肝外胆管閉塞

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肝外胆管閉塞とは?

胆管(たんかん)とは、胆嚢から胆汁が通る道で、肝臓の中(肝内胆管)と肝臓の外(肝外胆管)にあります。 肝外胆管とは、肝臓の外に出ている部分の胆管です。その肝外胆管が何らかの原因で詰まってしまうことを、肝外胆管閉塞(かんがいたんかんへいそく)といいます。通常、猫の胆管は4 mm以下といわれ、かなり細く、粘液のようなかなり粘り気のある胆汁や小さな胆石、異物、十二指腸の腫瘍などでも詰まってしまいます。

肝外胆管閉塞の原因

肝外胆管閉塞は様々な原因で起こりますが、主なものに、粘り気の強い胆汁、胆石、異物、炎症(膵炎、胆管肝炎の波及)、腫瘍、外傷などが考えられます。

肝外胆管閉塞の症状

症状は一般的に他の胆嚢、胆管、肝臓疾患とあまり変わりません。元気がない、食欲不振、嘔吐、下痢、黄疸、腹部痛などです。胆管が詰まると、胆汁が十二指腸に流れず、肝臓に逆流して、肝障害も起こります。

 

肝外胆管閉塞が進行すると、胆管や胆嚢に穴が開いたり破裂して急性胆汁性腹膜炎となり、重篤な場合、短期間で死に至ることもあります。

肝外胆管閉塞の診断/検査

一般的な問診、身体検査を行います。また、スクリーニング的に血液検査、血液検査血液化学検査尿検査レントゲン検査超音波検査などが必要になります。

 

確定診断するには、胆汁検査、血液凝固系検査、肝生検、試験的開腹、病理組織検査なども必要になります。

肝外胆管閉塞の治療

肝外胆管閉塞の治療は、一般的に内科療法と外科的治療を組み合わせて行います。治療の目的は閉塞の解除です。

 

●内科的治療
原因や病態により異なりますが、抗生物質の投与、膵炎の治療、嘔吐下痢への対処、ウルソデオキシコール酸や鎮痛剤の投与、脱水や血液バランス(電解質など)の改善のための点滴、ショックに関連した低血圧、血液凝固異常への対処などの対症療法を行います。

 

●外科的治療
胆管閉塞があるもしくは疑われる場合には外科的処置が必要になります。この場合、胆嚢十二指腸吻合術、胆嚢ドレナージ、胆嚢切除(特に猫では難しいので二次病院で行うべき手術)などが行われます。

肝外胆管閉塞の予防

肝外胆管閉塞の予防方法は基本的にありません。初期はあまり特徴的な症状が見られないことも多く、他の疾患と見分けがつかないことも多いものです。

 

日頃から、血液検査などの定期健康診断を受け、早期発見を心がけましょう。そしてもしも、元気や食欲がない、黄疸が見られる場合は、自己判断で様子を見ないで、早急に動物病院を受診しましょう。特に猫の場合、食欲不振か数日続くと、肝リピドーシスを発症する場合があり、さらに病状が悪化しますので早めの対処が必要です。

肝外胆管閉塞の看護/その他

胆管炎/胆管肝炎を確定診断するためには、試験的開腹など侵襲性の強い(負担の大きい)検査が必要になることもありますので、主治医とよく話し合い、最良の方法や対処法をみつけましょう。

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参考文献・資料等
  1. 猫の臨床指針Part2; 117-123


<1>ピルビン酸キナーゼ欠乏症に罹患したソマリ猫のビリルビン胆石症による肝外胆管閉塞の治療および長期的追跡調査
<2>膵炎関連性肝外胆管閉塞症の7頭の猫に対する総胆管ステント術を用いた治療
<3>3頭の猫に認められた肝吸虫(Platynosomum concinnum)感染から二次的に生じた重度の胆汁うっ滞性肝疾患
<4>猫の肝外胆管閉塞の病因と結果
<5>猫胆石症の外科的治療 : 9症例の研究
<6>画像診断――猫の胆管内異物から二次的に生じた肝外胆管閉塞
<7>正常猫における胆嚢容量の超音波検査による評価
<8>胆嚢カルチノイドの犬2頭における急性血性胆汁症および血性胆嚢
<9>画像診断――十二指腸内異物に続発した肝外胆管閉塞の猫一例
<10>肝外胆管閉塞の猫30頭における超音波画像上の特徴
<11>犬における低侵襲胆嚢造瘻術:設置テクニックの評価と肝外胆道閉塞での利用
<12>犬の肝外胆管疾患および外科
<13>猫における胆嚢腸管吻合術による肝外胆管閉塞の治療:22症例(1994~2003年)
<14>犬における胆管の肝外部分の減圧を目的とした総胆管へのステント挿入:13例(2002-2005)
<15>肝外胆管閉塞および膵炎に罹患した犬3頭における治療的経皮的超音波ガイド下胆嚢穿刺術
<16>肝外性胆管閉塞、部分的閉塞または胆管系に開存部のある犬猫における肝胆シンチグラフィーと外科手術あるいは剖検所見との相関性について:18例(1995-2004)

この記事を書いた人

福山達也