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慢性腎不全/慢性腎臓病CKDとは?
慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)は以前は慢性腎不全(まなんせいじんふぜん)などとも呼ばれていた病気で、統計にもよりますが犬全体の0.05〜3.74%が患う重大でよくある病気のうちの一つです。腎臓の機能が低下して、効果的に体の中の老廃物を排泄できなかったり、電解質(※)の調整やホルモンの産生分泌などが滞る状態です。慢性腎臓病の犬の多くが6歳以上で診断されるため、高齢犬の方が患いやすいと言えます。更に7歳から12歳と12歳以上を比較すると5倍も患いやすことが報告されています。
海外での報告ですが、犬では、特にシャー・ペイ、ブル・テリア、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ボクサーが罹りやすいと報告されています。
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの原因
慢性腎不全の主な原因には、老化による腎機能低下、他の疾患(感染症、急性腎不全、糖尿病、急性膵炎、副腎皮質機能亢進症、副腎皮質機能低下症、子宮蓄膿症、熱中症、全身性高血圧[6]など)による腎障害、自己免疫疾患、遺伝的要因、腫瘍など様々なものがあります。慢性腎不全は急性腎不全とは異なり、原因がはっきり分からないことがほとんどです。
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの症状
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの診断/検査
ステージ 分類 |
残存 腎機能 |
血液検査 (血清CREA値) |
尿検査 (尿比重) |
臨床症状 |
---|---|---|---|---|
ステージ1 | 33% | 正常 (犬:<1.4 mg/dl) (猫:<1.6 mg/dl) |
正常〜 低比重尿・蛋白尿 (1.028〜1.050) |
なし |
ステージ2 | 25% | 正常〜軽度上昇 (犬:1.4〜2.0mg/dl) (猫:1.6〜2.8mg/dl) |
低比重尿・蛋白尿 (1.017〜1.032) |
なし、もしくは軽度の高窒素血症 (多飲多尿等) |
ステージ3 | <10% | 軽度〜中等度上昇 (犬:2.1〜5.0mg/dl) (猫:2.9〜5.0 mg/dl) |
低比重尿・蛋白尿 (1.012〜1.021) |
さまざまな臨床症状、中程度の高窒素血症 (食欲不振・嘔吐・脱水など)が見られる |
ステージ4 | <5% | 重度上昇 (犬:5.0< mg/dl) (猫:5.0< mg/dl) |
低比重尿・蛋白尿 (1.010〜1.018) |
重度の高窒素血症 積極的治療がないと生命維持が困難 |
※犬の場合、平均生存期間はステージ2で14.78ヶ月、ステージ3で11.14ヶ月、ステージ4だと1.98ヶ月と報告されています。
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの治療
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの予防
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの看護/その他
検査 | 検査間隔(ヶ月) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
ステージI | ステージII | ステージIII | ステージIV | |||
身体検査 | 6 | 4〜6 | 3〜6 | 1〜3 | ||
血液検査 | 6 | 4〜6 | 3〜6 | 1〜3 | ||
尿検査 | 6 | 4〜6 | 3〜6 | 1〜3 | ||
尿培養 | 6 | 6 | 6 | 3〜6 | ||
血圧測定 | 6 | 6 | 6 | 3〜6 |
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参考文献・資料等
- International Renal Interest Society (IRIS)
- 犬の内科診療 Part1; 241-247:慢性腎臓病
- 慢性腎臓病
- Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic renal failure in dogs
- Chronic kidney disease in dogs and cats
