食物アレルギー

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食物アレルギーとは?

 食物アレルギー(しょくもつあれるぎー)とは、ホームメードの食餌や市販のペットフード、おやつなどに含まれる種々の物質に対するアレルギー反応により皮膚の痒みや下痢がおこる病気です。ある調査では約40%の犬が食物アレルギーを持っている可能性がある報告されています。食餌性アレルギー、食物有害反応などとも言われます。
 犬では、どんな犬種でも発症する可能性がありますが、報告では、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ゴールデン・レトリバー、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ラブラドール・レトリバーに多いとされていて、特に1歳未満、6歳異常に多く見られるとされています。

食物アレルギーの原因

 食餌の中に含まれるアレルギー物質としては蛋白(たとえば牛肉、乳製品、 鶏肉、小麦、ラム肉、豚肉、魚、馬肉、卵、大豆など)、炭水化物(小麦、米、トウモロコシ、オートミールなど)、着色料、スパイス、防腐剤のような添加物などすべてがアレルギー物質として考えられます[1]
 これら、原因となるアレルギー物質はそれぞれの動物により違います。

食物アレルギーの症状

 発症は1歳齢未満から3歳齢までが多く、かゆみまたは下痢が主な症状で、皮膚炎や鼻炎、目の炎症、脱毛、フケなど多岐にわたります。極稀にてんかん様の発作がみられる場合もあります。
 食物アレルギーによって痒みが出る場所は耳が多く、再発する外耳炎がみられる場合には、食事の検討を行うほうがいいでしょう。痒みは季節性に関係なく、慢性的に徐々に悪化してきます。かゆみが発現するその他の身体部位としては、肢端、鼠径、腋窩部、顔、前胸部です。

食物アレルギーの診断/検査

 治療に先立ち食物アレルギーという診断を確定する必要があり、このために除去食試験(じょきょしょくしけん)というものを行います。除去食試験では、それまで一度も食べたことがない蛋白と炭水化物を用います。なぜなら、”過去に摂取したことのあるタンパク質であれば、動物性、植物性に関係なく、どのタンパク質に対してもアレルギーを起こす可能性があるから”です。そのため、動物病院で専用の食事を処方してもらうか、自宅で作ります。
 この試験の間は水と決められた動物病院で処方されるフード以外、市販のフードやおやつなど例え低アレルギーと書いてあっても絶対にあげてはいけません。一般に店頭販売されている市販フードの3/4は表示蛋白とは異なる成分が含まれている事が多くの研究で指摘されています。これらにより、せっかくの除去食試験が台無しになります。
 この食事を2〜3ヶ月(最低2ヶ月)行い、以前に与えていた食事を再開して,1週間のうちにかゆみまたは皮膚病変などが再発すれば以前の食べ物に対する食物アレルギーが強く疑われます。
※例:自宅で除去食を作成する場合、油や調味料を使わずに炒めたラム肉とポテトの1:1の混合を用います。(但し、それまでポテトやラム肉を食べたことがない場合のみ。なお、この食餌は長期間の栄養を満たせませんので必ず除去食期間など獣医師の指示に従ってください。
※同居犬、猫がいる場合は、可能な限り家庭内の同じ動物種に対して共通の食事を与えます。これは、フードや飲水の器を介してアレルゲンに暴露することを避けるためです。その他、人の食べものなどの盗み食い等にも注意してください。
 食物アレルギーに対してアレルゲンの血液検査(特異的IgE検査)をすることもありますが、この結果(陽性)だけで安易に診断してはいけません。必ず除去食試験や食物負荷試験などを行うべきです。

食物アレルギーの治療

アレルギー反応を起こさせる成分を含んでいない食物やフードを与えます。特に動物病院では療法食と呼ばれる専用フードが処方されます。
痒みや皮膚炎に対してはその都度痒み止などにより対処します。

