上皮小体機能亢進症:Hyperparathyroidism

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上皮小体機能亢進症とは?

 上皮小体(じょうひしょうたい)とは、副甲状腺(ふくこうじょうせん)とも言われ、頸部の甲状腺の左右に2つづつ付着している組織です。 上皮小体の働きは、パラソルモン(PTH)というホルモンを分泌して体内のカルシウム(Ca)の濃度を調節することです。 このパラソルモンの分泌が過剰になった状態を上皮小体機能亢進症といいます。
 猫でも起こることはありますが非常に発生は稀で、犬で主に見られる病気です。
 犬の場合、腫瘍が原因であることが多いので、一般に高齢(6-17歳:平均11.2歳)で発症します。雄雌による差はなく、犬種ではキースハウンドに多いと言われています[1]

上皮小体機能亢進症の原因

 一般に腫瘍化して、パラソルモン(PTH)の分泌が過剰になることが原因です。

上皮小体機能亢進症の症状

 軽度の場合は無症状なことが多く、健康診断での高カルシウムで疑われることがあります。そのため、高カルシウムによる多飲多尿(大量に水を飲み、大量にオシッコをする。1日体重1kgあたり犬で100ml以上、猫での50ml以上の水を飲むようであれば多飲です。このような場合はすぐに当院にご相談ください。)が見られることがあります。また、結石や感染による頻尿が見られることもあります。
 そのほか、元気消失、食欲不振、嘔吐、震えなどが見られることがあるとされますが、上皮小体亢進症だけで重篤な症状が見られることは少ないとされています。

上皮小体機能亢進症の診断/検査

問診や身体検査はもちろんですが、血液検査、血液化学検査、尿検査などを行い主にカルシウムやリンの値を確認したり、他の病気が潜んでいないかを探します。また、外部検査機関位依頼してPTHホルモン(intact PTH)の測定を行ったりします。血液検査でカルシウムが高くて、PTHホルモンも高えれば上皮小体亢進症です。しかし、PTHホルモンが低いからと言って、一概には上皮小体亢進症ではないとは言えないので、定期的な検診や経過観察が必要でしょう。

また、頚部の超音波検査で上皮小体を確認することもあります。

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この記事を書いた人

福山達也