猫上部呼吸器感染症の治療
猫ヘルペスウィルスや猫カリシウィルス等ウィルスを直接排除する治療は無いため、症状に応じて二次感染防止の抗生物質やインターフェロン投与、抗ウイルス薬、輸液(点滴)等の対症療法をします。だからこそワクチン接種できちんと予防しておくことが大事です。
また、必要に応じて、目薬、食欲増進剤などを投与し、保温や湿度管理など飼育環境を良好にし、高栄養の食事療法を行い、自信の免疫力による回復を促します。
猫は3日食べないと急激に状態が悪化します。食餌をまったくしない場合は食欲増進剤や輸液(点滴)、栄養剤などでカバーする必要がありますので、必ず当院にご連絡ください。
猫上部呼吸器感染症の予防
猫ヘルペスウィルスと猫カリシウイルスは、ワクチン接種で感染や重症化を防げる病気です。特に幼い頃にワクチン未接種で感染すると一生涙や鼻水、口内炎、歯肉炎など様々な慢性症状に悩まされることがあります。一般的に生後2ヶ月頃からワクチンプログラムは開始しますが、接種時期やワクチンの種類、回数などについては飼育環境などにより違いますので、当院にご相談ください。猫を飼育したら必ずワクチン接種を心がけてください。これは基本の基本です。猫を飼育してワクチンを接種していないということは、あなたは猫の健康管理についてきちんと理解していません。
また、感染した猫に接触させないことも重要です。外に出すと感染の機会が増えるため、屋内飼育を心がけることはこの病気の予防に重要です。但し、完全室内飼育でも猫風邪は侮れません。人は外出したり他の猫に接触したりするからです。室内飼育でも猫風邪を発症する猫は多数います。
猫上部呼吸器感染症の看護/その他
※猫に絶対に人の風邪薬を飲ませてはいけません。アセトアミノフェンが入っていた場合、アセトアミノフェン中毒で死に至ることがあります。
お家では暖かくして、湿度を保ち、栄養補給に努めましょう。処方された薬はきちんと飲ませ、飲めないようであれば早めに当院にご連絡ください。点滴などを行う必要があります。
猫は食欲が無いとすぐに状態が悪くなる動物です。日頃から食欲には十分に注意して1日全く食べなければそれは異常のサインです。早急に当院にご連絡ください。特に猫は食欲がなくなるとすぐに体力が落ちてしまいます。家庭では食欲不振も参考に食べさせる努力を怠らないで下さい。
また。風邪様症状の場合は鼻水などで鼻がつまっていると匂いが嗅げません。猫は匂いが嗅げないと食事をしない性質があります。必ず定期的に鼻の穴を確認し、つまっているようなら鼻水などを拭き取ってあげましょう。
多頭飼育の場合、感染猫が使った食器やトイレ、キャリーなどは塩素系漂白剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)で消毒しましょう。
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参考文献・資料等
- 猫の診療指針Part3; 26-28:猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫の診療指針Part3; 29-31:猫カリシウイルス感染症
- 犬と猫の日常診療のための抗菌薬治療ハンドブック;91-106:呼吸器感染症
- Antimicrobial use Guidelines for Treatment of Respiratory Tract Disease in Dogs and Cats: Antimicrobial Guidelines Working Group of the International Society for Companion Animal Infectious Diseases
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