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食物アレルギーの予防

メカニズムが必ずしもすべては分かっていなかったり、遺伝や環境要因など眼に見えない要因もあるため予防は困難ですが、幼少期からきちんとした食品やフードを与えることは重要だと考えられます。

食物アレルギーの看護/その他

 実は以前は動物の食物アレルギーは少ないと言われていましたが、最近では意外に多いことが分かってきています。また、アトピー性皮膚炎との併発型も多く、診断や治療を困難にしています。とにかくアレルギーの診断、治療には根気と時間は必要です。
 また、除去食試験を行う場合は、最低2ヶ月決められたフードと水以外は与えないことが重要です。おやつや人間用の食事以外にも、サプリメントやチュワブルタイプのフィラリア予防薬も与えてはいけませんので、注意してください。
 除去試験で食物アレルギーの原因となる成分が特定された場合、その成分が含まれないペットフードであれば何でも良いという訳ではありません。市販フードを対象とした研究によって明らかになっていることですが、大豆フリーまたは牛肉フリーと記載されているペットフードにおいて、大豆フリーのペットフードから大豆タンパクが、牛肉フリーのペットフードから牛タンパクが検出できる報告されています。つまり、市販フードの原材料として表記されている成分以外が含まれている可能性が高く、この「隠れた成分」により、食物アレルギーを起こしてしまうことが推測できます。ですので獣医師の指示にきちんと従ってフードを選ばないと意味がありません。
 食物アレルゲンは調理するときの湯気や蒸気にも含まれ、経皮的にも吸収されるとされますので、もしも食物アレルゲンを(ヒトの食事などで)食材として使っているようなら、台所で食事をさせたり、出入るするのを避けたほうがいいでしょう。
 また、多くの研究でペットショップや小売店で販売されているペットフードは限定された成分のみを含有と記載されていてもラベルに記載されていない成分が頻繁に入っていることが報告されています。特に食物アレルギーの場合は動物病院で処方食の指示があったらそれをきちんと守りましょう
 ペットフードの保管は貯蔵ダニ(ストレージマイト)の発生を防止するために、必ず高温多湿を避けて、密閉容器で保管するようにしてください。特にアレルゲン血液検査でハウスダストマイトが陽性の場合は必ずペットフードの保管にも気を使いましょう。
▷「家庭でできるあれルギー対策」も参考にしてください。

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参考文献・資料等
  1. Olivry, Thierry, and Ralf S. Mueller. “Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (3): prevalence of cutaneous adverse food reactions in dogs and cats.” BMC veterinary research 13.1 (2017): 51.
  2. 伴侶動物治療指針 Vol.9; 297-306:食物アレルギーに関する最新知見~食物アレルゲンの経皮曝露による皮膚徴候の発症~
  3. Veterinary focus #28.1; 38-39:除去食試験:成功へのステップ
  4. Veterinary focus #28.1; 40-41:加水分解食の品質管理
  5. 犬の内科診療 Part1; 371-373:食物アレルギー
  6. ELIMINATION DIET TRIALS: SETTING UP FOR SUCCESS
  7. QUALITY CONTROL FOR HYDROLYZED DIETS


<1>皮膚の食物有害反応が存在する犬に対する食物加水分解物によるアレルゲン性の減少および臨床的な有益性の確証に関する全体的な再評価
<2>犬猫の食物アレルギー: 総説
<3>食物過敏症反応が証明されている犬を用いた診断法としての大腸内視鏡アレルゲン誘発検査の評価
<4>自然発生した食物アレルギーの犬に対して、コーンスターチ、トウモロコシ、大豆、加水分解大豆食を経口試験した際の臨床的評価、および抗原特異的血清免疫グロブリンE反応性の評価
<5>犬における食物過敏症:定量的研究
<6>食物有害反応の猫における市販の低アレルギー食(2種)の二重盲検法による評価
<7>食物過敏症の犬の原因となる食物アレルゲンに対するリンパ球幼若化反応

この記事を書いた人

福山達也