膿胸

膿胸とは?

肺の周囲に、胸腔という空間があります。膿胸(のうきょう)とは、その胸腔に細菌感染により膿が溜まり呼吸困難などをおこす病気です。一般的に犬よりも猫に多く見られ、特に室外飼育(論文によっては室内室外差はないという報告もあり<3>)の比較的若い雄猫に多く見られる病気です。また多頭飼育の場合はリスクが3.8倍<3>も高いとされています。

猫エイズウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症などの、免疫力を低下させる病気に感染している場合は、免疫力の低下が原因で膿胸を発症しやすいとも言われます。
重症化してしまうと治療中に死亡してしまったり、予後が悪くなることが多いので早期発見、早期治療が重要です。

膿胸の原因

事故や猫同士のケンカなどによる胸部の外傷が最も多く、他には、骨や竹串など尖ったものを飲み込んだ際に起こる食道穿孔(しょくどうせんこう:食道に穴が開くこと)、細菌性肺炎、ウイルス感染、寄生虫などから、胸膜に細菌が感染することで、胸腔内に膿がたまって発症します。また、別の部位に細菌感染症を起こしている場合に、その細菌が血液によって胸腔に到達し、感染することもあります。

ただ、発症までは1〜2週間、時には数ヶ月と時間がかかることが多く、原因が判断できないことも多くあります。

猫膿胸の症状

初期症状はなんとなく元気がない、食欲がないなど他の多くの病気と似ています。このようなどんな病気にでも見られる症状を非特異的症状と言います。症状が進むと発熱(40度以上になることもあります。ただし発熱は50%程度にしか見られないという報告がありますので、熱がないからといって膿胸ではないとは言えません)や胸腔内にたまる膿の量が多くなって肺を圧迫すると呼吸困難を示すようになりますし、咳やチアノーゼ(舌や口の粘膜が青白くなる)などが起こることもあります。重症になると少しでも楽に呼吸ができるように、横になることを嫌い、座った姿勢をとりつづけることもあります。

重症化して呼吸困難に陥った場合は、死に至ることもあるため緊急性の高い病気です。

膿胸の診断/検査

膿胸のレントゲン

症状とレントゲン検査超音波検査などにより診断します。ただし、レントゲン検査超音波検査では胸に液体が溜まっているのは判断できますが、それが、水なのか膿なのかは分かりません。そのため状態が許せば、胸腔穿刺(胸に針を刺して溜まった液体を抜くこと)を行ます。胸腔穿刺には鎮静や麻酔が必要であったり、合併症として気胸、血胸、肺出血、感染などがあることをご理解下さい。胸に溜まった液たが、膿であれば、グラム染色検査、細菌培養検査、抗菌薬感受性試験などを行います。

また、全身状態を把握するために、血液検査血液化学検査尿検査を行います。より詳しく原因を特定するためには、CT検査、気管支鏡検査などが行われることもあります。

膿胸の治療

原因となっている細菌に対しての抗生物質を投与します。脱水や様々な症状を改善するため、点滴や高カロリー食の給餌などの支持療法を行います。

また、針を胸腔内に挿入して、胸腔内にたまっている膿を排泄させたり、酸素吸入を行ったりして呼吸状態を改善させます。膿の量が多い場合は胸腔内にチューブを入れ、膿の排泄と胸腔内の洗浄を繰り返し行いますが、衰弱している場合はチューブを設置することができないこともあります。

重症になると治療は思ったより長期間、高額になることもありますので、早期発見、早期治療が重要です。

膿胸の予防

膿胸の原因は様々ですが、事故や猫同士の喧嘩による怪我が原因となることが多いため、なるべく猫を室内飼育することは予防につながります。喧嘩などで外傷があったら放置せず早めに動物病院で治療を受けましょう。

膿胸の看護/その他

猫が外から帰ってきて、じっとうずくまって息苦しそうにしていたり、様子がどこかおかしいと感じたりしたら、すぐに動物病院で検査を受けましょう。膿胸は病院を受診した時にはすでに重症化しているケースも多く、重症化してしまうと治療中に死亡してしまったり、予後が悪くなることが多いので早期発見、早期治療が重要です。

過剰に涎が出たり、心拍数が低い場合は予後が悪いと報告されています。<3>

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参考文献・資料等
  1. 猫の臨床指針Part1


<1>.猫の膿胸: オーストラリアにおける27症例の回顧的研究
<2>.猫の胸水
<3>.猫の膿胸における危険因子、予後に対する指標、及び結果:80例(1986-1999)