猫はよく病気を隠してしまう動物だと言われます。日々診察していると「なんとなく元気がない」とか、「なんとなく食欲が落ちている」という状況に出会います。なんとなく元気がない、なんとなく食欲がないということから推測される病気は山程あります。この症状だけで病気を診断することは不可能です。
こういう時に体の中にどこか炎症があるのではないかとということで測定するのが炎症マーカーと呼ばれる検査項目です。犬は今までCRPという炎症マーカーを院内でも測定することができました。少なくともこの炎症マーカーが上昇していたら体のどこかに炎症などがあるだろうことがわかります。しかし、猫は炎症があってもこのCRPが思ったほど上がらないことが分かっていました。で、別の炎症マーカーがいろいろ探されたわけです。中でも人でも測定されるSAA(血性アミロイドA)がどうもいいみたいだということがわかりましたが、人用のものではいまいちうまく反応しなかったようです。そこで猫専用のものが長年開発されてきて、やっと病院内でも測れるようになりました。
また、この炎症マーカーを経時的に測ることで、病気の治療がうまくいっているのかなども予想することができます。数値がだんだん下がってくれば少なくとも炎症は減ってきているということになるからです。
SAAが病院内で測定できるようになったということは、猫ちゃんの診療に武器が一つ増えたことになります。