※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!
短頭種気道症候群とは?
短頭種気道症候群(Brachycephalic Airway Syndrome)は、ブルドッグ、パグ、ペキニーズ、シーズー、ボストンテリアなどの犬に多く見られる呼吸器の問題です。猫でもペルシャ、ヒマラヤン、ブリティシュ・ショート・ヘアー、スコティシュ・フォールドなどの猫種に見られます。これらの犬種や猫種は短い鼻と平らな顔を持っているため「短頭種(たんとうしゅ)」と呼ばれ、上気道の構造が異常になりやすく、呼吸が困難になることがあります。この症候群は、軽度の場合から重度の場合まであり、重篤な場合には緊急の治療が必要となることもあります。
短頭種気道症候群の原因
短頭種気道症候群の主な原因は、短頭種の犬猫の独特な解剖学的特徴にあります。まず、狭い鼻孔が空気の流れを制限し、呼吸を困難にします。また、軟口蓋が通常よりも長く、喉の後ろに垂れ下がることで気道を部分的に閉塞します。さらに、気管が狭いために空気の流れが制限され、喉頭嚢腫と呼ばれる喉頭の小さな袋が膨らむことも原因の一つです。これらの要因が組み合わさることで、短頭種の犬は呼吸困難を引き起こしやすくなります。
この病気は幅広い年齢に見られ。高齢だと重篤になりやすい傾向があります。
短頭種気道症候群の症状
短頭種気道症候群の犬猫は、いびきをかく、鼻を鳴らす、呼吸が困難になる、運動をするとすぐに疲れるなどの症状を示します。また、咳をすることが多く、見逃されがちですが、嘔吐や吐出をすることもあります。9割以上の犬に消化器症状があると報告[1][2]されていますので、呼吸器の病気ですが注意が必要です。
呼吸が非常に困難な場合は、口を開けて呼吸することがあり、舌の色が青紫色になるチアノーゼを引き起こすこともあります。これらの症状は、特に暑い日や激しい運動の後に顕著に現れることが多いです。
その他、呼吸器の問題だけでなく、全身的に血液凝固の問題[3]や炎症の問題[4]も引き起こしますので、侮れません。
発熱、元気消失、食欲不振、肥満、体重減少、貧血、黄疸、嘔吐、下痢、便秘、発咳、低血糖、脱水、跛行、脱毛、掻痒
短頭種気道症候群の診断/検査
短頭種気道症候群の診断は、まず視診と触診によって行ないます。そのため、犬の呼吸状態や鼻孔の状態を確認します。外鼻孔狭窄と言って鼻の穴が狭くなっていることが特徴です。
その後、レントゲン検査や超音波検査で胸部と気道の状態を確認し、内視鏡検査で喉や気道の内部を詳細に調べます。また、全身状態を評価するために血液検査、血液生化学検査などを行うこともあります。これらの検査結果を総合的に判断して、診断を確定します。時にはCTなどの検査も必要になります。
短頭種気道症候群の治療
治療には、まず体重管理が重要です。肥満は症状を悪化させるため、適正体重を維持することが必要です。症状が重い場合は、外科手術が必要となります。これには、鼻孔拡張術、軟口蓋切除術、喉頭嚢腫摘出術などが含まれます。手術後の予後は、症状の重さや治療のタイミングによりますが、早期に適切な治療を行うことで、多くの犬が改善します。
薬物療法としては、抗炎症薬や鎮静薬が使用されることもあります。
短頭種気道症候群の予防
短頭種気道症候群の予防には、適正体重の維持が欠かせません。肥満を防ぐために、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけることが大切です。また、環境管理も重要で、特に暑さや湿度を避け、涼しく乾燥した環境を提供することが望ましいです。定期的な獣医師の診察を受け、早期に異常を発見し、対応することも予防に役立ちます。
短頭種気道症候群の看護/その他
自宅での看護では、犬の呼吸状態を常に監視し、異常があればすぐに当院にお知らせください。特に暑い日には冷房を使い、犬を涼しく保つことが必要です。また、過度な運動を避け、犬が無理なく過ごせるようにすることも大切です。常に新鮮な水を提供し、脱水を防ぐことも忘れないようにしましょう。これらの管理とケアにより、短頭種気道症候群の犬が快適に過ごせるようサポートすることができます。
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参考文献・資料等
- Prevalence of gastrointestinal tract lesions in 73 brachycephalic dogs with upper respiratory syndrome
- Long-term results of upper respiratory syndrome surgery and gastrointestinal tract medical treatment in 51 brachycephalic dogs
- Severe brachycephalic obstructive airway syndrome is associated with hypercoagulability in dogs
- Assessment of circulating concentrations of proinflammatory and anti-inflammatory cytokines and nitric oxide in dogs with brachycephalic airway obstruction syndrome
- Nasopharyngeal turbinates in brachycephalic dogs and cats.
- Brachycephalic Obstructive Airway Syndrome
- Brachycephalic obstructive airway syndrome: much more than a surgical problem

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[WR21,VQ21:]