脱水の治療
点滴(静脈内輸液)で水分を補給するか、軽症の場合は皮下(皮膚の下の組織)に輸液します。ただし、皮下に対する点滴は脱水時には効果があまり期待できないとも言われますので、当院ではほとんど静脈内輸液を行います。また、点滴速度は非常に重要です。ですからほぼ全ても点滴は機械で正確に点滴速度や量を管理します。
脱水は深刻な問題であり、治療しなければ、血行不良、多臓器の機能不全、体温調節不能、不整脈、神経障害などの健康問題を引き起こす可能性があります。特に猫は脱水になりやすく、慢性的な潜在性脱水(毎日推奨される量の水を飲んでいない場合に起こる)を起こしている猫は腎臓病のリスクがあります。
脱水の予防
脱水症状を起こさないようにするには、常に清潔な飲み水を簡単に手に入る場所に十分供給してください。特に気温が高い時期や激しい運動をしているときは、水分補給のために多めの水が必要になることを覚えておいてください。そして、深刻な脱水の兆候があると思われる場合は、迅速に行動し、速やかに当院にご連絡ください。
最も重要なのは、犬や猫が必要なだけ水を飲めるようにすることです:
- 新鮮な水を入れた水飲みボウルを家の中のいろいろな場所に複数置く。
- 新鮮で清潔な水を保つために毎日水を交換し、水飲みボウルは定期的に掃除する。
- 家の中に犬猫1匹につき少なくとも1つの水飲みボウルを用意し、競合を避けるためにもう1つ余分に用意する。(動物の数+1が基本)
- 関節炎やその他の運動障害を持つ動物が利用しやすい場所に水飲みボウルを置く(遠すぎず、水飲みボウルまで階段や障害物がない場所など)。
- 流れる水飲みなど、水の動く器を試してみる。
- アイスキューブや、おやつを凍らせたアイスキャンディーを与える。(与えすぎに注意)
- フードに水を加えたり、ウェットフードを与えたり、ツナ缶の汁や低ナトリウムの鶏ガラスープで飲み水に風味をつけたりする。
- 猫は基本的にはフードボウルの横に水飲みボウルを置くのを嫌うが、食事中に水を飲むよう促すために、猫の水飲みボウルを近くに置くのもよい。
- あまり水を飲まない場合、水飲みボウルの材質をいろいろ変えて試してみる(プラスチック製を嫌う猫もいますし、ひげが側面に触れないよう、口の広いボウルを好む猫も多くいます)。
ハイドロパウダーなどの栄養強化水、水分補給サプリメントについては当院にご相談ください。ウェットフードに切り替えた場合よりも総水分摂取量が増加し、より高いレベルの水分摂取量を維持できることが示されています。
ご家庭では、特に夏場は熱中症予防として、ペットスエットなどのペット用電解質水を与えたり、常備しておくことも脱水の予防になるかもしれません。
脱水の看護/その他
犬や猫の脱水症状は命に関わる可能性のある問題です。ペットオーナーとしては、脱水症状の兆候を見極め、早急に対処することが大切です。しかし、予防は常に治療に勝るものであり、犬や猫に十分な水分補給をさせる方法を知っておくことは、特に夏の間、犬や猫の安全を守る鍵となります。
腎臓病を患っている場合は、定期的なチェックを続け、水分補給の状態を定期的に評価することが大切です。
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参考文献・資料等
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