気管虚脱

※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

気管虚脱とは?

 気管虚脱(きかんきょだつ)は気管が本来の緊張を失って押しつぶされたような形に変形し、呼吸に障害を起こす病気です。一般的に6~8歳程度の中高齢の小型犬(チワワ、トイ・プードル、パグ、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャー・テリア)に多い疾患ですが、稀に、ラブラドール・レトリーバーなど大型犬や若齢の犬でもみられます。性別による差はなく、猫では稀な病気です。

気管虚脱の原因

 はっきりとした原因は明らかになっていませんが、遺伝的素因(25%の犬では生後6ヶ月以内に最初の症状を示す)や肥満・老化、食餌(肉100%)、神経学的素因などが関係していると考えられています。また、暑い時期の高温環境や興奮、ストレスなど、過呼吸を引き起こす状況も発症の要因となるといわれています。

気管虚脱の症状

 激しい運動や興奮、首輪による圧迫があった後などに咳や「ガーガー」というアヒルやガチョウの鳴き声のような喉鳴りが聞こえます。重度の場合は、呼吸困難やチアノーゼ(舌の色が紫色になる)、失神などの症状を起こすことがあります。

気管虚脱の診断/検査

 レントゲン検査、透視撮影を行い、気管虚脱の程度を見極めます。また、気管支鏡検査(当院では行なえません)を行うこともあります。
 気管の虚脱状況に応じてグレード1〜4の4段階に分類するのが一般的です。

また、気管虚脱の犬には肝機能不全も多いとされ、血液検査を行うことも重要です。<14>

犬気管虚脱のグレード
犬気管虚脱のグレード

気管虚脱の治療

 すべての犬に共通するベストな治療法は存在しないと言われています。その犬の症状や環境に合わせた治療計画を立てることが重要となります。
 一般的に症状が軽い場合は気管拡張薬や鎮咳薬の投与などの内科治療を行います。その他、様々な症状に応じて抗生物質や抗炎症剤・ステロイド剤、鎮静剤または精神安定剤などの投与を行います。
 チアノーゼや重度の呼吸困難などの症状がある場合には酸素吸入などを行ないます。
 しかし、薬の投与だけではつぶれた気管自体を元にもどすことはできないため、症状が重度の場合には、外科治療としてつぶれた気管のまわりに補強材を巻く手術、気管の内側にステントを設置する手術などを行うことが必要になります。

気管虚脱の予防

 原因がはっきりしないため、厳密に予防は難しいと思われますが、症状の悪化を防ぐために、気管への負担を取り除くことはできるかもしれません。
 肥満を防ぐ環境刺激因子であるタバコを遠ざける、高温多湿環境、過激な運動や興奮を回避する、気管を刺激することを防ぐために、首輪の使用をさけて、胴輪(ハーネス)を使用するなどです。

気管虚脱の看護/その他

 アンチノールなど一部のサプリメントが消炎作用を含んでいることから気管虚脱にしばしば効果があるという記述や報告があります[3][4]ので、試してみる価値はあると思います。

アンチノール

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 ご家庭では獣医師の指示に従い投薬を行い、体重管理(肥満の解消)、首輪を辞めて、ハーネスの使用を心がけてください。また、タバコは環境中刺激物質となるので、室内や近くで吸わない、吸ったら30分は近づかないなど、極力考慮するべきです。
 咳・舌の色などのチェックをこまめに行ない、咳などが悪化するようであれば早めに当院を受診してください。

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参考文献・資料等
  1. Canine tracheal collapse
  2. 伴侶動物治療指針Vol2; 120-126:犬と猫の咳を止めたいときの治療法
  3. 犬の内科診療 Part1; 172-178:気管虚脱
  4. 気管虚脱の犬にモエギイガイ抽出脂肪酸(PCSO-524)を与えた19症例の臨床成績


<1>.犬の気管支軟化症: 内視鏡検査によって診断された18例の臨床病理学的研究
<2>.ニチノール製気管内ステントが折損した犬に対する非侵襲的な修正
<3>.組織球肉腫の浸潤に関連してみられた猫の活動性気管虚脱
<4>.犬の気管支軟化症の臨床的評価と内視鏡的分類
<5>.犬の気管虚脱の診断および病期判定のための周期性呼吸フローボリュームループ解析
<6>.慢性咳嗽の犬における環境タバコ煙への曝露などの個体群統計学的所見および病歴所見
<7>.犬の気管虚脱および気管支軟化症:58症例(2001年7月~2008年1月)
<8>.犬の末期の気管虚脱に対するニチノール・ステントの利用
<9>.気管虚脱に対する手術後の生存期間および、胸部気管虚脱が生存期間におよぼす影響
<10>.犬の気管虚脱と気管支拡張症の関連性に関する回顧的研究
<11>.51頭の犬におけるX線検査および透視検査による気管虚脱の評価
<12>.犬の気管虚脱の治療に対する自己拡張型ニチノールステント:12例(2001-2004)
<13>.犬の気管虚脱の透視検査およびX線検査による評価:62例(2001-2006)
<14>.気管虚脱の犬における肝疾患
<15>.犬の気管虚脱治療に用いられたニチノール製気管内ステントの破損
<16>.進行した気管虚脱の犬に対して自己拡張性胆管用ウォールステントを用いた治療法
<17>.犬の気管虚脱の治療における管腔内ニチノールステントの使用

この記事を書いた人

福山達也