- Hypertension and renal disease
- Treatment Guidelines for Chronic Kidney Disease in Dogs & Cats
- Comparison of the diagnostic value of symmetric dimethylarginine, cystatin C, and creatinine for detection of decreased glomerular filtration rate in dogs
- Relationship between serum iohexol clearance, serum SDMA concentration, and serum creatinine concentration in non-azotemic dogs
<1>慢性腎臓病、癌腫、リンパ腫および内毒素血症に罹患した犬における好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)
<2>犬の慢性腎臓病に対する治療のエビデンスに基づいた再評価
<3>多発性嚢胞腎のイングリッシュブルテリアの慢性腎不全
<4>犬における腎臓の超音波画像上の異常は、シンチグラフィーで算出された糸球体濾過率の低値と関連している
<5>犬における慢性腎臓病の貧血の治療において赤血球生成を刺激するためのダルベポエチンの使用
<6>慢性腎臓病の犬における無症候性細菌尿、細菌性膀胱炎、および腎盂腎炎の特徴
<7>自然発生性慢性腎臓病を有する犬における対称性ジメチルアルギニンとクレアチニンの血清濃度
<8>自然発生性蛋白尿性慢性腎疾患罹患犬における尿中および血清バイオマーカーと腎損傷、生存期間との関連性
<9>臨床における病理学 イングリッシュ・コッカースパニエルの遺伝性腎症(家族性腎症)
<10>腎疾患の犬における血清リポプロテイン変化
<11>シスタチンC:小動物医療における新しい腎臓マーカーおよびその利用の可能性
<12>慢性腎疾患に罹患した犬猫のための手作り食のレシピに対する評価
<13>犬2頭における腎移植術のためのの動静脈端—側吻合術の実施
<14>心バイオマーカーであるナトリウム・カルシウム交換輸送体(NCX-1)により心不全と腎不全を鑑別できる可能性:慢性僧帽弁閉鎖不全および高窒素血症を有する犬のNCX-1発現の比較研究
<15>健康犬および慢性腎臓病犬における尿素の生成および排泄の定量的評価
<16>自然発生性腎疾患罹患犬における好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン
<17>急性腎障害あるいは慢性腎疾患の犬における血漿および尿中好中球ゼラチナーゼ関連リポカイン(NGAL)
<18>獣医大学付属病院に来院した犬における血清クレアチニン濃度上昇の有病率(2010-2014)
<19>慢性腎臓病罹患犬の生存期間に対するベナゼプリルの有効性:多施設、無作為化、盲検、プラセボ対照試験
<20>慢性腎臓病罹患犬における線維芽細胞成長因子-23濃度
<21>急性腎障害および慢性腎臓病罹患犬における血漿対称性ジメチルアルギニン濃度
<22>犬における慢性腎臓病の貧血の治療において赤血球生成を刺激するためのダルベポエチンの使用
<23>尿毒症の犬と猫における低体温症
<24>慢性腎臓病の犬における無症候性細菌尿、細菌性膀胱炎、および腎盂腎炎の特徴
<25>自然発生性慢性腎臓病を有する犬における対称性ジメチルアルギニンとクレアチニンの血清濃度
<26>腎臓病が疑われる犬で、積分法および血漿容積法を用いて測定したシンチグラフィによる糸球体濾過量に対する水和の影響
<27>心バイオマーカーであるナトリウム・カルシウム交換輸送体(NCX-1)により心不全と腎不全を鑑別できる可能性:慢性僧帽弁閉鎖不全および高窒素血症を有する犬のNCX-1発現の比較研究
<28>健康犬および慢性腎臓病犬における尿素の生成および排泄の定量的評価
<29>犬の腎障害マーカーとしての好中球ゼラチナーゼ-関連性リポカインの評価
<30>UKの獣医療における犬の慢性腎疾患:有病率、危険因子、そして生存期間
<31>腎臓病に関連する全身性高血圧症の治療
<32>重症度の段階が異なる自然発生慢性腎臓病の犬におけるカルシウムおよびリンの恒常性
<33>健康な若齢犬、高齢犬、慢性腎臓病の犬の尿中マーカー
<34>犬の尿毒症性胃疾患の病理組織学的特徴:回顧的研究
[WR2106,VQ2106:腎臓病+犬]
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