チアノーゼ Cyanosis

チアノーゼとは?

 

 チアノーゼとは、愛犬・愛猫の舌、歯ぐき、唇、結膜、耳、足先、爪の周囲などが青紫色または暗い紫色に見える状態を指します。

 これは血液中の酸素が不足している、または酸素を運ぶヘモグロビンが正常に働いていない時にみられる重要なサインです。特に舌や歯ぐきが青紫色に見える場合は、呼吸器疾患や心疾患などによる重度の低酸素状態を示すことがあり、緊急性があります。

 ただし、貧血がある犬猫では、重度の低酸素でもチアノーゼが分かりにくいことがあります。また、歯ぐきや舌に色素沈着がある場合も判定が難しいことがあります。

チアノーゼの原因

 

 チアノーゼの原因は、大きく中枢性チアノーゼと末梢性チアノーゼに分けられます。

 中枢性チアノーゼは、全身の血液中の酸素が不足している状態です。原因として、肺炎、肺水腫、気管虚脱、喉頭麻痺、短頭種気道症候群、猫喘息、胸水、気胸、横隔膜ヘルニア、肺高血圧症、肺血栓塞栓症、心不全、先天性心疾患、右左シャントなどがあります。

 末梢性チアノーゼは、全身の酸素濃度は比較的保たれていても、足先や末端の血流が低下することで局所的に青紫色に見える状態です。原因として、血栓塞栓症、低体温、低血圧、ショック、局所の血流障害などがあります。

 また、アセトアミノフェン、ベンゾカイン、亜硝酸塩、硝酸塩などの酸化性物質により、メトヘモグロビン血症が起こると、血液が酸素をうまく運べず、チアノーゼを起こすことがあります。

チアノーゼの症状

 

 チアノーゼでは、舌や歯ぐきが青紫色、唇が紫色、耳や足先が冷たく青い、爪の周囲が暗い色に見えるなどの変化がみられます。

同時に、呼吸が速い、呼吸が苦しそう、口を開けて呼吸する、首を伸ばして呼吸する、横になれない、咳、ぐったりする、ふらつく、失神、運動を嫌がる、興奮、意識の低下などを伴うことがあります。

 特に、舌が青い、口を開けて呼吸している、呼吸が苦しそう、ぐったりしている、倒れた場合は、命に関わる状態の可能性があるため、すぐに当院へ連絡してください。

チアノーゼの診断/検査

 

 診断では、まずチアノーゼが全身性か、足先など一部だけかを確認します。同時に、呼吸状態、心拍数、体温、粘膜の色、脈拍、意識状態、胸部聴診、心雑音の有無、肺音、外傷の有無などを評価します。

 呼吸困難がある場合は、検査よりも酸素投与や状態の安定化を優先することがあります。無理に押さえたり、長時間検査したりすると、呼吸状態が悪化することがあるためです。

 検査としては、パルスオキシメトリによる酸素飽和度測定、血液検査、血液化学検査、血液ガス分析、胸部レントゲン検査、心臓超音波検査、心電図、血圧測定、胸部超音波検査などを行います。必要に応じて、BNP検査、CT検査、メトヘモグロビン血症を疑う検査、血栓塞栓症の評価などを検討します。

チアノーゼの治療

 

 治療は原因によって異なりますが、呼吸困難を伴うチアノーゼでは、まず酸素投与を行います。状態によっては、酸素室、点滴、鎮静、気道確保、人工換気、胸水や気胸に対する胸腔穿刺などが必要になることがあります。

 心不全が原因であれば、利尿薬や心臓薬を使用します。肺炎や気道疾患では、抗菌薬、気管支拡張薬、抗炎症治療、吸入治療などを行うことがあります。胸水、気胸、横隔膜ヘルニアなどでは、処置や手術が必要になることもあります。

 メトヘモグロビン血症では、原因物質の除去、解毒治療、酸化障害への治療、必要に応じた輸血などを行います。酸素投与だけでは十分に改善しない場合もあります。

チアノーゼの予防

 

 チアノーゼのすべてを予防することはできませんが、呼吸器疾患や心疾患の早期発見が重要です。咳、呼吸が速い、運動を嫌がる、失神、疲れやすいなどの症状がある場合は、早めに診察を受けてください。

 短頭種、高齢動物、心臓病や呼吸器疾患のある愛犬・愛猫では、暑さ、興奮、激しい運動、肥満が呼吸状態を悪化させることがあります。室温管理、体重管理、無理のない運動が大切です。

 人用薬、とくにアセトアミノフェンを含む薬、局所麻酔薬、化学薬品、農薬、殺虫剤などは、愛犬・愛猫が届かない場所に保管してください。自己判断で人用薬を与えることは非常に危険です。

チアノーゼの看護/その他

 

 ご自宅でチアノーゼに気づいた場合は、まず安静にし、興奮させないことが重要です。無理に口の中を何度も確認したり、抱き上げて動かしたり、歩かせたりしないでください。呼吸が苦しい犬猫では、少しのストレスでも状態が急変することがあります。

 涼しく静かな場所に移動し、首輪や胴輪がきつければ緩めてください。ただし、呼吸困難がある場合は、自宅で長く様子を見るのではなく、すぐに当院へ連絡してください。

 観察するポイントは、舌や歯ぐきの色、呼吸の速さ、呼吸の仕方、咳、意識状態、立てるかどうか、失神の有無、誤食や薬剤曝露の可能性です。

 チアノーゼは、命に関わる低酸素状態のサインであることがあります。特に、舌が青い、呼吸が苦しい、ぐったりしている、倒れた場合は、様子を見ずに早急に受診してください。

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参考文献・資料等
  1. Ettinger’s Textbook of Veterinary Internal Medicine 9ed CHAPTER 27: Cyanosis  [壱岐動物病院訳]

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この記事を書いた人

福山達也