角膜ジストロフィー:Corneal Dystrophy

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角膜ジストロフィーとは?

 ジストロフィーとは、栄養障害や発育障害、代謝障害などにより、組織の変性や萎縮が起こっている場合に使われ得る用語です。角膜ジストロフィーとは目の角膜になんらかの異常によって、変性や萎縮が起こっている状態を言います。角膜ジストロフィーは、その起こっている場所によって大きく、上皮性角膜ジストロフィー、間質性角膜ジストロフィー、内皮性角膜ジストロフィーの3つのコテゴリーに分けられます。
 ボストン・テリアやチワワ、 ダックスフンド、ビーグル、シベリアンハスキーに多いとされていますが、どの犬種でも起こります。猫では非常に稀です。

角膜ジストロフィーの原因

 犬の角膜ジストロフィーは遺伝的な疾患ではないかと言われていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
 白濁は、角膜にリン脂質やコレステロール、カルシウムなどの成分が沈着して起こるとされています。

角膜ジストロフィーの症状

 目の片側、もしくは両側の角膜に白色や斑点状の濁りが見られます。この濁りは、特に角膜の中心部分に見られます。通常は痛みや炎症は伴いませんが、重症になり角膜が溶けて角膜潰瘍などが見られると痛みなども伴います。
1. 上皮性角膜ジストロフィー
 角膜の表層に白濁が生じます。多くの犬種で発見されています。一般に角膜混濁以外に痛みなどの症状はありません。しかし、中には角膜の痛みで光に敏感になったり、目を細めたりする犬もいますし、糜爛(びらん)が起こると痛みが見られることもあります。
2. 間質性角膜ジストロフィー
 間質とは、角膜の中間層のことで、この中間層に濁りが生じます。エアデール、コッカー・スパニエル、ベアデッド・コリー、キャバリア・キングチャールズ・スパニエル、サモエド、ワイマラナーなどの犬種に見られるとされていますが、これ以外の犬種でも見られます。特に若い時期に起こりやすいとされています。炎症や痛みはなく、角膜の中央付近に灰色〜白色、または銀色の混濁が生じることが多いものです。混濁が拡散していると、視力に影響が出ることがあります。
3. 内皮性角膜ジストロフィー
 角膜の最も深い層が内皮です。ここに起こります。中高齢のボストンテリア、チワワ、ダックスフンドに多くみられると報告されています。内皮ジストロフィーの初期には、外から見える徴候がない場合があります。進行すると、角膜の外側の縁に水分が溜まり(浮腫)、時間の経過とともに角膜の残りの部分にも広がっていきます。角膜潰瘍ができたり、視力が低下することもあります。

角膜ジストロフィーの診断/検査

 一般に、問診や身体検査、視診などを行い。他の病気との鑑別のために、詳しい眼科検査、血液検査血液化学検査などを行うことがあります。

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この記事を書いた人

福山達也