巨大食道症

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巨大食道症とは?

 食道とは、口から胃まで食物を運ぶ器官です。この食道が何らかの原因で拡張することを、食道拡張(しょくどうかくちょう)とか巨大食道症(きょだいしょくどうしょう)と言います。主に犬に多く、猫で見られることは比較的少ないとされています。

巨大食道症の原因

 巨大食道症は、先天性の場合と後天性の場合があります。
 先天的の場合は原因がはっきりと解明されていませんが、食道に分布する神経の異常により発症するのではないかと言われています。
 後天性の場合は、神経や筋の疾患、食道の閉塞性疾患(食道腫瘍や異物、薬剤、先天的な動脈間開存症など血管の異常など)などに続発して起こることが多い病気です。

巨大食道症の症状

 食道の拡張がごく軽い場合には、目立った症状が現れないこともありますが、吐出が一番の症状です。これは嘔吐とは違います。巨大食道症により食道の運動が低下するため、食べた物や水が胃に送られず、食道に溜まり、そのまま逆流して吐き出されることを吐出といいます。食べ物を吐いてしまい、十分に栄養が摂取できない場合は体重減少もみられます。
 吐いた食物が気管から鼻や肺に入る(誤嚥:ごえん)と「鼻炎」や「肺炎」を起こし、発熱や発咳、呼吸困難などの症状がみられ、死に至ることもあります。
 その他、食道の炎症を起こし、食欲不振やよだれなどの症状がみられることもあります。食道の拡張がごく軽い場合には、目立った症状が現れないこともあります。

巨大食道症の診断/検査

 まずはレントゲン検査により食道の状態を確認します。ほとんどの場合普通のレントゲンだけでなく造影レントゲン検査が必要になります。最近では食道内部の状態をより観察できる内視鏡による検査も行われます。しかし、この場合麻酔が必要になります。
 後天的に巨大食道症が起こった場合、その原因となっている病気を調べることが重要です。重症筋無力症、副腎皮質機能低下症、甲状腺機能低下症、食道炎、特発性などがありレントゲン検査に加え、血液検査やホルモン測定、筋電図検査などにより診断します。

巨大食道症の治療

 一般的には、動物を立たせた状態で流動食を食べさせ、食物を重力で胃に移動させる食事法(食後もしばらく立たせた状態にさせます)を行います。
 その他に食道炎や肺炎を起こしている場合は、抗生物質の投与など内科的治療を行い、神経疾患や筋疾患などの基礎疾患がある場合はその治療も行います。
 原因が食道腫瘍や食道内異物の場合、外科的に摘出手術を行なう場合があります。

巨大食道症の予防

 巨大食道症は、発症の原因が不明なことが多く、予防が難しい病気ですので、早期発見、早期治療が大切です。幼少期は動物病院でのこまめな検診をお勧めします。何か症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

巨大食道症の看護/その他

 一番必要な看護は食餌を誤飲させないで食べさせることです。そこで、前述のように動物を立たせた状態で食べさせる。少量の食餌を頻回に与える。流動食を用いるなどがあります。

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参考文献・資料等
  1. Videofluoroscopic swallow study features of lower esophageal sphincter achalasia-like syndrome in dogs
  2. Mechanical dilation, botulinum toxin A injection, and surgical myotomy with fundoplication for treatment of lower esophageal sphincter achalasia-like syndrome in dogs


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この記事を書いた人

福山達也