第三眼瞼腺脱出(チェリー・アイ)とは?
犬は目の上下にある2つの瞼(まぶた)以外に、目頭の内側に「第三眼瞼(だいさんがんけん)」(「瞬膜(しゅんまく)」とも呼ばれる)という、人間には無い第3の瞼を持っています。その第3の瞼には第三眼瞼腺(瞬膜腺)という涙の約30%を分泌している組織があります。この第三眼瞼腺腫大すると第三眼瞼から飛び出して赤く腫れあがった状態になります。この赤く腫れた状態がさくらんぼ(チェリー)のように見えるので、俗にチェリー・アイと呼ばれます。
第三眼瞼腺脱出(チェリー・アイ)の原因
第三眼瞼腺を固定する結合組織が先天的に無い場合や結合組織が弱い場合に発症し、遺伝が関与していると考えられています。
主に、マルチーズ、チワワ、ビーグル、アメリカンコッカースパニエル、ブルドッグ、セントバーナード、ペキニーズなどの犬種に多く見られますが、他の犬種でも起こります。
先天的な原因の場合には、6ヶ月から1歳以下の若いワンちゃんで発症が多くみられます。また、年齢に関係なく目の炎症や外傷などによって二次的に引き起こされることもあります。
第三眼瞼腺脱出(チェリー・アイ)の症状
第三眼瞼腺が腫大し、第三眼瞼から飛び出して赤く腫れあがった状態になります。腫れあがった第三眼瞼腺が目を直接刺激したり、目の不快感で目をこすったりするために涙が多く出たり、結膜炎や角膜炎、眼脂(目やに)を併発することがあります。
第三眼瞼腺脱出(チェリー・アイ)の診断/検査
診断は通常視診で可能です。時に詳しく眼の状態を見るために鎮静や麻酔が必要になるかもしれません。その他一般的な眼科検査を行います。
第三眼瞼腺脱出(チェリー・アイ)の治療
炎症など後天的な原因の場合、点眼薬や内服薬の投与により、飛び出した第三眼瞼腺の炎症を軽減させます。再発をくり返す場合や、完治しない場合、先天的な場合には外科手術が選択されます。
手術には第三眼瞼腺をもとの位置に整復して縫合する方法(埋没法)や、大きく膨らんでいる第三眼瞼腺を切除する方法(切除法)などがあります。しかし第三眼瞼腺は涙の30%を産生している重要な組織で、完全に切除してしまうと、後に乾性角結膜炎になる可能性があるので、なるべく第三眼瞼を切除しない方法で手術する方法が推奨されています。
第三眼瞼腺脱出(チェリー・アイ)の予防
早期発見、早期治療が重要となります。ご自宅では、ワンちゃんの目の様子などのチェックをこまめに行いましょう。第三眼瞼が赤い、腫れている、その他、目の異常がみられる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
また、チェリーアイの発症には遺伝が関与していると考えられていますので、先天的な原因が考えられる場合は交配に供することは控えるべきです。
第三眼瞼腺脱出(チェリー・アイ)の看護/その他
手術後には目をこすらないようにエリザベスカラー(プラスティク製のものは当院でも販売しております)をつけたり、自宅で点眼薬の投与をしたりするケアも必要となります。
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