犬には風邪という病気はない?

診察しているとたまに「うちの子は風邪でしょうか?」と犬の飼主さんに聞かれることがあります。その時毎回言うのですが、犬には「風邪(感冒)」という病名はありません。もちろん、犬も人と同じように体調を崩すと、「熱が出る、咳をする、鼻水がでる、くしゃみをする、ぶるぶる震える」などの人間の風邪と似たような症状を出すことがあります。しかし、犬に「風邪(感冒)」という病名は実はないのです。犬の風邪と似た疾患は、一般的に「呼吸器疾患」と呼び、原因などにより「ケンネルコフ」や「伝染性気管支炎」と具体的に呼ばれます。
昔の獣医さんの中には具合が悪いことを総称して「風邪」と呼ぶ人がいたみたいです(今でもネットなどで時々みかけます)が、我々は大学でまず「犬には風邪はない」と教わります。事実、教科書のどこにも「風邪(感冒)」という病名は記載されていません。もしも皆さんが動物病院にワンちゃんを連れてい行って診断名で「風邪」と言われたら「この先生は??」と思ってください。。。あと、犬に風邪という病名がないのに世間には「犬の風邪薬」なるものが売られていて、いったいこれは何の薬?と思います。。。

ーこの原稿は壱岐新聞332号「犬声猫語」に掲載されたものです。

 

この記事を書いた人

福山達也