慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの治療
まず、ご理解いただきたいのは、残念なが慢性腎臓病により一度悪くなった腎臓は治らないということです。ですから、上手に付き合いながら、少しでも辛い症状を防ぎ、進行を遅らせあげることが治療の鍵になります。人間では透析や腎臓移植が行われています。もちろん技術的には獣医学でも可能ですが、施設や費用の問題などからどちらも一般の動物病院で行うのはなかなか難しかと思われます。だからこそ早期発見が大事なのです。
●ROYAL CANIN 猫と犬の慢性腎臓病 管理チャート
IRISステージ分類ⅠおよびⅡ | IRISステージ分類Ⅲ |
▲上記の慢性腎臓病用療法食は当院でも処方可能です。当院での診察・診断・処方後オンラインでのご購入となります。詳しくは当院にお尋ね下さい。
血液検査で尿毒症がある場合には、症状を改善するためには、輸液療法や尿毒症毒素を吸着するための活性炭、尿毒症による胃炎の症状を改善するための胃薬など薬物療法も必要になります。高血圧は慢性腎臓病を悪化させますが、この高血圧を改善して、ACE阻害剤(エースそがいざい) 嘔吐を抑える制吐剤[19]などの薬を症状や進行度に応じて使用しますし、貧血が進行した場合には、輸血やエリスロポエチンの注射が必要になることもあります。
▷当院でセミントラ®︎を処方されたキャットオーナーの方は、セミントラ公式ページも参照してください。
▷当院でラプロス®︎を処方されたキャットオーナーの方は、ラプロス公式ページも参照してください。
その他にも、食事中のリンの吸収を抑えるリン吸着剤や、尿毒症の毒素を吸着する活性炭などを併用することで、症状の進行を抑える効果を期待することもできます。
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの予防
慢性腎臓病を確実に予防できる予防法はありません。だからこそ定期健康診断などで早く見つけてあげることが重要なのです。動物病院は病気の時だけに訪れるところではありません。賢いペットオーナーは元気な時こそ動物病院を受診しています。また、日頃から良質な総合栄養食と新鮮な水を与えることは、少なからず予防になる可能性はあります。ただし、良質な総合栄養食と新鮮な水を与えていても腎臓病になることはあります。
愛猫に以下のような変化が見られたら、早急に当院にご相談ください。
□飲水量が大幅に増えた。尿量が増えた。
□トイレの回数が増えた。または、1回のトイレの時間が長くなった。
□トイレ以外での粗相が増えた。
□口臭がひどくなった。
□お腹や陰部をよく舐める。
□便が固くなった。
□痩せてきた。
□毛艶が悪くなった。
慢性腎不全/慢性腎臓病CKDの看護/その他
検査 | 検査間隔(ヶ月) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
ステージI | ステージII | ステージIII | ステージIV | |||
身体検査 | 6 | 4〜6 | 3〜6 | 1〜3 | ||
血液検査 | 6 | 4〜6 | 3〜6 | 1〜3 | ||
尿検査 | 6 | 4〜6 | 3〜6 | 1〜3 | ||
尿培養 | 6 | 6 | 6 | 3〜6 | ||
血圧測定 | 6 | 6 | 6 | 3〜6 |
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動物医療保険をお持ちの方は診察前に保険証を提示してください!
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参考文献・資料等
- International Renal Interest Society (IRIS)
- 猫の臨床指針Part1;
- 伴侶動物治療指針 Vol.1; 172-175:猫の慢性腎臓病の治療とモニター
- 伴侶動物治療指針 Vol.7; 113-119:SDMAを利用した慢性腎臓病の早期検出と臨床的対応
- 伴侶動物治療指針 Vol.7; 120-128:慢性腎臓病の病態生理に基づいた診断と治療
- 猫の慢性腎臓病(CKD)に対するベラプロストナトリウム治療-継続治療例からみたRA 系阻害薬との違い-
- FELINE RENAL TRANSPLANTATION
- 猫の慢性腎臓病
- 慢性腎臓病
- Relationship between ultrasonographically determined renal dimensions and International Renal Interest Society stages in cats with chronic kidney disease
- IMPROVING DIET PALATABILITY FOR CATS WITH CKD
- Chronic kidney disease in dogs and cats
- Hypertension and renal disease
- ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease
- Treatment Guidelines for Chronic Kidney Disease in Dogs & Cats
- Smart Medicine
- Predicting early risk of chronic kidney disease in cats using routine clinical laboratory tests and machine learning
- Maropitant Use in Cats
<1>.猫における高窒素血症を伴う慢性腎臓病に関する尿中バイオマーカーの評価
<2>外見上健康な猫および慢性腎臓病を患う猫における尿中サイトカイン濃度
<3>慢性腎臓病の猫の尿路感染症
<4>老化する猫の腎臓: 腎不全モデルの死亡に相対するもの?
<5>猫の腎移植における組織病理学的所見と分類
<6>一次診療動物病院で評価した猫における歯周病と慢性高窒素血症性腎臓病の発症リスクとの関連性を評価するための生存分析
<7>慢性腎疾患、甲状腺機能亢進症、あるいは肝リピドーシスに罹患した猫における血清βヒドロキシ酪酸塩濃度
<8>慢性腎臓病の猫における線維芽細胞成長因子-23の血漿濃度と生存期間との関連性
<9>慢性腎臓病の猫における鉄の状態
<10>慢性腎臓病の猫におけるガンマカメラのTC-99M-DTPA取り込みによる糸球体ろ過率測定の再現性と信頼性
<11>猫の尿石症と慢性腎臓病との関連性についての評価
<12>IRISステージⅠ-Ⅳ慢性腎疾患の猫における血漿および赤血球グルタチオンペルオキシダーゼ活性、血清セレン濃度、および血漿総抗酸化力
<13>安定化している高窒素血症性慢性腎疾患の猫における血漿繊維芽細胞成長因子23濃度に対する腎臓疾患用療法食の効果
<14>腎臓病に関連する全身性高血圧症の治療
<15>初期の非高窒素血症性慢性腎臓病(CKD)の猫と健康な高齢猫における線維芽細胞増殖因子23(FGF-23)濃度
<16>猫における高窒素血症発症の予測因子の評価
<17>慢性腎臓病の猫における高窒素血症の進行を予測する臨床病理学的変数
<18>自然発生性慢性腎疾患の猫の生存期間(2000-2002)
<19>慢性腎疾患の猫における予後因子
<20>猫の慢性腎不全の治療におけるベナゼプリルの臨床効果の評価
<21>慢性腎臓病の猫におけるベナゼプリルの耐容性と有効性
<22>猫の特発性慢性腎疾患の治療のための食事の調整に対する臨床的評価
[WR21,VQ21:]
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