に近い部分の腸)に分かれ、小腸に炎症がある場合は、液体状のゆるい便が出て栄養が吸収されず、体重の減少や貧血を起こします。大腸に炎症がある場合は、便に血や粘液が混じります。犬の体重の変化は小腸が栄養を摂ってくれるため、排便回数は多いですが、それほど変化はみられません。腸炎が進行すると下痢、嘔吐を繰り返えすため衰弱し、他の器官に栄養が行き渡らず、他の病気を併発することもあるので注意が必要です。

腸炎の診断/検査

状態や考えられる原因にもよりますが、一般的に身体検査、糞便検査レントゲン検査超音波検査などを行います。さらに必要であれば内視鏡検査をして腸のチェックが必要になるここともあります。また、全身状態を把握するために血液検査血液化学検査尿検査が必要なこともあります。

腸炎の治療

原因が細菌感染の場合は抗生物質や下痢止めなどを投与します。寄生虫の場合は、駆虫薬、異物誤飲や腫瘍の場合は、外科手術や抗がん治療を行います。脱水症状が見られるときは、水分補給や栄養補給を目的に、点滴も併用して行います。
慢性腸炎になると完治が難しくなり、治療というよりも、症状の軽減を目的とした療法になってしまうこともあります。

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腸炎の予防

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食餌に関しても日頃からきちんとしたペットフードを与えることは腸炎の予防になるでしょう。高いペットフードがいいフードとは限りませんが、少なくともあまりにも安いフードにいいフードがないのは分かると思います。当院の院長は日本で最初に認定されたペットフードソムリエシニアソムリエでもあります。また、スタッフもペットフードに関して教育を受けておりますので、ペットフードに関しましても当院にお気軽にご相談下さい。

腸炎の看護/その他

腸炎を起こしやすい動物は精神的にデリケートな面があり、コミュニケーションを多くとるとストレスが緩和して腸炎の症状が落ち着く場合があります。
慢性腸炎は一度完治したと思っても再発を繰り返すことがあります。これを防ぐために定期的な診察が必要です。特に慢性腸炎は、幼少期や高齢期には重篤になりやすいため、変化があれば直ちに動物病院で検査を受けるようにしましょう。
細菌性腸炎を起こすサルモネラ菌やカンピロバクターは、食中毒菌で、人への感染の可能性がありますので注意が必要です(特に手作り食)。

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参考文献・資料等
  1. 猫の臨床指針Part2; 101-104
  2. 犬と猫の日常診療のための抗菌薬治療ハンドブック;107-117:消化器及び腹腔内の感染症


<1>パルボウイルス性腸炎に罹患した犬の重症度に関する炎症性および酸化バイオマーカー
<2>猫の消化管の慢性の炎症性あるいは非炎症性疾患: 全層にわたる腸管バイオプシーおよび腸管外バイオプシーの診断的利点
<3>犬パルボウィルス感染症で胃腸炎を生じている犬における酸化ストレス指数
<4>パルボウィルス性腸炎の犬の白血球数と生存率に対する組換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子(rhG-CSF) の効果
<5>犬の糞便中のエラスターゼ濃度に対する腸炎の影響
<6>イヌコロナウイルスに対する新しい犬由来改良生ウイルスワクチンの効果
<7>犬パルボウィルス性腸炎: 診断、管理、予防の再検討
<8>犬の炎症性腸疾患: 80症例における診断および予後に関する回顧的分析(1995-2002年)
<9>パルボウイルス性腸炎を自然発症した子犬における血清有機酸の測定
<10>慢性下痢の猫に対する診断および治療法のアプローチ

この記事を書いた人

福山達也